アップルのCEOティム・クック。
Stephen Lam/Getty
- アップルのCEOティム・クックは、新本社「アップル・パーク」では、全員にスタンディングデスクが与えられたことを明らかにした。
- 「その方がライフスタイルとして、はるかに良い」とクック。
- 同氏は以前「座ることは新たながん」と語った医師に言及した。
アップルの新本社「アップル・パーク」の内部で何が起こっているのか。そのほとんどはトップ・シークレット。
だが、同社CEOティム・クックは最近、仕事環境についての詳細を明らかにした。全員にスタンディングデスクが与えられた。
Kif Leswing
「全従業員のデスクを100%スタンディングデスクにした。立ったり座ったりを繰り返す、その方がライフスタイルとして、はるかに良い」
6月13日(現地時間)に公開されたカーライル・グループ(Carlyle Group)のデービッド・ルーベンシュタイン(David Rubenstein)とのインタビューで、そうクックは語った。
そしてクックはルーベンシュタインに立ちましょうと促した。まるでApple Watchのスタンドリマインダーのように。
クックは以前「座ることは新たながん」と語った医師に言及した。
「社内にはApple Watchを使っている人が多く、毎時50分になると突然、立ち上がって動き出す。慣れるのに少し時間がかかるが、素晴らしいこと」とクックは2015年、ゴールドマン・サックスのカンファレンスで語った。
アップル・パーク
YouTube/Matthew Roberts
スタンディングデスクを使えることは、新本社で働く従業員に与えられる数多くの特典の1つに過ぎない。
アップル・パークは、巨大な「宇宙船」と、入念に作られたエクステリアが溶け込むように作られている。ちなみにアップル・パークは「リング」とも呼ばれる。
アップル・パークにはフルーツの木が生い茂り、構内のカフェテリア「Caffe Macs」では、実際にランチやディナーでそのフルーツを使っている。巨大なジム、サテライト・オフィスや旧本社へ行く従業員のためのシャトル・サービスもある。旧本社は車で10分ほどの位置にある。
アップルと同じテーブル。長さはこちらの2倍のものを使用。
Arco
厳選された家具はほかにもある。分かっているのは一部だけだが、従業員にはスタンディングデスクの他に、ビトラ(Vitra)製のデスク・チェアが与えられた。価格は1200ドル(約13万円)。
共有スペースとカフェの椅子は深澤直人のデザイン。価格は2500ドル(約27万円)。テーブルの多くはオークの特注品、長さは18フィート(約5.5メートル)。
我々は、スタンディングデスクの製品名についてアップルに問い合わせたが、返答はまだない。
ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された社内の写真には、高さが変えられる昇降式のデスクが写っていた。
ワイアード(Wired)も昇降式のデスクなど、新本社のディテールについての特集を掲載した。
「デスクは昇降式で、主には壁に取り付けるための器具の違いだが、複数のタイプがあった。ネットワークケーブルの接続口や電源もあった(ケーブルをつなげたままにしておくと、注意されるようだ)。デスクの昇降は、下にある2つのボダンで行う。ボタンは見なくても、触れば操作できる。凸ボタンを押せばデスクは上がる。凹ボタンで下がる」
アップルが新社屋にこれほどの投資を行う理由の1つは、優秀なソフトウエア開発者や技術者の採用にある。美しいオフィスで働きたいと考えている人は少なくない。
クックとアップルは、アップル・パークに満足しているようだ。
アップルの共同創業者スティーブ・ジョブズは「職場は、皆が一緒に働きたくなるような場所であるべき」で、「皆が自然と集まり、一緒に働ける共有エリアが欠かせないというビジョンを持っていた」とルーベンシュタインとのインタビューでクックは語った。
「そこから生まれるアイデア、クリエイティビティ、イノベーションのレベルは、目を見張るものになるだろう」とクックは付け加えた。
「そして実際、そうなっている」
(敬称略)
(翻訳:Ito Yasuko/編集:増田隆幸)