"世界のリーダー"アメリカの終わりが見えてきた? アメリカの記者が見た、米朝首脳会談

米朝首脳会談でのトランプ大統領と金正恩氏

アメリカはどこへ向かうのか?

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  • アメリカのトランプ大統領は12日(現地時間)、北朝鮮と和平交渉をしている間は韓国との軍事演習を中止すると述べた。
  • そうしている間にも、アメリカは国際社会における支配的な地位を失うかもしれない。
  • 軍事演習なしでは、在韓米軍は弱体化するだろう。和平交渉が続けば、その存在意義も損なわれるだろう。
  • トランプ大統領の望み通り、米軍が韓国から徹底することになれば、中国のアジアひいては国際社会におけるプレゼンスは高まるだろう。
  • トランプ大統領と北朝鮮の金正恩氏は12日、世界の新たな未来を語ったが、その新たな未来をリードするのはアメリカではなく中国かもしれない。

12日に開催された米朝首脳会談でトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が署名した共同声明は、具体性に乏しく、何ら縛りのないものだったが、これを機にアメリカは国際社会における支配的な地位を失い始めるのかもしれない。

トランプ大統領は共同声明の内容を超えて、韓国との合同軍事演習を中止すると約束した。アメリカにとって約3万人の在韓米軍は、アジアにおける足がかりの1つであり、台頭する中国に対する抑止の1つでもある。

米軍と韓国軍も軍事演習中止のニュースには衝撃を受けたようだが、北朝鮮と中国はこの譲歩を歓迎した。

北朝鮮メディアによると、金正恩氏は「朝鮮半島に平和と安定をもたらし、非核化を実現するためには」北朝鮮とアメリカが「互いに敵対的な行動を慎むべきだ」と言う。

中国はこれまで、アメリカが韓国との軍事演習を実施するから北朝鮮がミサイル開発や核実験を行うのだとして、「停戦のための停戦」を呼びかけてきた。中国にとって今回の共同声明は、こうした自らの考えが受け入れられたと聞こえただろう。

北朝鮮と中国の軍事演習中止の呼びかけに対し、アメリカは2国間で計画された、透明性の高い軍事演習は合法だが、北朝鮮の核開発は違法だとして、長年抵抗してきた

もし北朝鮮の違法な核開発がアメリカの同盟国との軍事演習を中止させたなら、これは世界中の指導者に、核でアメリカを脅すことができるという大きなメッセージを伝えることになる。

アジアで影響力を失うアメリカ

烏山空軍基地

韓国の平沢にある烏山空軍基地の米兵(2016年)。

Jeon Heon-Kyun-Pool/Getty Images

軍事演習なしでは、在韓米軍は弱体化するだろう。北朝鮮はアメリカと韓国の合同軍事演習は和平交渉に悪影響を与えると主張している。

トランプ大統領は長年、恐らく他人から言われたわけでなく、米軍を韓国から撤退させたいと考えている。そして今、大統領はその理由を見つけたのかもしれない。

もしアメリカと北朝鮮が —— もしくは北朝鮮と韓国が —— 関係を正常化させれば、朝鮮半島に米軍を駐留させる根拠は失われる。

では、朝鮮半島が平和になっても、アメリカは3万人の米兵を駐留させなけばならないのだろうか? その1つの理由として、中国に対する抑止が挙げられる。

中国は今後、数十年以内に国際社会における支配的な地位にあるアメリカを追い抜くだろう。中国が資本主義を部分的に取り入れ、力ずくで技術大国となる一方で、世界最大の軍事力を近代化させるにつれ、国際社会は中国の覇権に立ち向かうのだということを、アジアと世界で改めて確認するのはアメリカの仕事だ。そのためには、アジアに米軍を駐留させておくことが必要不可欠だ

中国の台頭は今に始まったことではない。日本と韓国に大規模な兵力を配置しているとはいえ、米軍はすでに手一杯だ。しかし、韓国での足掛かりを失うことは、アメリカにとって最後の決定的な一撃になりかねない。

「史上初となるアメリカと北朝鮮の首脳会談は、ここ数十年にわたる緊張と敵対関係を乗り越え、新しい未来を切り開く大きな転換点だ」トランプ大統領と金正恩氏の共同声明には書かれている。

しかし、トランプ大統領と金正恩氏が思い描く新時代は、アメリカがアジアと世界でその支配力を失い、ワシントンD.C.ではなく北京がリードする未来なのかもしれない。

[原文:Trump's weak North Korea summit may be the beginning of the end for the US as the world's leader]

(翻訳、編集:山口佳美)

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