トランプ大統領の貿易戦争が本格化? 今後の重要日程をチェック

トランプ大統領

Win McNamee/Getty Images

  • アメリカのトランプ大統領は、カナダやヨーロッパ、中国を含むさまざまな相手と貿易をめぐって戦い始めた。
  • トランプ大統領は更なる関税を課すのかどうか、6月と7月には今後を左右する重要日程が控えている。
  • アナリストによると、その結果次第では本格的な貿易戦争に突入するリスクが高まる。

アメリカのトランプ大統領は、中国欧州連合(EU)カナダメキシコといったさまざまな相手と貿易をめぐって戦い始めた。今後2カ月で、アメリカが本格的な貿易戦争に突入するかどうかが決まる可能性がある。

債権運用会社ピムコ(Pimco)の公共政策部門の責任者リビー・キャントリル(Libby Cantrill)氏は、貿易関連のいくつもの重要日程が控えていると言い、戦いが激化する可能性があると警告する。

「アメリカは貿易で不当に扱われているというトランプ大統領の固い信念と、行政府の貿易政策に対する途方もない柔軟性、大統領と考えを同じくするスタッフ(例えば、通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表)の存在を考えると、少なくとも当面は貿易政策上のリスクが低下するとは思えない」キャントリル氏は書いた。「今後1、2カ月の間に出てくるであろう材料を考えれば(貿易をめぐる戦いは)エスカレートするだろう」

JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー(Daniel Silver)氏は、これから迎える重要日程だけがトランプ政権が方向づける貿易関連の動きではないと指摘する。

「最も注目を集めているこれらの関税リストとは別に、アメリカ国際貿易委員会は他の限られた製品カテゴリーに関税を課すことができないか絶えず見直しをしていて、トランプ政権も保護主義政策の対象となる新たな分野に取り組み始める可能性がある」シルバー氏は顧客向けのメモで述べた。

今後の重要日程は以下のとおり。

  • 6月22日:自動車関税に関するパブリック・コメントの締め切り。通商拡大法232条に基づく自動車輸入の調査における、初の重要日程。鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課したのと同じ手法だ。調査結果によっては、輸入された普通車およびトラックに関税が課される可能性も。
  • 6月30日:財務省が投資制限の対象となる中国企業のリストを公表(予定)。中国人に対するビザの制限、中国企業によるテクノロジー関連投資の制限といった措置が検討されている。
  • 7月1日:カナダによるアメリカ製品に対する報復関税発効。ヘアスプレーからアルミニウムまで、さまざまな製品が影響を受ける。
  • 7月1日:メキシコ大統領選。貿易政策や北米自由貿易協定(NAFTA)の交渉に重大かつ予期しない結果をもたらす可能性も。
  • 7月初め:EUによる報復関税の発効。ヘアスプレーからアルミニウムまで、さまざまな製品が影響を受ける。
  • 7月19、20日:通商拡大法232条に基づく自動車輸入に関する公聴会。

[原文:Trump's trade war is about to kick into high gear]

(翻訳:R. Yamaguchi、編集:山口佳美)

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