One Tap BUYは手数料を定額制とする新プランを発表した。
スマートフォン向け株式投資アプリ「One Tap BUY」は6月18日、手数料の定額プランを発表した。One Tap BUYは、同名の会社が運営、ソフトバンクやモバイルインターネットキャピタル、みずほ証券らが主要株主となっている。
手軽さでミレニアル世代を中心にユーザーを獲得
One Tap BUYの現在のユーザーは若者および投資初心者。
現在、One Tap BUYのアプリダウンロード数は100万を越え、開設された口座数は12万弱(有効口座数は非公表)。全ユーザーのうちミレニアル世代の中心層の30代が30%、20代以下も31%を占める。また、ユーザーのうち「投資経験なし」と答えているのは74%と、若い投資初心者から支持を集めている。
One Tap BUY社長の林和人氏。投資初心者層が多い理由について「1000円から国内外の株が買えること」「スマートフォンに特化していること」を挙げる。
会場のサービス担当者によると「他社サービスでは実際に株式を買うのに(操作回数が)10数タップ必要だが、One Tap BUYでは1〜3タップ程度で完了する」と、話す。
定額プランのターゲットは“成長後”のユーザー
One Tap BUYではアルファベット(グーグル親会社)やフェイスブックなどのアメリカの大手IT企業株や、任天堂やリクルートなど国内の大手の株式を購入できる。
今回発表になった定額プランは、従来では株の売買毎に発生する手数料が月額980円(税抜)で済むというもの。取引回数や金額などに制限はない。
実際このプランで“おトク”になるのは月間20万円以上の取引を行なうユーザーだ。最低金額1000円と設定されている同サービスの平均月間取引額は2万円弱で、大半のユーザーにとってはメリットはない。
One Tap BUYの定額プランは、月間の取引量が多いユーザーほどおトクだ。
では、なぜそんな“ヘビーユーザー向けプラン”をリリースしたのか。林氏は「グループインタビューを実施した結果、大きな額を取引すると他の証券会社のほうが手数料が安くなると聞いた」と、理由が他社サービスへの流出対策であると話す。
まずは少額ではじめられる手軽さで個人投資家を集め、サービス内で成長させ、より大きな金額の取引も自社サービス内で行ってもらうことを目的だ。
“スマホ世代”向けの投資サービスで存在感を出せるか
スマートフォン世代に向けたお手軽な投資アプリは、どれもユーザー数を増やしている。
昨今、スマートフォン特化型の投資サービスと言えば、ロボアドバイザー(ロボアド)型のサービスが話題だ。口座開設数では、例えばウェルスナビ社の「WealthNavi」は10万件(5月17日時点)、お金のデザイン社の「THEO(テオ)」は6万8500件(5月31日時点)となっている。
WealthNaviおよびTHEOの場合は、ユーザーが口座にお金を預け、そのお金を各社が設定したポートフォリオに沿って運用し、損益を配分するというものだ。ユーザーは株や投資の知識が少なくても始められる。
林氏はこれらのロボアド型のサービスとの違いについて、「自分で株を選ばないと、損をした時にどうすればいいかという問題がある。(One Tap BUYは)自分が投資する株を選べることが株の間口を広げることにつながる。例えばアマゾンなど、自分が使っているサービスに投資した際には気づきがあるのではないか」と語った。
林氏は今後の目標を「1〜2年以内に30万の開設口座数を目指す」と話した。
林氏と発表会会場にゲストとして登壇したNON STYLEの井上裕介氏。
(文、撮影・小林優多郎)