テック企業がベイエリアを破壊した。在住歴30年が語る実情

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Business Insider

サンフランシスコのイメージ

テック企業がベイエリアを支配している。

Justin Sullivan/Getty Images

  • サンフランシスコのベイエリアには、ツイッターやドロップボックスといったテック企業がひしめきあっている。だが、昔からそうだったわけではない。
  • サンフランシスコは、かつてはさまざまな夢を追い求める人たちや型破りな人たち、クリエイティブな人たちが集まる場所だった。
  • だが、この20年間にテック企業が多数進出、ベイエリアの豊かな文化は衰退し、不動産価格は高騰した。
  • テック企業がベイエリアを破壊している実情を在住者が語る。

筆者は、1987年にサンフランシスコに移り住んだ。当時、ここはアーティストやさまざまな夢を追いかける人、変わり者、はみ出し者が集まる場所だった。筆者はここで友だちを作り、仕事を見つけ、この街を「フリスコ(Frisco)」と呼ばないことを学んだ。サンフランシスコは型破りな人にぴったりの街だった。筆者は、まさしく自分の居場所だと感じた。

10年あまり経つと、大好きなベイエリアは変わり始めた。テック企業とその従業員たちが、サンフランシスコと近郊のイーストベイに乗り込んできた。不動産価格は高騰し、私の愛するベイエリアの多様性に満ちたカルチャーは姿を消し始めた

詩人たちや革命家たちは片隅へ追いやられ、その一方でテック企業の進出が、あらゆる種類のクリエイティブな頭脳を引きつけていたベイエリアを、たった1つのメッカに変えた。テックだ。

テック企業がサンフランシスコを破壊しつつある実情を見てみよう。

1. テック企業はカルチャーを破壊し、そのまま居座っている

サンフランシスコの本屋

サンフランシスコのノースビーチ地区にある書店「シティライツブックストア」。

Justin Sullivan/Getty Images

テック企業がベイエリアに与えた影響について、友人や隣人を対象にごく非公式な調査を行った。テック業界で働く人もいる。全員が一番にあげたのが、住宅価格への影響。

さまざまな要因がベイエリアの不動産価格を押し上げている。また競争の激しい賃貸市場では、スターバックスの給与では、テック企業の給与には太刀打ちできない。まして、家を買うなど論外。不動産情報サイトCurbedによると、サンフランシスコの不動産価格の中央値は、161万ドル(約1億8000万円)にのぼる。

友人の1人は以前、サンフランシスコはリッチな人たちの街になり、カフェラテを作る人が住めない場所になったと語った。私を含めた多くの人が、より住居費の安いイーストベイやさらに遠くの場所に引っ越した。

しかし、イーストベイにある自由で活気溢れる、愛すべき街オークランドも住宅不足と無縁ではない。不動産検索サイト、ジロウ(Zillow)によると、サンフランシスコに人が増え、住宅費が高騰するのに伴い、テック業界で働く人たちがオークランドの不動産価格と賃貸価格を釣り上げた

ベイエリアはもう、若者たちが“お金はないがアイデアに溢れている”といった自由なライフスタイルを送ることができる場所ではない。住宅市場のトレンドがこのまま続けば、若い詩人たちはもはや、シティライツブックストア(City Lights Bookstore)に集い、カフェ・グレコ(Caffe Greco)でティラミスを分け合うことはできない。それはベイエリアにとって損失だ。

2. 街を実験場にしている

電動シェアスクーター

バード(Bird)の電動シェアスクーターに乗る男性。

Justin Sullivan/Getty Images

マーク・ザッカーバーグがフェイスブックを創業したときのモットーは「すばやく動いて物事を破壊せよ」。多くのテック系スタートアップがこれを手本とし、事前に許可を取るよりも、あとで謝罪するというやり方をしている。しかし、彼らがすばやく動いて破壊するものが、物理的なインフラ、つまり我々が住む街だとしたら、まったく笑い事ではない。

ベイエリアの住民である我々は、こちらの意思とは無関係に、我々の暮らしをより良くしようとするスタートアップのターゲットにされることがますます増えている。そうした招かれざる技術革新の最新例が、ベイエリアの路上に出現した電動シェアスクーター。

ライムバイク(LimeBike)バード(Bird)といったスタートアップは、公共交通機関の駅から目的地までの移動手段に悩む通勤者の問題を解決していると考えている。しかし、住民たちと行政当局は、突然、出現して、歩道を埋め尽くすようになったスクーターをありがたいとは思わない。

Business Insiderが伝えたように、サンフランシスコでは先日、抗議活動の参加者たちが、電動シェアスクーターを道路に山積みにしてテック企業の通勤用バスを足止めした。

市当局は、電動シェアスクーター各社に業務停止通告書を送った。だが、巨大なテック業界は今回もまた、住民たちを無視しそうだ。それでいて彼らは、住民に嫌われていることを不思議がっている。

3. 節操のない建築ブーム

サンフランシスコの高層ビル群

ベイエリアは地震が多い。高層ビルは良い考えではないはず。

Mike Windle/Getty Images

ベイエリアは地震が多いことをご存知の人も多いだろう。しかしその情報は、サンフランシスコで最も高いセールスフォース・タワーなどの超高層ビルを建て、空の風景を変えている頭の良い人たちには届いていないようだ。

ニューヨーク・タイムズが報じたように、過去に何度も大地震を経験している街に、超高層ビルを建築することは大きなリスク。

さらにサンフランシスコの中心街のほとんどが埋め立て地であることは、リスクをさらに高めている(造成の際に埋められたゴールドラッシュ時代の廃船の位置を突き止めることは、住民の楽しみの1つ)。

コンドミニアムが何百万ドルという価格で販売された、セールスフォース・タワーのすぐ隣の豪華なミレニアム・タワーが、完成から10年で沈下して傾き始めたという話を聞いたとき、私の心に“ざまあみろ”という気持ちが確かに生まれたことは認めざるを得ない。

4. 過去と同じ危機を繰り返そうとしている

ミレニアム・タワー

沈下し傾いたミレニアム・タワー

Justin Sullivan/Getty Images

ここ数年、テックバブルが再びはじけるという噂が盛り上がっている。テック業界のベイエリアへの侵入も、おそらく永遠には続かないことを思い出させてくれた。

この先、地震が起きるかもしれない。ミレニアム・タワーは今のところ地震に耐えられると見られているが、その先も安全かどうかは分からない。バブルがはじける前には超高層ビルが建設されがちと言われるが、セールスフォース・タワーは次の経済危機の前触れかもしれない。

何が起こるにせよ、テック企業は将来、ベイエリアから逃げ出し、残った我々に後始末を押しつけるかもしれない。だが、心配は無用。そんなことは前にもあった。遠慮せずに出ていって欲しい。

[原文:I've lived in the Bay Area for 30 years, and I'm convinced that tech companies have ruined it

(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:増田隆幸)

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