あなたはチームメンバーをいら立たせていないか。
"The Office"/NBC
立派な上司でいることは簡単ではない。
良い結果を残すことへのプレッシャーもある。ある調査によると転職する人の3分の1が、その理由として管理体制への不満を挙げている。人は仕事を辞めるわけではない、嫌いな上司に付き従うことをやめるのかもしれない。
部下を批評するばかりではいけない。なぜなら、彼らがキャリアを積めるかは、上司であるあなたの力量にも左右されるからだ。
だが、上司も人間であり、どんなに優れた管理職でも、悪い習慣をすべて捨てられる人の方が少ないだろう。
上司の「癖」には、チームメンバーをいら立たせるだけという比較的無害なものもあるが、中にはメンバーが仕事を辞めてしまう直接の原因となるものも存在する。これらの悪しき習慣がチームに悪影響を及ぼさないために重要なことは、まず上司自身が自分の習慣を認識することだ。
Buiness Insiderは部下に嫌われるプロ意識の低い習慣について、キャリアエキスパートたちに聞いた。
感謝の言葉がない
キャリアビルダーの調査によると、仕事を辞めた人の50%が、「自分が認められていると感じられていれば前の職場にとどまっていただろう」と答えている。同時に、ヤム・ブランズの元会長およびCEOのデイビッド・ノヴァック氏(David Novak)が行った別の研究では、アメリカ人の従業員の82%がボスからの評価が適正ではないと感じている、と回答している。
従業員が金銭的なインセンティブや会社負担の社員旅行、仕事に対する表彰を望むのはもちろんだが、「よくやった」「よくがんばった」の一言があるだけで人の気持ちはずいぶんと変わるものだ。ノヴァック氏によると貢献に対するフィードバックは「個人的に、タイミングよく、比較的頻繁に」行われるべきだと言う。
「小さな進歩を祝福してください。大きな成功だけでなく」とノヴァック氏はコメントしている。「他者に認められ、小さな勝利に対する見返りが常にあれば、モチベーションは長い間維持できるものです」
ネガティブにフォーカスしすぎる
良い仕事に対する見返りがないことと裏表になっているのが、ネガティブ要素にばかりフォーカスしてしまう傾向だ。
「今回のセールを無事に終えたのはいいが、まだ今年の目標達成にはほど遠い」など悲観的なことにばかり焦点を当てるのは控えたほうがよい。
Sebastiaan ter Burg/Flickr
礼儀を忘れる
「常識的な礼儀、例えば朝のあいさつを忘れずに。おはようございます。お元気ですか? ありがとう、など自分のスタッフに対して関心を示すことで、あなたはよりアプローチしやすい、好感度の高い上司になれるでしょう」とナショナルワークプレースエキスパートであり『Tame Your Terrible Office Tyrant: How to Manage Childish Boss Behavior and Thrive in Your Job』の著者であるリン・テイラー( Lynn Taylor )氏は説明した。
こそこそする
常に監視されている状態を好む人はいない。まして、水面下で何が起きているのかに対する説明がない場合、従業員はあなたが何かを隠そうとしていると勘ぐり始めるかも知れない。
インターナショナルビジネススピーカーであり、『The Humor Advantage』の著者でもあるマイケル・カー( Michael Kerr )氏は「スタッフと親しい友人であるかのように接し、重要な情報を共有し、オープンでかつ正直でいることで関係はより円滑になり、それは長期的には多くの実りをあなたにもたらしてくれることでしょう」と述べた。
チームアイデアに対する評価を独り占めする
仕事が進ちょくする過程でアイデアを出した人が誰か曖昧になるのはありがちなことだが、これは大きな間違いだ。
メンロー・カレッジの学長であるリチャード・モーラン( Richard A. Moran )氏は自身の著書『The Thing About Work』で「最高のマネジャーは手柄を自分のものにせず、チームで共有する」と書き記している。
部下をロボットのように扱う
「上司がどれだけ気配りをしているかが伝わらないと、持っている知識や経験は気にもかけられない」とカー氏。「常日頃から自分のスタッフに関心を示し、人間として尊重していることを示すべきです」
「ちょっとした心配りを忘れないことです。お菓子を配ったり、コーヒーを振る舞ったり、繁忙期が落ち着いたタイミングで1時間早く帰れるようにしたり、そんな気遣いが人間関係を良好に保つのです」
不快なメールの送信
さほど重要ではないメールを「重要」扱いし、午前3時に送信するなど配慮に乏しいメールは従業員の感情を逆なでし、不要なストレスを生み出し、擦り切れさせてしまう。
Flickr / Brad Owens
行動と言動が矛盾している
従業員には8時までには席に着き、18時以降も仕事をしろと指示するが、自分は平気で遅刻し、早退する。私用で休みを取得するが、従業員の休日申請は許可しない。自分の子供が関わっている募金活動など自分の関心事には協力を求めるが、自分に対しては「勧誘禁止」のルールを貫き通す。チームワークについて説教をするが自分は参加しない。
エチケットおよび礼儀の専門家であり、『Don't Burp in the Boardroom』の著者であるロザリンダ・ランデル( Rosalinda Oropeza Randall )氏は自分が生み出したルールを破るのは、従業員の反感を買うための最も確実な方法であるとBusiness Insiderに語った。
不当に突き放す
『301 Smart Answers to Tough Interview Questions』の著者であるビッキー・オリバー( Vicky Oliver) 氏は「苦手な部下であっても、仕事に関することであなたに助けを求めてきたときに突き放してはいけません」と述べた。
噂話を広めるようなことも御法度だ。従業員に対するフィードバックは有益な内容であるべきだし、直接伝えなくてはならない。
約束を守らない
約束をしたことを忘れてしまう、あれは約束ではなく願望だったと言い訳するなどの行為は信頼関係を壊すには最も効果的な方法だ。
人の外見にコメントする
自分にとっては褒め言葉であっても、外見に関するコメントは聞く人によってはハラスメント、または差別だと受け取られかねない。褒めるのは、仕事の内容だけにとどめておくのが無難だ。
騒音で邪魔をする
「仕事中に音楽を大きな音で聞いたり、オフィス中に聞こえるような声量で会話をしたり、締め切りが迫って焦っている人に向かって週末の計画について長々と話したりを習慣的にやってしまうと、世界で一番邪魔な人に認定されてしまう」とランデル氏。
オープンオフィスでの騒音はチームの集中力および生産性に直接的な影響を与えてしまう。電話越しに声が聞こえてしまう場合は商談の邪魔にもなりかねない。
Flickr/Xataka
ミーティング中に注意散漫になる
「運転中にテキストメッセージを送信することが違法なのには理由があります。2つのことに同時に集中することは不可能だからです」とオリバー氏は語る。
ミーティング中にテキストの送信、ラップトップでのネットサーフィン、インスタントメッセージ、メール作成などを行うのは、話を聞いていないことを周りにアピールしているのと同じだ。
「体は椅子に腰掛けているかも知れませんが、気持ちが上の空だということは周りからみても明らかです」
離婚など個人的な問題について話す
オリバー氏によると職場で離婚について語ることは2つの問題があるという。「1つ目は、前の奥さんや旦那について毎日話していると、仕事への姿勢を疑われます。2つ目は問題解決の達人であるべき人間が個人的な問題を語っているという点です」
またランデル氏によると離婚などの個人的な問題についてスタッフにアドバイスを求めることで、アドバイスを求められた相手は余計なプレッシャーを感じてしまう可能性が高く、職場の上司としてのプロ意識が欠けている行為だという。
気分屋
上司の機嫌がころころ変われば、チームのメンバーは困ってしまう。
アカデミー・オブ・マネージメント・ジャーナルに掲載された最近の調査によると、気分屋の上司は不公平な上司よりもスタッフの士気に悪影響を及ぼすそうだ。
別の調査によると、上司がその時々で公平だったり不公平だったりする方が、常に不公平であるよりも、部下が受けるストレスは大きいという。
スティーブ・ジョブズのような感情的な上司が成功するケースというのは、そうそうあるものではないのだ。
自分の立場をわきまえない
収入やボーナスへの不満などを部下に言うのはもってのほかだ。
コミュニケーション不足
部下は上司の考えを読むことはできない。優秀な部下はあなたが必要としていることを先読みして対応してくれるかも知れないが、知らされていなかった締め切りについて突然叱られるのは納得できないだろう。
最良の上司は部下がやるべきことを常に明確に伝え、成功の基準を具体的に示し、コンスタントにフィードバックを伝える。
Flickr/Raúl Hernández González
大人げない
あなたはいい大人であり、社会人だ。かんしゃくを起こすような大人げない行為をしてはいけない。
清潔感がない
同時に仕事を真剣にこなしているように見える外見も大切だ。清潔感の有無はあなたの印象に大きく影響する。
「清潔感のなさ、だらしない服装に、周りの人たちは間違いなく引いてしまうでしょう」とランデル氏。
「ゲップ、おなら、歯をほじること、入浴をしないことなどは全て職場でプロ意識が低いと見なされる行為です。職場でなくても不潔だと思われるような行為は避けるべきです」
細かすぎる指示
ワークフローの指示はスタッフをいら立たせるだけでなく、死へと追いやってしまう可能性すら秘めている。
インディアナ大学のケリー経営学部が行った調査によると、要求が高い職場で、ワークフローまで細かく指示されている場合、要求がさほど高くない職場と比較して、死亡率が15.4%高いことが明らかになった。ワークフローを自分でコントロールできる場合、要求が高い職場の死亡率は、そうでない職場より34%低いことも明らかになった。
従業員のワークフローを重箱の隅をつつくように管理することで、改善できることはあるかもしれないが、やりすぎると修復不可能な亀裂を生んでしまう可能性があることも覚えておこう。
自慢する
「過去の実績を誇りに思うことや、いいことが起きたときにそのニュースを共有したいと思うことは自然なことです」とランデル氏は言う。
だが、共有を通り越して自慢になってしまうことも多々ある。
[原文:21 unprofessional habits that make your employees hate you]
(翻訳:まいるす・ゑびす)