ストライプの共同創業者ジョン・コリソン。
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- アイルランド出身27歳のジョン・コリソンは、世界最年少のセルフメイド・ビリオネア(自力で稼いでビリオネアになった人物)。資産は約10憶ドル(約1100億円)。
- ジョンと兄パトリックは、オンライン決済企業ストライプ(Stripe)の共同創業者。サンフランシスコで生まれた同社の企業価値は92憶ドル(約1兆円)にのぼる。
- ジョンは、ストライプを作り上げた何百人もの従業員のハードワークがなければ、「今、ここにいる可能性はほんの少しもなかった」と語った。
- また、それと同じくらい運もあったと続けた。
ジョン・コリソンは、世界で最も若いセルフメイド・ビリオネア(相続や2代目などではなく、自力で稼いでビリオネアになった人物)。
27歳のジョンと29歳の兄パトリックは、オンライン決済企業ストライプ(Stripe)の共同創業者。同社の企業価値は92憶ドル(約1兆円)にのぼる。
Business Insiderがテック企業の新星の1人に選出したジョンによると、会社の成功は、スキルや知性、運などだけによるものではない。多くの人のハードワークが欠かせない。
コリソン兄弟は、ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)のポッドキャスト「How I Built This」に出演し、どのようにして20歳になる前に最初の会社を設立し売却したのか、どのようにしてターゲット、リフト、キックスターターのような企業向けの決済システムを手がけるストライプを創業したのかを語った。
会社の成功に、スキルや知性、あるいは運がどれくらい関係したと思うかと質問されると、ジョンは次のように答えた。
「質問は、私のスキルや知性が成功にどれくらい関係したのかということではなく、ストライプをここまで成長させた何百人ものスキルと知性がどれくらい関係したのかという内容だと思う。スキル、知性、そして特に最も重要なことは、相当な努力とハードワーク —— これらすべてが必要だったと思う」
「物事を前に進める素晴らしい方法を考え出し、長期間、懸命に働いてくれた彼らがいなければ、我々がここにいる可能性はほんの少しもなかった。だが、運も必要だと思う。我々よりも頭が良く、ハードワークをする人はたくさんいる。ただ我々のように幸運ではなかった」
フォーブスによると、ジョンの資産は少なくとも10憶ドル(約1100億円)、世界最年少のセルフメイド・ビリオネア。2番目には、スナップチャットの共同創業者兼CEOのエヴァン・シュピーゲルが続く。
パトリックとジョンのコリソン兄弟は起業するため大学を中退し、最初の会社オークトマティックを立ち上げた。
Stripe
ジョンは、アイルランドの普通の田舎町で生まれ育った。両親は湖の近くでホテルを営んでいた。兄弟は2人ともボストンにやって来た。兄パトリックはマサチューセッツ工科大学(MIT)で、ジョンはハーバード大学で学ぶためだ。
兄弟は地元のパブで最初の会社オークトマティック(Auctomatic)のアイデアを練った。イーベイ向けに中古品販売を容易にするバックエンド技術を開発するというアイデアだ。
2人は大学を中退、サンフランシスコに移り、オークトマティックを起業。そして2008年、オークトマティックをカナダのメディア企業コミュニケート(Communicate)に売却、その額は500万ドル(約5億5000万円)と伝えられた。
ジョンは、ストライプは「オークトマティック時代に思い付いた中で、一番面白いアイデア」に取り組んだ結果と語った。そして、インターネットビジネスで最も難しいのは決済処理をどうするかで、ストライプはこの問題に取り組んだだけと付け加えた。
ブルームバーグによると、現在、ストライプは年に何百憶ドルものオンライン決済を取り扱っている。同社は決済ごとに少額の手数料を受け取っている。
現在、ストライプはアリアンツ(Allianz)、ブッキングドットコム(Booking.com)、 ジロー(Zillow)などの大企業を狙っている。2018年はじめにはエリック・シュミットが支援するPOSソフトウエア開発会社を買収。これにより実店舗向けの正式な製品提供が可能になる。つまり、ストライプは、さまざまな決済手段を取り扱う大企業を新たな顧客とすることができるようになった。
コリソン兄弟が出演したNPRのポッドキャストはこちら。
※敬称略
(翻訳:R. Yamaguchi、編集:増田隆幸)