中国との貿易戦争は、アメリカに有利? エコノミストは懐疑的

トランプ大統領

Getty Images/Pool

  • アメリカと中国の間で、貿易戦争が起ころうとしている。
  • ホワイトハウスは、アメリカの方が中国よりも有利な立場にあると言う。
  • しかしエコノミストは、中国の方が交渉に余裕があると考えている。

アメリカは中国との関税をめぐる戦いで有利な立場にあると、ホワイトハウスは言う —— 経済担当の上級顧問は「中国の方が分が悪いのは明らかだ」と言い、トランプ大統領自身も「貿易戦争に勝つのは簡単だ」と主張している。しかし、エコノミストたちの多くは、こうした見方に懐疑的だ。

トランプ政権は先週、500億ドル(約5兆5000億円)相当の中国製品に25%の関税を課すと発表した。トランプ大統領はさらなる追加関税の可能性も示唆している。

ブレット・ライアン(Brett Ryan)氏率いるドイツ銀行のエコノミスト・チームによると、この関税水準で、アメリカの主要消費財を保護するのは難しいだろうと指摘する。「アメリカのビジネスと消費者が、このジレンマの囚人になるだろう」

エコノミストたちは、中国からの輸入製品のほぼ全てを標的にすることは、アメリカの消費者が日々必要とする製品の値ごろ感に打撃を与えるだろうと言う。アメリカが中国から輸入する製品の中で最も多くを占めるのは携帯電話で、タブレットやラップトップがそれに続く。その規模は合計で800億ドル相当だ。

「アップルといったアメリカの大企業にとって、こうした製品を別の国から調達するというのは、短期的なオプションではないだろう」ライアン氏は言う。「だとすれば、こうした企業は利益率を下げるか、顧客に上乗せするか、どちらかを選択して、高くなった関税コストを受け入れなければならない」

その影響は企業を超えて、経済全体に波及するとエコノミストは言う。価格の上昇と成長の失速だ。

サンフランシスコ連邦準備銀行の分析によると、アメリカでは現在、コアPCE(個人消費支出)の約13%を輸入品が占めている。中国製品に対しトランプ大統領が提案した関税率で試算すると、コアPCEは約15ポイント上昇するだろうと、ドイツ銀行は言う。

そして、これはアメリカのGDP(国内総生産)に重くのしかかる可能性がある。ドイツ銀行は最大で0.3%のマイナスになると見ている。トランプ大統領の元経済顧問で、国家経済会議(NEC)の委員長も務めていたゲーリー・コーン(Gary Cohn)氏は最近、ワシントン・ポストに対し、貿易をめぐる戦いは2017年の共和党の税制改革による経済的利益を無にしかねないと語った。

「関税合戦になれば、物価が上がり、消費者債務につながる」コーン氏は言う。「これらは全て、景気後退の歴史的な要因だ」

ブリーン・キャピタル(Brean Capital)のストラテジスト、スコット・ブフタ(Scott Buchta)氏は、アメリカ経済の不透明感が長引けば、減税によって期待された設備投資の増加が失速するだろうと言う。短期的な赤字を増やし、国債の発行や金利にもネガティブな影響を及ぼす可能性があると指摘する。

一方、パンテオン・マクロエコノミクス(Pantheon Macroeconomics)のチーフ・エコノミスト、イアン・シェパードソン(Ian Sheperdson)氏によると、関税の影響が消費財に及べば、アメリカ国内の反発は「相当なもの」になるだろうと言う。

「中国には、企業のロビイングや消費者からのプレッシャーによって、アメリカが引き下がるのを待つだけの余裕がある」と、シェパードソン氏は話している。

[原文:US businesses and consumers could be the 'prisoners' of Trump's trade fight with China]

(翻訳、編集:山口佳美)

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