損保会社がつくるイノベーションラボ「D-STUDIO」は成功するか? ── SOMPOの新規事業、NTT東日本など参画

D-STUDIO イベント

WeWork 丸の内北口にて、SOMPO D-STUDIOのキックオフイベントが開催された。

SOMPOホールディングスは、事業創出プラットフォーム「SOMPO D-STUDIO」の設立を発表。6月19日に、東京都千代田区のWeWork丸の内北口にてキックオフイベントを開催した。

WeWork

キックオフイベントでは、D-STUDIOの紹介やネットワーキングの時間がとられ、参加者たちはWeWorkで提供されるビールなどを片手に和気あいあいとコミュニケーションをしていた。

キックオフイベントには、同社スタッフやメンターらを含め70人弱の参加者が集まった。会場はWeWorkの共用エリアだったため、別の目的でWeWorkを訪れていた人も同イベントの様子をうかがったり、参加することができた。

コンセプトはグーグルなどを生んだPlug and Playを意識

D-STUDIOの概要

D-STUDIOの事業創出までのプロセス。

SOMPO D-STUDIOは、いわゆるアクセラレーションプログラムと呼ばれるものの一種だ。開かれた場で大企業やスタートアップ、アイデアを持つ個人が集い、新しい事業を立ち上げていく。

SOMPO 楢崎浩一CDO

SOMPOホールディングス グループCDO 常務執行役員の楢崎浩一氏。

撮影:今村拓馬

同社のCDO(チーフデジタルオフィサー)を務める楢崎浩一氏は、6月13日に行われたD-STUDIOの設立会見で「グーグルやペイパルを生んだインキュベーターの権化・Plug and Playのように、大企業とスタートアップのコラボレーションの場をつくりたい」と語った。

また、D-STUDIOを運営する同社のデジタルベンチャー室 課長の田中健氏は既存のアクセラレーションプログラムとの違いを以下の様に挙げている。

  • 固定の場所の概念はなく、活動はインターネット上が主軸。必要に応じてWeWorkやSOMPOの施設を利用する
  • すでに課題意識や事業を手掛ける人に集まってもらうのではなく、アイデア出しや問題の具体化からスタートする
  • 基本的には事業化を目指す。その際、SOMPOと深いつながりがある事業であればSOMPOブランドの名前を付けた会社をつくる。そうでない場合も、投資を行い支援する

アイデア出しから始めることから、「D-STUDIOには「○○会社の●●です」のように会社名で参加してもらうのではなく「○○なアイデアがある●●です」などと「個人単位で参加してもらいたい」と、田中氏は語っていた。

登山アプリのヤマップやNTT東日本らもサポート

D-STUDIOのサポート企業

D-STUDIOスタート時のサポート企業は5社。そのほか、8人の個人サポーターや同社の「Data Science BOOTCAMP」の卒業生も参加する。

出典:SOMPOホールディングス

アイデアを持つ人以外にも、D-STUDIOにはデータや、それを分析するためのインフラを持つ企業や、資金を持つベンチャーキャピタルらが集まる。

例えばデータ面で言えば、SOMPO自身がもつ関連事業のビッグデータに触れることができる、加えて、D-STUDIOのサポート企業で登山向けアプリを手掛けるヤマップのオフライン位置情報のログや、レイ・フロンティアのサイレントログアプリで収集した行動ログなどに触れられる(いずれも利用者への許諾は取得済みで、個人を特定できる情報はマスキングされた状態)。

D-STUDIO プレゼン

キックオフイベントでは、SOMPOのデータサイエンス人材を育成する「Data Science BOOTCAMP」卒業生らが進めるプロジェクトのプレゼンテーションも行われた。

また、これらのビッグデータを解析するときは、同じくサポート企業であるNTT東日本が提供する深層学習用のIBM製GPUサーバーを使用できる。

まずは4分野に注力、2年後以降には3000億円の利益を目指す

D-STUDIOの注力分野

開かれた場で自由にアイデアを出し合えるD-STUDIOだが、事業化を目指す分野は4つに絞られている。

D-STUDIOでは、初期段階として既存事業に関連する以下の4分野での事業創出を目標としている。

  • モビリティー(自動運転、シェアリングなど)
  • スマートホーム(IoT、センシング、AI災害予測など)
  • ヘルスケア(ウェアラブル、AI疾病予測など)
  • 未来サービス(ブロックチェーン、未知の脅威など)

なお、事業創出の具体的なスケジュールは定められていないが、サポーター規模をこれから半年で約100人まで拡大させ(現在は20人弱)、30程度のプロジェクトを立ち上げていく見通しだ。

SOMPOホールディングスは、「中期経営計画(2016-2020年)」で、既存の保険事業などをデジタルシフトさせ効率化・増収化を図ることを打ち出し、新規事業の創出をデジタルベンチャー室ならびに今回のD-STUDIOで狙っている。

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目標としては、2020年度以降の早期にグループ全体で修正連結利益として3000億円の水準、修正連結ROEで10%以上を掲げている。同社によると2018年度の予想は、修正連結利益が2200億円、修正連結ROEは8.3%となることから、さらなるビジネスの加速が求められる。

D-STUDIOキックオフイベントの記念撮影

D-STUDIO キックオフイベントの参加者たち。SOMPOの新規事業を担うメンバーが、ここにいるかもしれない。

(文・小林優多郎 撮影・小林優多郎、今村拓馬)

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