金融庁は2018年6月22日、マネーロンダリング(資金洗浄)対策や顧客保護などの管理態勢が不十分だとして、仮想通貨交換業者のビットフライヤーなど6社に対して、資金決済法に基づき業務改善を命じた。
今村拓馬
処分の対象となったのは、いずれも正式な登録業者で、ビットフライヤー、QUOINE、ビットバンク、BTCボックス、ビットポイントジャパン、テックビューロの6社。テックビューロは3月8日にも業務改善命令を受けており、2度目の改善命令となった。
ビットフライヤーは業務改善命令を受け、22日から自主的に新規の利用者のアカウント作成を停止した。
金融庁は、登録業者が軒並み内部管理態勢の問題を抱えている点について、2017年秋以降、日本国内で仮想通貨の取引が急増したことを挙げている。「昨年秋以降、業容が急激に拡大する中で、内部管理態勢が追いついていない。どの会社も共通して、経営陣が十分な対応、戦略上の意思決定をしていない」と指摘している。
ビットフライヤーは、2017年9月に交換業者として登録された。交換業者は、利用者が新規にアカウントを作成する際に反社会的勢力と関係がないかを確認する義務があるが、同社は金融庁への登録時の審査で、確認方法について事実と異なる説明をしていたという。金融庁は、ビットフライヤーが事前に十分に確認しないまま、当局に説明をしたとみている。
ビットフライヤーに対する指摘
REUTERS/Toru Hanai
また、ビットフライヤーの取締役会や監査等委員会が、創業者の加納裕三社長の知人で占められていることから、代表取締役である加納氏に対する牽制機能を十分に発揮できていないと指摘した。
ビットバンクは、他社に仮想通貨取引の技術を提供する「ホワイトラベル」を重視している。金融庁は、同社のホワイトラベル戦略について、技術の提供先でシステム障害が発生した際の対応の手順を定めるなど、実効性のある態勢を構築するよう求めている。
ビットフライヤーの加納氏とビットバンクの廣末紀之社長はいずれも、4月に設立された日本仮想通貨交換業協会の副会長を務めている。
取引所Zaifを運営するテックビューロが業務改善命令を受けるのは2度目となった。金融庁は、経営管理態勢の構築や、マネーロンダリング対策などが不十分だとしている。
今回の処分で、各社に共通する課題のひとつとして金融庁が指摘したのは、利用者から預かった資金の管理の甘さだ。取引所の資産と利用者の資金をはっきりと分かる形で区別する必要があるが、利用者の口座に反映されるべき資金が、会社側の口座に預けられたままになっていたという。
(文・小島寛明)
(編集部より:業務改善命令の詳細と背景を加え、2018年6月22日17:30に記事を更新しました)