ホールフーズの店内。
Getty/Andrew Burton
- アマゾンが2017年8月に130億ドル(約1兆4000億円)以上をかけて買収して以来、ホールフーズ全体で「マイクロトリップ」が8.7%増加している。InMarketが報じた。
- 「マイクロトリップ」とは、5分以内の短時間の来店を指す。
- 増加は、店内に設置されたAmazon Lockerにオンラインで購入した商品を取りに来た顧客が要因となっているようだ。新規の来店客が増えれば、店舗で商品が売れる可能性は高くなる。
- アマゾンではAmazon GOなどの利便性を追求した取り組みでも、客の滞在時間の短縮に注目している。
アマゾンが今、追求しているのは、マイクロチップではない ——「マイクロトリップ」。
アマゾンのリアル店舗での戦略が明らかになってきた。オンラインと同じく、利便性に注力している。そしておそらく、顧客の利便性を最も向上させる方法は、買い物にかかる時間を短縮すること。
アマゾンは、2017年8月に買収したホールフーズでこの戦略を実行している。1300億ドル以上を投じた買収以来、ホールフーズ全体で「マイクロトリップ(Microtrips)」は8.7%増加したとInMarketが報じた。マイクロトリップとは、5分以内の短時間の来店を指す。
InMarketは、マイクロトリップの増加はアマゾンが店舗に設置したAmazon Lockerによるものだろうとしている。Amazon Lockerはアマゾンで購入した商品を受け取ることができるシステム。
Lockerはホールフーズの店舗内にある。Lockerに商品を取りに来た人は、もともとそのつもりはなくても、ついでに何か買うかもしれない。
またLockerに商品を取りに来る人は、おそらくアマゾンプライムの会員だろう。プライム会員限定セールで鮮魚が売られていれば、ディナーのために購入するかもしれない。また「2つ買うと1つ無料」と書かれた炭酸水を見て、パンが切れかかっていることを思い出すかもしれない。
この戦略は以前にも実行されている。Amazon GOだ。
Amazon GOの狙いは、顧客の店舗での滞在時間を可能な限り短縮すること。買い物をシームレスにし、欲しいものが決まったら、即座に購入できるようにする。
Amazon GOは利便性を徹底的に追求している。
Getty/Stephen Brashear
客の購買行動をセンサーとカメラで追跡し、従来のレジを省いたことは、客が購入を考え直すタイミングをなくすことにもつながる。
つまり、アマゾンはリアル店舗用の「1-Clickで今すぐ買う」ボタンを模索している。
[原文:Amazon's plan to take over physical retail is finally becoming more clear]
(翻訳:忍足 亜輝、編集:増田隆幸)