後継者不足を打開する「ベンチャー型事業承継」が誕生—— freee、マクアケが支援

ベンチャー型事業承継

記者会見に参加した経営者たち、左から中山亮太郎氏(マクアケ)、山田岳人氏(大都)、山野千枝氏(千年治商店)、堀尾司氏(AllDeal)、佐々木大輔氏(freee)。

撮影・川村力

人口減少と高齢化で中小企業経営者の高齢化が進み、後継者不足が深刻になっている。この現状を打破しようと、家業の経営資源を活かして新たな事業を起こす中小企業の若手後継者を支援する「一般社団法人ベンチャー型事業承継」が発足した。

事務局は、企業コンサルティングを手がけるスタートアップ、AllDeal(オールディール)内に置く。理事には、DIY用品通販で成長中の大都、クラウドファンディングを手がけるマクアケの代表らが就任。ベンチャーの事業育成や支援、新規事業立案を数多く手がけてきた杉浦佳浩氏らが顧問を務める。

望まぬ廃業を防ごうと、事業の引き継ぎ先を外部に求める経営者が増加する中で、いわゆる「事業承継」は大きな問題として取り沙汰されている一方で、新たなビジネス機会として注目されている。

企業の休廃業は急増していて、そのために従業員の整理が行われたり、伝統技術やサービスが失われたり、さまざまな問題が起きている。具体的には、2000年に1万5000件前後だった休廃業件数が、2007年に2万1000件、2016年には2万9000件超へと急増している(東京商工リサーチ調べ)。

freeeやマクアケなど成長企業が「応援団」に

具体的な取り組みとして、クラウド会計ソフトでトップシェアを誇るfreee(フリー)の協力を得て、家業の経営資源を活かした新規事業を考えるアイデアソンを行う。地方出身で東京在住の「アトツギ(跡継ぎ)」を巻き込み、事業開発と人材育成につなげる。

また、マクアケと協力し、同社のクラウドファンディングを通じて、アトツギによる新たな事業展開を資金面とマーケティング面でサポートする。銀行と連携して融資の増額を後押しするなど、実績のない事業を進めるため借り入れの難しい初期段階の支援も行う。

他にも、若手後継者を支援するためのさまざまな取り組みを検討しており、成長・拡大に向けて大きな資金需要が出てきた事業についてもサポートできるよう、配当でリターンするファンドを運営していく計画もあるという。

「第二創業」「経営革新」はもう古い

2018年6月25日に行われた記者会見で、代表理事の山野千枝氏は「従来は『第二創業』『経営革新』などと呼ばれていた新規事業や業態転換、新市場への参入を『ベンチャー型事業承継』と位置づけることによって、新たに挑戦する若い後継者を増やしたい」と語った。

若い世代全般ではなく、家業の後継者である「アトツギ」に支援の対象を絞り込んだ理由としては、同族企業が好不況の波に左右されず安定的な収益を生み出すことを明らかにしたデータ(『ハーバード・ビジネス・レビュー』2012年11月)を紹介した上で、規模の拡大や急成長より永続性を優先し、好業績の時に過大な投資に走らず不況期に備える「日本型同族企業」の経営判断と企業風土が、イノベーションの土台となるとの見方を示した。

(文・川村力)

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