中国のブロガー、Zhao Yuqingさん(24歳)。2017年、春節の週末限定の"レンタル彼女"として、ある独身男性に雇われた。
REUTERS/Muyi Xiao
- 中国では、かつての一人っ子政策のおかげで、若者は女性に比べ男性が圧倒的に多い。
- 家族のプレッシャーから逃れるため、多くの若い男性が、アプリを使って彼女のふりをしてくれる女性を雇っている。
- ロイターは、春節の週末限定で雇われた"レンタル彼女"の1人に同行し、その様子を取材した。
休暇で帰省したとき、独身者なら恋愛や結婚の予定について家族から質問攻めにされたことがあるかもしれない。
中国人男性の場合、多くがそうした経験をしているようだ。36年間続いた一人っ子政策の結果、中国では24~40歳の男性は同世代の女性よりも約3000万人多い。
この男女不均衡が、若い中国人女性に驚くべき新たなビジネス・チャンスをもたらしている。独身男性の彼女のふりをし、親族からの詮索の恐怖を和らげるのだ。もちろん、有料で。
こうした"レンタル彼女"を探すアプリは、中国で急速に普及している。その1つ「Hire Me Plz(わたしを雇って)」のユーザー基盤は70万人にのぼると、ロイターは報じている。
2017年、北京在住のブロガー、Zhao Yuqingさんには、親族に紹介するための"レンタル彼女"を切望する男性たちから、700件以上の応募があり、Yuqingさんはその体験をロイターと共有した。彼女の体験は、中国における結婚問題の根深さを物語っている。
Zhao Yuqingさんは、北京在住の24歳のブロガーだ。2017年、"レンタル彼女"に登録し、春節(中国の旧正月)に帰省する男性に"彼女"として同行した。
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春節は"レンタル彼女"にとって、1年で最も忙しい時期だ。人によっては、1日で1450ドル(約16万円)も稼ぐという。だが、Yuqingさんはネット上に出した広告で、交通費のみ負担してもらえればと書いていた。
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700件の応募の中からYuqingさんが選んだのは、Wang Quanmingさんだ。Quanmingさんはウェブサイトを運営する、30代前半の中国南部の農村部出身。「彼は結婚するようプレッシャーをかけられていて、"レンタル彼女"を本当に必要としていました」Yuqingさんはロイターに語った。
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車で村に向かう前に、2人は3日間の滞在について、契約書を作った。キスはしない、一緒に寝ない、お酒は飲まない。ただ、Yuqingさんは家事を手伝うことを提案した。
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「村の特殊な環境の下では、全てが大事になってしまう」Yuqingさんはロイターに語った。「結婚を急がなければならないから、かえって本当に自分に合ったパートナーを見つけるのが難しくなっている」
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春節が明けた後、Quanmingさんは結局、両親にYuqingさんが"レンタル彼女"だったことを打ち明けた。両親は受け止めたようだ。「初めは、だまされているなんて気づかなかった」母親は言った。「もう50過ぎよ。若い子たちのやることは理解できないけれど、怒りはしなかったわ」
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その一方で、あの春節の休暇以降も、状況はほとんど変わっていないとQuanmingさんは言う。「早く結婚してほしいと言う母の望みは、今もまだある」
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(翻訳:Ito Yasuko/編集:山口佳美)