ライザップ東証一部への「上場」が遅れる理由 —— 札幌の取引所全体の95%超の売買高

RIZAP瀬戸氏&松本氏

RIZAPグループのCEO瀬戸健氏(左)とCOO松本晃氏。

相次ぐ企業買収で急拡大しているRIZAP(ライザップ)グループ。このところ、札幌証券取引所での同社株の売買高が、取引所全体の95%前後を占めている。ライザップは札幌証券取引所のアンビシャス市場に上場しているが、2018年4月の1カ月間では、取引所全体の売買高の97%を超えた。

ライザップとしては早期に、東京証券取引所の第一部(東証一部)への変更を目指しているが、札幌の取引所の広報担当者は「ステップアップは喜ばしいが、ぜひ札幌と重複して上場していただきたい」と話す。

札幌証券取引所によると、アンビシャス市場は「急成長している企業に資金調達の場を提供する」との趣旨で設置されている。アンビシャス市場には現在、ライザップを含めて8社が上場しているという。

2018年5月、アンビシャス市場でのライザップの売買高は約200億円だった。アンビシャス市場を含む札幌証券取引所全体の売買高は約207億円だったため、ライザップは売買高の96%超を占めた。

6月24日に開いた株主総会では、株主から市場の変更の時期についても質問が出た。

CEOの瀬戸健氏は質問に対し、「方向性は変わっていませんし、確実に前進はしているが、前回みなさまにお話したイメージからは遅れており、申し訳なく思っている」と述べ、市場の変更の手続きに時間がかかっていることを認めた。

買収を重ねて「肥大化」するライザップ

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2018年4月6日の「湘南ベルマーレの経営権取得会見」の模様。湘南ベルマーレの眞壁潔会長(中央)と三栄建築設計の小池信三社長(右)。瀬戸社長(左)は、中期経営計画でスポーツとフード分野に集中的に投資すると発表した。

撮影:川村力

ライザップは設立から15年ほどで、75社、従業員7063人(2018年3月31日現在)の一大グループに急成長した。近年は、中核のボディメイクだけでなく、アパレル、インテリア、エンターテインメントなど幅広い業種の企業の買収を重ねている。

市場の変更に手間取っている理由も、急拡大にあるようだ。

瀬戸氏は「普通の会社ではないような成長のスピードをしているので、新しい事業領域、ゴルフ、イングリッシュ、M&Aを含めると、その分、審査の確認事項が増える。審査をされる側なので、直接コントロールしにくいところもある」と株主に説明した。

札幌証券取引所の広報担当者によると、仮にライザップの上場先が東証一部に変更になったとしても、取引所の運営に大きな影響はないが、売買にともなう手数料収入は減るという。

「商いは多いときも少ないときもありますから、少なくてもやっていけるよう運営しています。ただ、他の市場に行くとなれば、売買高は減ります」(広報担当者)と説明する。

もともとアンビシャス市場は、上場している企業が成長し、札幌証券取引所や東京証券取引所といった市場にステップアップしていくことを想定している。

広報担当者は「先輩企業として、背中を見せていただくという意味も含め、ぜひ札幌と重複して上場していただきたい」と話している。

(文・写真:小島寛明)

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