AP
- アマゾンは2017年はじめ、解雇の可能性がある従業員向けのプログラムを導入した。だが、逆に怒りを買っているようだ。ブルームバーグが伝えた。
- 最も議論になっていることは、従業員とその上司が陪審員役の同僚たちの前でそれぞれ意見を述べるビデオ会議。これが不公平と見られている。
- 全体としては、プログラムは従業員に透明性とアドバイスをもたらすことが目的だった。だが導入から18カ月、従業員は、彼らが必要とする公正なサポートを会社が提供しているとは、明らかに感じていない。
アマゾンは、厳しい職場として知られている。そのため、解雇の可能性がある従業員を改善するために、同社はパフォーマンスが低いと評価された従業員向けのプログラム「Pivot」を2017年にスタートさせた。
だがPivotのスタートから18カ月、プログラムは新たな怒りを生み出している。従業員はプログラムのヒアリング手法が公正なのかどうかを疑問視している。ブルームバーグが伝えた。
同プログラムは、アマゾンは従業員の増加に対応できていないという苦情のなか、2017年1月に導入された。「パフォーマンス改善プラン」と呼ばれるプログラム(いわば、アマゾン版の保護観察期間)の中で同社は、対象となった従業員に3つの選択肢を与えた。
- 辞職し、退職金を受け取る
- マネージャーが設定した目標を達成することで自身の価値を証明し、数カ月を過ごす
- 裁判風のビデオ会議で陪審員役の同僚に対して、本人とその上司がプログラムでの評価について意見を述べる。その後、決定に基づいて、最初からやり直す
しかし、元アマゾン社員の訴訟を手掛けた雇用問題に詳しい弁護士のジョージ・タンブリン(George Tamblyn)氏は、3つめの選択肢は「つるし上げに等しい」とブルームバーグに語った。
従業員とその上司は、それぞれ事前に相手側の言い分を確認し、適切な準備を行う。だが、実際のビデオ会議では、従業員は何も聞くことはできない。従業員ができることは、3人に対して精一杯アピールすることのみ —— だが究極のところ、3人の陪審員はアマゾンが選んでいる。
3番目の選択肢を選んだ従業員は、勝ち負けにかかわらず、ストレスと戦うことになる。そしてこの裁判風のヒアリングで負けた人の70%が、次は前述の1番目か2番目を選ぶと伝えられた。つまり、辞めるか、翌月以降、改善を試みながら過ごす。
勝った人は、厳しい職場に復帰するために元のチームに戻るか、あるいは「キャリア・アンバサダー」の指導のもと配属先を変えることができる。
アマゾンは、同社の“極めてアマゾン的なプログラム”の評価基準は公表しなかったが、ブルームバーグに、プログラムの結果に満足しているとの声明を送った。
同社は「従業員に提供しているサポートに満足」しており、「従業員からのフィードバックとニーズをもとに、繰り返し行っていく」と述べた。
ブルームバーグの記事はこちら。
(翻訳:Hughes、編集:増田隆幸)