Japan Blockchain Conferenceであいさつする経済産業省の松田洋平・情報経済課長。
2018年6月26日から2日間にわたって東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された「Japan Blockchain Conference(ジャパン・ブロックチェーン・カンファレンス)」。
冒頭であいさつをした経済産業省の松田洋平・情報経済課長は「ブロックチェーンを活用していこうとすると、いろんな規制がネックになってくるので、規制の見直しといったことも含めて、この重点分野でも取り組みを加速している」と述べ、ブロックチェーン活用のための環境整備を進める考えを強調した。
5分余りの短いスピーチだったが、経産省がブロックチェーンの可能性と課題についてどう考えているかを端的に示す内容だ。
経産省はブロックチェーン技術をこう見ている
shutterstock
松田課長はあいさつの中で、経産省としてブロックチェーン関連の取り組みに力を入れていることを強調した。同省は2016年3月に公表した報告書の中で、ブロックチェーン関連の市場規模を67兆円と見積もっている。
「経済産業省としても、相当さまざまな取り組みをしています。2016年には日本の政府の中では初めて、ブロックチェーンの市場調査を実施した」
ブロックチェーンの活用の幅の広さについても指摘した。
「金融だけでなく、製造業、物流、医療、公的分野についても、ブロックチェーンの可能性がかなりある」
一方、さまざまな形で指摘されているように、経産省としても、ブロックチェーンの処理速度には、まだまだ課題があるとみているようだ。
「ブロックチェーンを活用した実証実験を民間も政府も推進しているが、そのなかで見えてきた課題もある。いままでのシステムと比べて、情報の処理の量や、スピードに課題がある」
東京・有楽町の東京国際フォーラムで開かれたJapan Blockchain Conference。海外からの出展も多かった。
さらに、「スマートコントラクト」についても、課題があると指摘した。スマートコントラクトは、ブロックチェーン技術を活用し、事前に取り決めた条件を満たしたときに自動的に契約を履行させる、新しい契約のあり方だ。
「関係者でデータをやり取りする時に、スマートコントラクトを含めてどういうふうに合意形成をすればいいのか、といったところの課題も見えてきている」
ブロックチェーンをめぐる、データの処理速度などの課題をどのように解決していけばいいのだろうか。松田課長は、日本だけでは解決できないとの考えを示す。
「課題を日本の中だけの人材や技術で解決するというのは、あまりよろしくない。世界中の方々に来ていただいて、日本でいろんなトライアルをしていただき、日本からもトライアルしたものを発信していく流れができることで、日本でブロックチェーンの実装が加速するのではないか」
(文、写真・小島寛明)