業界を変える? 10億円のスイス製プライベートジェット

PC-24

スイスの航空機メーカー、ピラタス・エアクラフトの「PC-24」。

David Slotnick/Business Insider

  • スイスの航空機メーカー、ピラタス・エアクラフトは同社初のジェット機であり、890万ドル(約10億円)のプライベートジェット「PC-24」の納入を開始した。
  • PC-24は、同社の「Super Versatile Jets(SVJs)」の最初の機種。ジェット機の性能とプロペラ機の使い勝手の良さを兼ね備えている。
  • 同クラスの機体よりも短い距離での離着陸が可能なほか、草地や砂利、土など未舗装の滑走路でも利用できる。
  • PC-24の1号機の納入先は、航空機の共同オーナー事業を展開するPlaneSense。どこよりも早く、PC-24でのフライトをお伝えしよう。

プライベートジェットは無用で、非合理なものに思えるかもしれない。だが、もし買えるなら(あなた、もしくはあなたの会社が)、買うべき理由はいくつかある。

第1の理由は、フレキシビリティ。プライベートジェットを利用するほとんどの人にとっては、これが最大の利点。だが、変化の多いビジネスを行っている人にとっても重要な要素になる。

「フライト中に『やはり、代わりにここに行こう』とか、別の場所に降りようなどと決めることができる」とPlaneSenseの創業者兼CEOジョージ・アントニアディス(George Antoniadis)氏は語った。

「旅客機ならハイジャックのようだが、プライベートジェットでは当たり前」

もちろん、プライベートジェットの所有には、時間やエネルギー、資金などの大きな投資が必要。同社が提供する共同オーナー制度の存在意義は、ここにある。

共同オーナー制度は航空機を完全に所有し、メンテナンスやオペレーション、人員の手配、ライセンスの取得などを行う代わりに、PlaneSenseのような企業が運航する航空機を使用する権利を購入する。

その後、必要になるのは毎月の維持費と、搭乗した時間分の使用料のみ。燃料費とスタッフの人件費は含まれている。

「我々は複数の機体を運航しているため、メンテナンスやパイロットの不在などによる欠航はない。自分の航空機を所有していることと変わらない」

PlaneSenseの設立は1995年、40機以上の航空機を所有している。平均機齢は5年以下。同社は頻繁に新たな機体を購入し、古くなった機体は中古市場で販売、常に最新の機体を揃えている。

同社は最近まではターボプロップ機、つまりはプロペラ機が中心だった。だが2018年2月、PC-24を購入、1号機が納入された。

スイスの航空機メーカー、ピラタス・エアクラフト(Pilatus Aircraft)のPC-24は、PlaneSenseのために作られたような機体。PlaneSenseがすでに多くの同社製ターボプロップ機PC-12を所有していることがその理由というわけではない。

PC-24はジェット機。同クラスのジェット機と比べて、より速く、航続距離も長く、最高高度も高い。さらに離着陸距離もより短い。使い勝手の良いプロペラ機といった感じ。

PlaneSenseは、Business Insiderを含む数社を対象に、PC-24の試乗フライトを実施、ニュージャージー州テターボロ空港から、マサチューセッツ州チャタムにあるケープコッド岬まで飛んだ。

滑走路が短いことで知られるテターボロ空港から約45分間の空の旅は、同機が短い滑走路にも対応できることを証明した。

軽い昼食をとるために —— いや、本当はプライベートジェットでのフライトがどれほどフレキシブルなものかを証明するために —— CEOのアントニアディス氏はまっすぐ戻らずに、ニューハンプシャー州ポーツマスに寄り、同社のオペレーションセンターを案内してくれた。

高速なWi-Fi環境を備えたPC-24は、驚くほど快適で、とても素晴らしかった。特に、短い距離での離着陸は素晴らしい。

世界初のPC-24と、同機でのフライトの様子を見てみよう。

PC-24の第1号機。機体記号はN124AF。PlaneSenseに2018年2月に納入、その後、テストフライト、パイロットのトレーニング、認定を終えて、3月30日に顧客向けフライトが始まった。同社はさらに5機を注文している。

PC-24

David Slotnick/Business Insider


ピラタス・エアクラフトによると、同機は「Super Versatile Jets(SVJ)」と呼ばれる機種の1号機。

PC-24

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同クラスのジェット機よりも、短く、ラフな滑走路でも離着陸が可能なため「Super Versatile Jets(SVJ)」という別名が付けられた。草地や砂利、土など未舗装の滑走路も安全に利用できる。

PC-24

David Slotnick/Business Insider


プロペラ機の使い勝手の良さとジェット機のスピード、航続距離、性能を兼ね合わせている。PC-24の画期的なフラップシステムが、プロペラ機のような低空、低速での飛行を実現し、短い滑走路の利用を可能にした。失速速度は、なんと時速81ノット(約150キロ)。

PC-24

David Slotnick/Business Insider


2基のウィリアムズ・インターナショナル製FJ44-4Aエンジンは、機体後部の上方、T字尾翼の下に取り付けられている。

PC-24

David Slotnick/Business Insider


同様の航続距離と乗客数を持つ競合機種と比べたときに、PC-24の優位点は使い勝手だけではない。

PC-24の客室

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客室も素晴らしい。約14平方メートルで、同性能の機体よりも広く、ビジネスでもプライベートでも快適なフライトを実現する。救急用航空機としても使える。シートは6〜10人乗りに設定でき、必要に応じて簡単に変更できる。

PC-24の客室

David Slotnick/Business Insider


「エグゼクティブ・セットアップ」は乗客8名。

PC-24の客室

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各シートにはサイドに収納できるテーブルがあり、簡単に広げられる。2席が向き合うように設定された場合は、写真のように広いテーブルを共有できる。

PC-24のシート

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とはいえ、大陸や大洋を横断するための機体ではなく、地域間の短距離フライト用なので小さなトイレしかない。トイレは通常は格納されており、必要なときに引き出して使う。収納式の仕切り用の扉がある。手洗い場はトイレの反対側。

PC-24のトイレ

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客室の内装はBMWがデザイン。シートはクッション性が高くて快適、リクライニングも可能。スペースがさらに必要なら、通路方向にスライドできる。

PC-24のシート

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パイロット1名でフライト可能だが、PlaneSenseは常に機長と副操縦士でフライト。

PC-24のコックピット

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同社は、ライセンスを持ったパイロットを雇用し、同社の手順とPC-24に関するトレーニングをさらに約4カ月実施する。写真は座学の様子。

PC-24の座学

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特製の簡易型シミュレーターを使った訓練。より大掛かりなシミュレーターによる訓練も行っている。

PC-24のシミュレーター

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フライト前にケータリングを注文できるが、注文しなくても、軽食や飲み物、アルコールが揃っている。

PC-24の客室

David Slotnick/Business Insider


PC-24でのプライベートフライトは、他にはない経験だった。だが最大の驚きは、着陸してすぐのこと。

PC-24の客室

David Slotnick/Business Insider


ターミナルも、面倒な荷物の受け取りも、混雑したタクシー乗り場もない。プライベートジェットなら、自分のタクシーや車、Uberがすぐそこに待っている。この試乗フライトを体験したら、エコノミーシートには戻れない!

外で待つ車

David Slotnick/Business Insider


[原文:I flew on a $9 million Swiss private jet that's trying to disrupt the industry — here's what it was like

(翻訳:Hughes、編集:増田隆幸)

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