HTCはグローバル発表から約1カ月後にあたる、6月27日に国内版「HTC U12+」を発表した。
- 一部“シースルー”になった背面デザインは、所有欲をかき立てる
- エッジセンス2やカメラ機能など、トレンドを追いつつ、独自性も高い
- 3万円台スマホが人気の中、10万円超という価格設定は挑戦的
台湾のHTCは、グローバル向けには発表済みのハイエンドのSIMフリースマートフォン「HTC U12+」の国内における取り扱いを正式に発表した。参考価格は10万2600円(税込)。発売は2018年7月20日に予定されているが、実際にモノとしての良さや完成度はどうなのか。ファーストインプレッションをお送りする。
個性と実用性溢れるデザイン
トランスルーセントブルーの背面のみ、本体の基板が一部見えるようになっている。
U12+の最も目を引くポイントは、なんといってもデザインだ。
U12+のカラーバリエーションは半透明のトランスルーセントブルー、セラミックブラック、フレームレッドの3色があるが、U12+ならではの個性を感じさせるのは、トランスルーセントブルー。デジタルガジェット好き、理系な人の琴線に触れるような、本体内部の基板が透けて見えるようなデザインになっている。
もちろん半透明はやり過ぎだという人には、セラミックブラックやフレームレッドといった、一般的なつややかなカラーバリエーションも用意されている。
HTC U12+は縦長の画面を採用している。Android標準の画面分割機能も縦長画面だと実用性が増す。
ディスプレーは、縦横比18対9の6インチQHD解像度(2880×1440ドット)液晶で、非常に鮮明。最近のAndroidスマートフォンとは違い、iPhone Xのような画面上部にカメラ部分の切り欠きができる、いわゆる「ノッチデザイン」を採用していない点も、ほかの製品との差別化ポイントといえる。
タップ以外に“握る”操作を実現する「エッジセンス2」
HTC U12+は、従来機「HTC U11」から引き続き“握る”操作に対応している。
近年流行の縦長液晶は画面を広く見せるメリットがあるが、同時に画面上部には片手でタッチしづらいというデメリットも生んでしまう。特にU12+は、iPhone 8 Plusよりわずかに小さいだけの大型モデル(横幅が6ミリ、天地は2.4ミリ、それぞれ小さい)なので、操作感の改善は大事なポイントだ。
通常、スマートフォンメーカー各社は、キーパッドなどの操作領域を縮小させるなどの“片手モード”を搭載して対処することが多い。HTCは独自の操作体系「エッジセンス2」で、もう一段こだわった使いやすさを提案している。
右側面を指でダブルタップすると右側に画面を寄せることができた。
エッジセンス2は“スマートフォンを握る”という動作で起動するショートカット機能だ。「2」という名称通り、U12+に搭載されるのは従来機からの進化形で、握る意外にも“持つ”“(本体側面を)タップする”という動作にも対応した。
具体的にエッジセンス2でできる代表的な機能は以下の通り。どれも“ないと困る”というものではないが、“あると便利”であるのは間違いないだろう。
- 握る……カメラを起動/シャッターをきる
- 長く握る……Googleアシスタントを起動
- 持つ…縦に持っている時は、本体が横になっても画面を回転させない
- ダブルタップする……片手モードを起動し、タップした側面の方に操作領域を寄せる
背面も正面もデュアルカメラ
背面カメラは2眼構成で、ボケ味の効いた写真が撮影できる。
さらに、U12+は、他の最新スマートフォンのように背面にデュアルレンズカメラを採用している。構成は1200万画素の広角レンズと1600万画素の望遠レンズという組み合わせ。
レビューをするための時間は非常にわずかだったため、細かな画質や使い勝手の評価はできないが、その場で使った限りスナップショットをする分には遜色無さそうではあった。
HTC U12+の標準設定で撮影。
HTC U12+の背景ぼかしモードで撮影。
また、背面だけではなく正面にもデュアルカメラ(広角800万画素×2)がある。こちらも詳細なレビューはできなかったが、特徴だけ見れば、ライバル機は同じく台湾メーカーのASUS製「ZenFone 5Q」など、日本にはわずかしかない。
おサイフ、防水防塵対応、10万円オーバーは高いか安いか
HTC U12+は直販サイトやAmazonのほか、格安SIMを展開する仮想移動体通信事業者でも取り扱われる見通し。
HTCでは参考価格を10万2600円(税込)としており、既にAmazon.co.jpではこの価格で予約がスタートしている。この価格はどう見るべきだろうか。
グローバル版とは異なり、日本版HTC U12+はおサイフケータイに対応しており、モバイルSuicaやWAON、nanaco、iDなどといった非接触決済サービスが利用できる。
性能面では、心臓部がクアルコム製の最上位向けチップセット・Snapdragon 845、メモリーが6GB、ストレージが128GB。さらに、IP68の防水防塵性能やおサイフケータイ機能など日本で人気の機能も搭載している。
SIMフリー端末というしばりでおサイフ対応、防水防塵、同価格帯のハイエンド競合端末を見て行くと、U12+を取り巻く興味深い状況が見えてくる。
カメラ性能で注目のファーウェイ「P20 Pro」がドコモ専売であるため、競合にあたるSIMフリー端末は実質「iPhone X/8 Plusしかない」のだ。
HTCがこれを狙ってやっているかは別にして、U12+は非常に個性的な立ち位置の端末といえる。価格設定ははっきりと高価だが、「その価値がわかる人」に向けた端末ということなのだろう。
(文、撮影・小林優多郎)
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