朝のコーヒー習慣が危機に! スターバックスのシュルツ元会長、気候変動の影響を指摘

コーヒーを入れるハワード・シュルツ氏

スターバックスを世界有数のブランド企業に成長させたハワード・シュルツ氏は、2018年6月26日付で同社の会長職を辞任した。

YouTube/AARP

  • スターバックスの元会長ハワード・シュルツ氏は、気候変動が今後、コーヒーの質に打撃を与えるだろうと指摘した。
  • 科学者たちはすでに、気候変動が世界各地でコーヒーの生産に影響を及ぼしていることを確認していて、2050年までに状況はさらに悪化するだろうと予測している。
  • スターバックスは新たな品種を試し、暑さや菌に強くて、味の良いコーヒー豆を開発しようとしている。

スターバックスの元執行会長ハワード・シュルツ氏は、「朝のコーヒー」というわたしたちの習慣の未来を危惧している。

「気候変動がコーヒーの質の変化に与える影響は、さらに大きくなっていくだろう」コスタリカにあるスターバックスのコーヒー農園を最近訪れたシュルツ氏は、雑誌タイムに語った

温暖化が進むにつれ、天候不順も広がっている。雨季に全く雨が降らない地域がある一方で、降雨量の増加によって洪水が起きている地域もある。

赤道付近でコーヒーを育てている農家はすでに、コーヒーの生育の見通しが立たないと感じ始めている。コスタリカやエルサルバドル、ニカラグアでは、6年前から広がり始めたコーヒーさび病のせいで豆の生産量が減っている。このさび病菌は、気候変動の象徴である激しい寒暖差に強いと、科学者たちは考えている。雑誌『Food Security』に掲載されたある研究によると、さび病が流行した2008年から2011年にかけて、コロンビアではコーヒーの生産量が平均して31%減少し、コーヒーの価格指標は55%上昇したという。

ブラジルでは2017年5月、降雨量が異常に多かったため、収穫量が減り、コーヒー豆を乾燥させるのが大変だった。しかし、アメリカの農務省(USDA)によると、2018年のブラジルの生産量は600万袋まで増加すると見込まれている。

科学者たちは、コーヒーの生産に適したラテンアメリカの生産地(植物の受粉を手伝うハチが多い)は2050年までに88%減る可能性があると見ている。一方、タンザニアの高地の気温は、すでにコーヒーの生産に適した気温の上限を超えているという。

ユーロモニター・インターナショナルの2017年の調査によると、スターバックスは世界で4番目に大きなコーヒー販売業者だ。つまり、それだけ気候変動によって失うものも大きい。こうした脅威に立ち向かうため、スターバックスは暑さに強い新たな品種を研究し、その結果を公表している。同社はまた、新たな品種の苗木や種を農家に提供し、2025年までに1億本のコーヒーの木を植えると約束している。

「状況を立て直す方法を知るためにはまず畑に行き、コーヒーを育てなければならない」シュルツ氏はタイムに語った。

増える需要、減る供給

コーヒーは今や(原油に次ぎ)世界で2番目に多く取り引きされるコモディティーだ。CBSニュースの最近の報道によると、中国のコーヒー消費量は過去4年で3倍に増えた。ユーロモニターの調べによると、カナダの消費量も2010年から2015年にかけて、毎年平均3.3%増加している。カナダのコーヒー協会は、カナダ人は日々の生活の中で、水道水よりもコーヒーを多く飲んでいると言う。

コーヒー豆の収穫

コスタリカのプランテーションで、熟したコーヒー豆を収穫する労働者。

Juan Carlos Ulate/Reuters

つまり、需要の高まりに対応するには、コーヒー豆の生産量を上げる必要がある。

しかし、時間はスターバックスの味方ではない。新たな品種は、豆の収穫ができるようになるまでに4~5年を必要とする。これは伝統的な品種の3~4年よりも長い。加えて、スターバックスの菌に強い一部の品種は、1本の木がつける実の量が少ないため、全体の生産量はこれまでに比べて減る。

もちろん、コーヒー豆は穀物の1つに過ぎない。研究者たちは最近、気候変動がトウモロコシの生産に打撃を与え野菜の生産量を減少させ、わたしたちの食べ物の栄養価を低下させるだろうと予測している。しかし、気候変動の専門家は長きにわたり、気候の穏やかなコーヒーの生産に適した地域で暮らす人々は、他の地域で暮らす人々に比べ、気候変動により脆弱だと指摘してきた。

「コーヒーは気難しい作物だ」国際NGOのコンサベーション・インターナショナルで、持続可能な市場及び戦略を担当するバンビ・セムロック(Bambi Semroc)氏は最近、スターバックスに語った。「(コーヒーは)決まった標高で、決まった量の雨を受けて育つ必要がある。こうした制限的な要素がすでにあるところへ気候変動が加わり、人々がコーヒーの生産に適していると思った土地に打撃を与えている」

[原文:Starbucks' Howard Schultz says your morning coffee ritual is under threat]

(翻訳、編集:山口佳美)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい