目立った新機能がない「iOS12」が表すアップルの変化とは

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  • iOS12——アップルのiPhone/iPad向けOSの最新バージョンには、目立った新機能は少ない。
  • 代わりに、すでにユーザーが持っている端末の信頼性とパフォーマンスを向上させることに注力した。
  • これこそ、ほとんどのユーザーが望んでいたこと。
  • 「お客様は神様」という古い言葉の大切さをアップルが理解し始めていることを示している。

ほとんどの人にとって、最新のiOSで気にするべき特徴は1つしかない。すなわち、パフォーマンスの大きな向上のみ。

アップルによると、2018年秋に正式に登場するiOS12では、2015年に発表された端末でもアプリの起動スピードが40%速くなる。キーボード入力はよりスムーズになり、完璧な写真を撮り逃がすこともない。

もちろん、iPhone Xで使えるアニ文字や顔認証機能も改善されている。だがiOS12の大部分で、アップルはユーザーが望んでいたことを実現した。ユーザーがすでに持っているiPhoneをより速く、より強くすること、つまり、安定性のアップデートを実現した。

これこそ、毎日、約10億人が使っているiOSでアップルが行うべきこと。アップルはiPhoneの使い方を変える、新たなOSをリリースする必要はない。人々の不満に耳を傾け、それを修正すれば良い。

実際、アップルは今、iPhoneで従来とは異なるやり方をしているように思える。以前は大規模なアップデート、つまりステージや広告で目立つ機能を前面に打ち出していた。しかし今、アップルは一般的なユーザーが気にするような日常的な問題の修正に多くの時間を費やしているようだ。

またパフォーマンスの改善だけではない。我々があまりにもスマートフォンに依存しているという新たに浮上している問題を無視することなく、アップルはスマートフォンの使用を制限するツールを提供。さらに開発者がSiri向けの新機能を開発できるプラットフォームを構築する代わりに、ユーザーにとって、より使いやすくするために「ショートカット」と呼ばれる機能を搭載した。

こうしたアップルの動きは、iOS12が2018年のWWDCで発表されたあと、長くアップルをウォッチしているアナリストのジーン・マンスター(Gene Munster)氏が、6月初めに指摘していた。同氏は「お客様は神様」という古い言葉の大切さをアップルは理解し始めていると語った。

「開発者のための新たなツールではなく、ユーザーのための新たな機能が数多く搭載された。使い過ぎを防ぐために、使用時間をモニターし、アクティビティレポートにまとめるスクリーンタイム、グループ化できるようになった通知、おやすみモード、Siriのショートカット、Safariの新しいプライバシー機能、旧世代のiPhoneのパフォーマンス向上、さらにCarPlayは、他社製のナビゲーションアプリもサポートする。アップルは開発者や自社にとっての短期的な利益を捨て、より優れたユーザーエクスペリエンスを優先した」

実際、1年をかけてユーザーが求める機能を徹底的に掘り下げることにより、アップルは毎年恒例のソフトウエアのアップデートに向けて、綿密な準備ができるようになる。

アップルはこれまで、大規模なソフトウエアアップデートを行ってきた。基本機能の向上に注力し、派手な機能は避けてきた。最も顕著な例は、2009年のMac OS X Snow Leopard。新機能が数多くあったわけではない。しかしクラッシュせず、動作が速くなり、古くからのMacユーザーにも好意的に受け入れられた。

Snow Leopardは前OSを改良したものであり、機能向上もわずかだった。当時、批評家は酷評した。例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルは「一般的なユーザーにとって、大きなブレークスルーではない」と記した。

だが、それ以来、Snow Leopardは根強いファンを獲得してきた。アップルの情報を紹介している9to5macも2018年はじめ、10年近く前のアップデートは「信頼性と同義」になり、「アップル・コミュニティーで伝説的な地位」を獲得したと記した。

アップルの次のiOSアップデートでは、ホーム画面の再設計といった大きな変更が行われる可能性があるとブルームバーグは伝えた。変更に伴い、新しいバグや、意味不明で改善が必要となるユーザーインターフェイスが出てくるかもしれない。だが差し当たり、アップルの最新版OSは、安全で安定した、使い勝手の良いものになるだろう。

多くのユーザーにとっては、これこそが重要 —— 新しいアニ文字や機能アップした株アプリ、あるいはiOS12でのいかなる変更でもない。

[原文:The new version of iOS is the strongest sign yet that Apple finally believes the customer is always right (AAPL)

(翻訳:Hughes、編集:増田隆幸)

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