ニューヨーク・タイムズ元編集主幹ジル・エイブラムソン氏。2015年12月。
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- ニューヨーク・タイムズの元編集主幹ジル・エイブラムソン氏は、古巣を「ナルシシスティック」で、「軌道修正」が必要と批判した。
- エイブラムソン氏はまた、同紙がアレクサンドリア・オカシオ・コルテズ氏を取り上げなかったことを批判した。
- 28歳のオカシオ・コルテズ氏は6月26日(現地時間)、中間選挙に向けた予備選挙のニューヨーク市クイーンズ区で、10期議員を務めてきた民主党の重鎮ジョセフ・クローリー下院議員を破って当選。大きな話題を呼んでいる。
かつてニューヨーク・タイムズで初の女性編集主幹となったジル・エイブラムソン(Jill Abramson)氏は、古巣を「ナルシシスティック」で「軌道修正」が必要と批判した。
「公には批判しないようにしていた。でも、これは良くない」とエイブラムソン氏はデイリー・ビースト(Daily Beast)に語った。そして「ニューヨーク・タイムズは次々とひどい過ち」をしでかしているため、「軌道修正」が必要と続けた。
エイブラムソン氏はまず、ニューヨーク・タイムズがアレクサンドリア・オカシオ・コルテズ(Alexandria Ocasio-Cortez)氏の選挙活動を取り上げなかったことを批判した。28歳のオカシオ・コルテズ氏は6月26日(現地時間)、予備選挙のニューヨーク市クイーンズ区で民主党の重鎮ジョー・クロウリー(Joe Crowley)氏を破って当選した。
「@nytimesは、オカシオ・コルテズ氏の選挙活動を取材すべきときに、まだ彼女はどんな人物なのかと人々に尋ねていた。頭にきている」とエイブラムソン氏は26日、ツイッターに投稿した。
「彼女の躍進を予見できなかったことは、2016年にトランプ氏の勝利を見誤ったことに似ている」
次にエイブラムソン氏は、同紙の記者アリ・ワトキンス(Ali Watkins)氏の取り上げ方についても批判した。
ワトキンス氏は先日、国家の機密情報の漏えいに関与したとして司法省に通信記録を押収された。彼女は上院情報委員会でセキュリティ局長を務め、ワトキンス氏を含む記者に情報を漏えいした疑いが持たれているジェームズ・ウルフ(James Wolfe)氏と交際していたことを認めている。ウルフ氏は、FBIに虚偽の証言を行ったとして起訴されている。
ニューヨーク・タイムズはワトキンス氏のプライベートを詳細に取り上げる一方で、同紙での彼女のジャーナリストとしての役割には十分に触れなかった。
「この記事は、26歳の若い女性を吊し上げた」とエイブラムソン氏。
「彼女にとってどれほどの苦痛か、私には想像もつかない」
さらにエイブラムソン氏は、ニューヨーク・タイムズがテレビ局FXと「The Weekly」という番組を始める決定をしたことも批判した。エイブラムソン氏は、ニューヨーク・タイムズは「記者がニュースを扱う際の個人的な感想や経験」を重視していると述べた。
「ナルシシズムだらけ、いつも自分たちのことばかり」とエイブラムソン氏は続けた。
「信じられない。距離を保つことはジャーナリズムの大きな鉄則」
ニューヨーク・タイムズの広報担当者は、ニューヨーク・タイムズは「エイブラムソン氏に対して大きな敬意を払っており、彼女の熱意に深く感謝している」とデイリー・ビーストに対して声明で述べた。
さらに、「批判とフィードバックは、我々がより良い仕事をするための手助けとなり、常に歓迎している。だが、個別の事案については、彼女とは全く意見が異なる」と続けた。
[原文:Ex-New York Times editor Jill Abramson called the paper 'narcissistic']
(翻訳:忍足 亜輝、編集:増田隆幸)