前澤社長は、ZOZOの新商品のスーツを着て、登壇した。
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する「スタートトゥデイ」は、世界72カ国・地域の10万人に採寸用ボディスーツ「ZOZOSUIT」と、プライベートブランド「ZOZO」のTシャツとデニムを無料で配布する。日本国内では、ZOZOの商品ラインアップに、ビジネススーツとドレスシャツを追加する。
前澤友作社長が2018年7月3日、東京・六本木で開いた記者会見で明らかにした。
会場には、社員16人と前澤社長がZOZOのスーツで並んだ。
スタートトゥデイは2018年1月末に、ZOZOの展開を開始。ZOZOSUITを配布し、ユーザーのサイズに合ったTシャツとデニムパンツを販売していた。
同社は今回、7月3日に専用サイトを開設し、72カ国・地域からZOZOSUITとTシャツ、デニムパンツの無料配布の応募を受け付ける。締め切りは7月20日。10万人を対象にし、応募多数の場合は抽選を行うという。なお、ZOZOTOWNの海外展開について、前澤社長は「世界で販売する予定はない」と述べた。
前澤社長は、ZOZOTOWNやPBを始めた思いについて、自身の体型へのコンプレックスがあったことを語り、「世界中にサイズの問題で悩んでいる人がいると信じている」と話した。
PBのロゴマークの意味を「形がすべて違い、色も違う。これは地球上のすべての個性を表している。丸、三角、四角は面積が同じなんですね。いろんな個性があるけれど、実はイコールということ。世界中にいろんな人がいますが、同じ地球上で生きている」。一時、感極まったように言葉に詰まり、「(思いを)日本国内だけじゃなく、世界に広げたい」と語った。
ZOZOにビジネススーツ、ネクタイ、ニット
ZOZOのラインアップ。デニム、Tシャツから始まり、スーツやネクタイに広がる。ベーシックアイテムを順次販売する。
同社は現在までに、ZOZOSUITを55万3179枚配布。7月中には、受注されている100万件の配布は終わる見込みだという。2018年度内には、600万〜1000万枚のZOZOSUIT配布を目標にしている。
発表会では、国内でZOZOの新商品として、ビジネススーツとスーツ用の「ドレスシャツ」をお披露目した。発売開始は、いずれも7月3日午後6時から。
スーツはメンズ用で、ZOZOSUITのデータをもとに、注文後にユーザーの体型に合わせて作る「完全オーダーメイド」だ。
従来のPB商品のような数千種から数万種のサイズパターンから商品を提供する「パターンオーダー」よりも、体によりフィットしたスーツを届けられる。価格は、スーツとドレスシャツのセットで2万4800円(お試し価格)。
ネクタイも8月頃に発売を予定している。また、秋にはニットの販売も視野に入れているという。前澤社長は「ベーシックアイテムを完璧なサイズで用意していく」と抱負を語った。
生産工場は中国、今後はオンデマンドな生産を
3Dプリンターと同様の技術を使い、ニットを生産する「島精機製作所」を紹介する動画の一部。
PBの製造について、前澤社長は中国を拠点にしてきたことを明かした。
今後の展開として、体型データとオンデマンドの生産機器を組み合わせるという。
具体的には、3Dプリンターと同様に技術で服を作る「WHOLEGARMENT」を提供する「島精機製作所」との協業を挙げた。動画で同製作所の工場を紹介し、1つの商品が40分で完成し、縫い代のない仕上がりになることを説明。この技術で秋頃にニットの販売を検討している。
前澤社長は「自動の裁断機、自動の縫製機、新しい色々な機械が世界中から販売され始めているので、技術を組み合わせ、今までにない生産手法で、今までにない商品を届ける」と生産の工夫について話した。
(文、撮影・木許はるみ)