優秀な人が「優秀なボス」になれないワケ

上司は、一歩下がって見守ることを覚えなくてはならない。

上司は、一歩下がって見守ることを覚えなくてはならない。

Strelka Institute for Media, Architecture and Design/flickr

  • 有能な上司は、必ずしも自身の優秀さをアピールしようとしない。
  • その代わりに、自分よりも優秀で、スキルを持っている可能性がある部下に権限を委ねる。
  • 研究によると、IQの高さはリーダーにとって一要素に過ぎない。

エグゼクティブ・コーチングの第一人者マーシャル・ゴールドスミス(Marshall Goldsmith)は、さまざまな分野のトップCEOをコーチングしてきたなかで、現代のリーダーにとって最も難しい課題を見つけた。

「最大の課題は、常に勝とうとしないこと」とゴールドスミスは語った。

「常に正解であろうとしないこと。そして、常に自分の優秀さを見せつけようとしないこと」

こうした行動を取らないようにすることは、思った以上に難しい。

成功を収めた人は概ね高学歴で、主に自分がいかに優秀かを繰り返し証明することで物事を達成してきたとゴールドスミスは説明した。

「問題はエグゼクティブレベルに昇進したら、そうした行動はやめなくてはならないこと」

これは、あなたをリーダーのポジションに押し上げたものは、しばしば、そのポジションを維持するためには不十分という事実の良い例。

ゴールドスミスはこれを題材に、『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』(原題:What Got You Here Won't Get You There)を共同執筆した。

リーダーシップ・コンサルティング会社、The Syncretics GroupのCEOデニス・パーキンス(Dennis Perkins)もこの考えに同意した。

「リーダーのポジションに就く人は、ポテンシャルを持っている。つまり、原材料は持っている」とパーキンスは述べた。

リーダーはさまざまな技術的な専門知識、あるいはプロジェクトマネジメントの専門知識を持っているだろう。

だが、「彼らをリーダーのポジションに押し上げた能力は、トップにまで上り詰めるには十分とは言えないだろう」

IQの高さは、リーダーとして成功する指標にはならない

実際、ある研究は、IQはリーダーにとって、我々が思うほど重要ではないことを示唆した。

応用心理学の定期刊行誌『the Journal of Applied Psychology』に掲載された2004年の研究によると、リーダーは極めて高い知性よりも、高い外向性と誠実性(例えば、ハードワークする傾向)を持っている可能性が高い。

また興味深いことに、同誌に掲載された2017年の研究は、知性がリーダーの成功に貢献することを発見した。だが、ある段階までだ。

その研究によると、同僚によるリーダーの評価は、リーダーのIQテストのスコアが128になるまで上がった(平均スコアは100で、リーダーの平均スコアは111だった)。だが、128を超えると、リーダーへの評価は落ち始めた。

では、自分はまわりよりも賢いと感じている(もしくは本当に賢い)リーダーは、どうすれば良いのだろうか?

パーキンズは、リーダーは「一歩後ろに下がり、権限を移譲し、他者が失敗することを許容し、問題を自ら解決せずにコーチやメンターとなる必要がある」と語った。

「あなたは、こう考えなくてはならない。『待てよ、私はだれかがヒーローになることを手助けするためにここにいる。もう自分がヒーローになるために、ここにいるわけではない』と」

さらにゴールドスミスは、実際に「部下があなたよりも知識を持っていることを望むべき」と付け加えた。

最後にゴールドスミスは、部下や従業員と接する際は、「質問を投げかけ、話を聞き、学ばなくてはならない。これが、私がこれまでコーチングしてきたすべてのリーダーにとって、最も難しいことだった」と語った。

※敬称略

[原文:For smart people to be great bosses, they have to move away from what got them promoted in the first place

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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