WORLDWEBFORUM/FinTech 2017
イノベーションはシリコンバレーだけのものではない —— あらゆる場所で生まれている。
これは、世界で最もイノベーティブなスタートアップを選出した世界経済フォーラム(WEF)からのメッセージ。リストには、その技術が「世界を変える」スタートアップ61社があげられている。
もちろんシリコンバレーからも選ばれているが、ヨーロッパと同様に、アフリカと南米の新興国からもいくつかのスタートアップが選ばれた。
関係者が予測したとおり、選出された企業の多くはAIを活用している。その他には、バイオテクノロジー企業やブロックチェーン企業が選ばれた。
世界経済フォーラムが選出したタートアップ61社を見てみよう。
1928ダイアグノスティックス(1928 Diagnostics)、スウェーデン
1928 Diagnostics
感染症の診断をサポートするプラットフォーム。
アグロスマート(Agrosmart)、ブラジル
Shutterstock
センサー、気象データ、画像処理データを使って、リアルタイムな農作物のモニタリングを提供。農家の経営をサポート。
アピール・サイエンシーズ(Apeel Sciences)、アメリカ
Apeel Sciences
フード系スタートアップ、農作物や生鮮食品の保存期間を長くする食用コーティングを開発。ビル・ゲイツやシリコンバレーを代表するベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreeseen Horowitz)が支援。2018年6月、コストコおよびアメリカ中西部に店舗を持つハープス・フード・ストア(Harps Food Stores)で、鮮度を長持ちさせたアボカドの販売を開始。
アプライド・ブレイン・リサーチ(Applied Brain Research)、カナダ
アプライド・ブレイン・リサーチの共同創業者、クリス・エリアスミス氏。
University of Waterloo
「ニューロモーフィック・コンピューティング」と呼ばれる分野に取り組むAIスタートアップ。脳の構造を模したコンピューターチップを開発、従来のチップよりも消費電力が少ない。
アクア・セキュリティ(Aqua Security)、イスラエル
共同創業者のAmir JerbiとDavid(Dror)Davidoff。
Aqua Security
サイバーセキュリティのスタートアップ、旧社名はScalock。最新のソフトウエア・インフラで顧客のセキュリティをサポート。マイクロソフトが出資、ヒューレット・パッカードと提携している。
アーミス(Armis)、アメリカ
エフゲニー・ディブロフ氏とナディル・イズラエリ氏。
Armis
2人の元グーグル社員、エフゲニー・ディブロフ(Yevgeny Dibrov)氏とナディル・イズラエリ(Nadir Izrael)氏によって設立された法人向けセキュリティサービス会社。企業のスマートデバイスの安全性を保つソリューションを提供。
ベネボレントAI(BenevolentAI)、イギリス
ベネボレントAIの創業者、ケン・マルバニー氏。
Benevolent AI
BenevolentAIはAIを活用した創薬に取り組むスタートアップ。科学論文、特許、臨床試験データ、さらには膨大な実験データなど、研究者が多種多様なデータを活用できるようになるプラットフォームを提供。
バイオテクノロジーに重点を置き、パーキンソン病や希少がんを治療する新薬の発見に注力している。
ベストマイル(Bestmile)、スイス
ベストマイルのソフトウェアはスイスの自動走行バスに採用された。
Screenshot/BestMile
自動走行の車やバス、トラックの運行管理やメンテナンスをサポートするオンラインプラットフォーム。
ブルー・ビジョン・ラボ(Blue Vision Labs)、イギリス
Blue Vision Labs
ブルー・ビジョン・ラボは複数のユーザーが同時にAR(拡張現実)を使うことができる技術を開発したスタートアップ。
ビットペサ(BitPesa)、ケニヤ
ビットペサCEO、エリザベス・ロッシエロ氏(右)。
Eugene Gologursky/Getty Images for Yahoo Finance/Oath
オンライン決済プラットフォーム。ブロックチェーンを活用し、サハラ以南のアフリカでビットコインによる決済サービスを展開。
カデンツァ・イノベーション(Cadenza Innovation)、アメリカ
カデンツァ・イノベーションのCEO兼創業者、Christina Lampe-Önnerud氏。
World Economic Forum
スウェーデン人化学者、Christina Lampe-Önnerud氏が2012年に創業。特許技術を使ってリチウムイオン・バッテリーをより安全、安価にする。さらに性能も向上させる。
ケアペイ(CarePay)、ケニア
ケアペイのCEO、キース・ヴァン・リード氏(右)。
CarePay
モバイルウォレット「mHealth Wallet」を開発、ユーザーがヘルスケアサービスのために貯金し、保険をかけ、支払いをすることができる。
ケーステキスト(Casetext)、アメリカ
ケーエステキストのCEO、ジェイク・ヘラー氏。
Casetext
リーガルテック・スタートアップ。弁護士やそのスタッフが法的文書をアップロードでき、また関連する判例や文書をAIを使って検索できる。
コード・ドット・オルグ(Code.org)、アメリカ
コードドットオルグの創業者ハディ・パルトビ氏。
Code.org
12年生(高校3年生)までの生徒のコンピューター・サイエンス教育(CS教育)を推進する非営利団体、特に女性やマイノリティの生徒の参加を支援している。
コグニティブスケール(CognitiveScale)アメリカ
コグニティブスケールのCEO、Akshay Sabhikhi氏。
CognitiveScale
企業が抱えるビッグデータを、AIと機械学習を使って体系化するソフトウェアを開発。
カラー・ゲノミクス(Color Genomics)、アメリカ
カラー・ゲノミクスの遺伝子検査キット。
Color Genomics
一般的な遺伝性がんや心臓病のリスクを調べることができる遺伝子検査キットを手頃な価格で提供。
コヒシティ(Cohesity)、アメリカ
コヒシティの創業者、モフィット・アーロン氏。
Cohesity
グーグルの初期の社員でNutanixの共同創業者、モフィット・アーロン(Mohit Aron)氏が設立したストレージ・スタートアップ。ソフトバンクから資金調達したエンタープライズ系ソフトウエア企業は、同社が2社目。
クージョAI(CUJO AI)、アメリカ
クージョAIのCEO、エイナラス・グラヴロック氏。
CUJO AI
AIを使って家庭用デバイスのサイバーセキュリティを提供。ペアレンタルコントロール機能も提供。
デルエア(Delair)、フランス
デルエアのドローン。
Delair
長距離飛行が可能なドローンで撮影した空中映像を使って、作業現場や施設の鳥瞰図を提供。
ドライブ・ドット・エーアイ(Drive.ai)、アメリカ
Drive.ai
スタンフォード大学の人工知能研究所の研究者らが創業。自動運転車の「脳」、つまりソフトウエアを開発。
エバーレッジャー(Everledger)、イギリス
エバーレッジャーのCEO、リーアン・ケンプ氏。
WORLDWEBFORUM/FinTech 2017
ダイヤモンド業界にブロックチェーン技術をもたらしたスタートアップ。ダイヤモンドのカラー、カラット、シリアルナンバーなどの情報をトラッキングし、保管できる安全な台帳を提供。ダイヤモンドやジュエリー業界における盗難、不正な売買、不正行為の削減、さらには完全撲滅を目指す。
エブリシング(EVRYTHNG)、イギリス
エブリシングの共同創業者兼CEO、ニール・マーフィー氏。
EVRYTHNG
物理的な物をデジタルで簡単に管理・追跡できるプラットフォーム。例えば、製品をサプライチェーン全体を通して追跡できる。
フェッチ・ロボティクス(Fetch Robotics)、アメリカ
フェッチ・ロボティクスのCEO、メロニー・ワイズ氏。
Photo by Steve Jennings/Getty Images for TechCrunch
工場で使える自律型ロボットを開発。同社によると、Eコマースにおいて、アマゾンのような受注処理システムの構築に苦戦している企業に特に有益。
ガマロン(Gamalon)、アメリカ
Gamalon
AIにメールでのやりとりを学習させ、人間の一般的なやり取りが理解できるようになることを目指す。
グリッド・シンギュラリティ(Grid Singularity)、ドイツ
グリッド・シンギュラリティの共同創業者、エワルト・ヘッセ氏。
lmh
エネルギー業界にブロックチェーン技術を応用。オープンソースの分散型データ交換プラットフォームを構築。
H55、スイス
H55の創業者、アンドレ・ボルシュベルク氏。
H55
スイス人パイロット、アンドレ・ボルシュベルク(André Borschberg)氏が設立。航空機をはじめ、空飛ぶタクシーやドローン用の電気推進システムを開発。同氏は、ソーラー発電での飛行に成功した実験機「ソーラー・インパルス2」を操縦した。
ホライゾン・ステート(Horizon State)、オーストラリア
ホライゾン・ステートのCEO、オーレン・アラズラキ氏。
Horizon State
ブロックチェーンを活用し、より安全な投票の実現を目指す。
ハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズ(Hyperloop Transportation Technologies)、アメリカ
HTT
イーロン・マスク氏が推進するハイパーループ構想の実現に取り組む。
イノビズ・テクノロジーズ(Innoviz Technologies)、イスラエル
イノビズ・テクノロジーズのCEO、オメル・ダヴィド・ケイラフ氏。
Innoviz
ライダー(LiDAR)など自動運転車向けテクノロジーを開発。ライダーは、自動運転車が周囲の状況を把握するための重要なハードウエア。
ジュボ(Juvo)、アメリカ
ジュボのCEO、スティーブ・ポルスキー氏。
Juvo
フィンテック・スタートアップ。途上国において、携帯電話料金の融資という少額融資を行い、ユーザーの信用情報を構築。
Malong Technologies、中国
共同創業者のマシュー・スコット氏とHuang Dinglong氏。
Malong Technologies
AIスタートアップ。消費財などの物理的な物を認識、識別できる技術を開発。
MEソルシェア(ME SOLshare)、バングラデシュ
SOLshare
ピアツーピアのソーラー発電取引プラットフォームを開発。バングラデシュの低所得な農村地域への電力供給を目指す。
メロンポート(Melonport)、スイス
メロンポートの共同創業者兼CEO、Mona Elisa氏。
Photo by Noam Galai/Getty Images for TechCrunch
仮想通貨「メロン」を発行。
モダン・メドウ(Modern Meadow)、アメリカ
モダン・メドウの共同創業者兼CEO、Andras Forgacs氏。
Photo by Noam Galai/Getty Images for TechCrunch
動物の革を使わない、アニマルフリーな革を製造。コラーゲン(動物の皮膚にあるタンパク質)を成長させるバイオファブリケーションと呼ばれる方法を用いる。
マイ・クロップ・テクノロジー(My Crop Technologies)、インド
マイ・クロップ・テクノロジーの創業者兼CEO、Deepak Pareek氏。
MyCrop
機械学習を使って、作物の栽培計画の策定や植え付け時期の決定を支援する農業プラットフォーム。
ナラティブ(Narrativ)、(アメリカ)
ナラティブの創業者兼CEO、シャーリー・チェン氏。
Narrativ
小売業者に、AIを活用したアフィリエイトリンクのビッティングサービスを提供。
ナラティブ・サイエンス(Narrative Science)、アメリカ
ナラティブ・サイエンスのチーフ・サイエンティスト、クリスチャン・ハモンド氏。
YouTube
本社はシカゴ。データから分かりやすい文書を生み出すプラットフォーム「Quill」を開発。
オンラインパジャック(OnlinePajak)、インドネシア
オンラインパジャックの創業者、Charles Guinot氏。
OnlinePajak
オンラインで納税準備、支払い、納税申告ができる使いやすいプラットフォームを提供。
オバンバ・ソリューションズ(Ovamba Solutions)、アメリカ
オバンバ・ソリューションズの共同創業者、Viola Llewellyn氏。
Ovamba
アフリカの中小企業経営者と投資家をつなぐモバイルアプリ。
ペロトン・テクノロジー(Peloton Technology)、アメリカ
Peloton
2台のトラックを、1台のトラックのドライバーが同時にコントロールできるようにする。1人のドライバーで2台のトラックを運行することにより、時間と燃料を節約する。
ペトゥーム(Petuum)、アメリカ
ペトゥームの共同創業者兼CEO、Eric Xing氏。
Petuum
専門家がいなくても、AIソフトウエアを構築できるプラットフォームを提供。
プラタフォーマ・ベルデ(Plataforma Verde)、ブラジル
プラタフォーマ・ベルデのCEO、チコ・スーザ氏(右)。
Chicko Sousa
ブロックチェーンを活用した廃棄物管理プラットフォーム。
プレンティ(Plenty)、アメリカ
Plenty
屋内の垂直な農場で作物を栽培する農業テクノロジー企業。農薬やGMO(遺伝子組み換え作物)は使わない。
プレコグナイズ(Precognize)、イスラエル
Yael Zur
AIを使い、機械のメンテナンス時期を予測するソフトウエアを開発。重工業に注力している。
プライマー(Primer)、アメリカ
プライマーのCEO、ショーン・ゴーリー氏。
Primer
複数言語にわたる膨大なデータの解析と照合をサポート。
パイメトリクス(Pymetrics)、アメリカ
パイマトリクスのCEO、フリーダ・ポリ氏(左)とチーフ・サイエンス・オフィサー、ジュリー・J・ユー氏。
Pymetrics
神経科学に基づいたゲームとAIを活用して、企業の人材募集、採用活動から無意識のバイアスを減らし、採用プロセスにかかる時間を節約する。
クインテセンスラボ(QuintessenceLabs)、オーストラリア
Quintessence Labs
先進的なサイバーセキュリティ・スタートアップ。
レイキャッチ(Raycatch)、イスラエル
Photo by VCG/VCG via Getty Images
AIを使って、ソーラー発電の事業者およびソーラーパネルの所有者に対して、運営やメンテナンスのサポートを行う。
サイズミック(Seismic) —— アメリカ
Superflex
高齢者向けにパワード・クロージング(Powered Clothing)と呼ばれるウエアラブル・ロボットを開発。同社のSuperFlexスーツは、筋力が低下して移動が難しい人の筋肉や関節を補強する。
ソーシャルコップス(SocialCops)、インド
ソーシャルコップスの共同創業者、Varun BankaとPrukalpa Sankar。
SocialCops
未整理のデータの整理を専門とするデータインテリジェンス・スタートアップ。
ソフト・ロボティクス(Soft Robotics)、アメリカ
ソフト・ロボティクスのCEO、Carl Vause氏。
Photo by Paul Marotta/Getty Images for TechCrunch
ロボットアームの先端に取り付ける、独自の「柔らかい」グリッパーを開発。作業ごとに、先端ツールやソフトウエアを変更せずに、さまざまな形状、サイズ、重さの物を扱うことができる。
ソウル・マシーンズ(Soul Machines)、ニュージーランド
バーチャルなアシスタントの一例。
Soul Machines
個性と性格を備えたデジタル・アシスタントを開発。人間のように、感情的に反応する。
スエイド(Suade)、イギリス
スエイドのCEO、ダイアナ・パレデス氏。
Suade
フィンテック・スタートアップ、銀行が規制変更の際に、バランスシートを適応させるためのソフトウエアを開発。
ソートスポット(ThoughtSpot)、アメリカ
ソートスポットの創業者兼CEO、Ajeet Singh氏。
ThoughtSpot
検索とAIを活用したデータ分析プラットフォーム。同社は最近、シリーズDの資金調達ラウンドで1億4500万ドル(約160億円)を調達、企業価値は10億ドル(約1100億円)と評価された。近い将来、IPOを予定している。
チューリップ・インターフェース(Tulip Interfaces)、アメリカ
工場で「チューリップ」を使う作業者。
Tulip
プログラミングの未経験者でも、工場の設備を監視できるアプリを構築できるサービスを提供。
uBiome、アメリカ
uBiomeの共同創業者兼CEO、ジェシカ・リッチマン氏。
REUTERS/Mike Blake
体内に生息する微生物、マイクロバイオームの検査キットを開発。消化器官の状態を調べる「SmartGut検査」と、HPV(ヒトパピローマウイルス)とSTI(性感染症)を調べる「SmartJane検査」を提供している。
Utilis、イスラエル
Utilisの共同創業者兼CEO、ローレン・ガイ氏。
Utilis
衛星データなどを使って、地下の水道管の漏水を検出。
バイアー(Vayyar)、イスラエル
Vayyar
乳がん検診から漏水の検出まで幅広い用途に使える、先進的な3Dイメージセンサーを開発。
ウォータージェン(Watergen)、イスラエル
ウォータージェンのCEO、Rami Ronen氏。
Watergen
空気から水を作り出す小型ハードウエアを開発。清潔な飲料水を提供する。
ウェイストキャップ(WaystoCap)、モロッコ
ウェイストキャップのCEO、Niama El Bassunie氏。
Niama El Bassunie
アフリカ企業が製品を売買できるB2Bマーケットプレイス。同社は2017年、シリコンバレーのインキュベーター、Yコンビネーターから生まれた。
XMサイバー(XM Cyber)、イスラエル
XMサイバーの共同創業者、タミル・パルド氏。
REUTERS/Ronen Zvulun
イスラエルの諜報機関モサドの元長官が設立、サイバー攻撃の一種であるATP攻撃(Advanced Persistent Threat)に対応したシミュレーション・プラットフォームを提供。ハッカーによる攻撃をシミュレートすることで、ソフトウエアのセキュリティを自動的に繰り返しテストする。
[原文:These are the 61 most innovative startups in the world]
(翻訳:Hughes、編集:増田隆幸)