リチャード・ブランソン氏。
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- ヴァージン・グループの創業者でビリオネアのリチャード・ブランソン氏は、アメリカとヨーロッパでは国民に無条件で現金を与え始めるべきだと考えている。
- ブランソン氏は、政府が全ての国民の生活にかかる費用を提供する、ユニバーサル・ベーシック・インカムの支持者だ。
- 「人工知能(AI)の登場を考えれば、ベーシック・インカムの導入が必要になるだろう」ブランソン氏はニューヨーク・タイムズに語った。
リチャード・ブランソン氏は、ユニバーサル・ベーシック・インカムを支持している。
つまり収入状況に関係なく、誰もが政府から生活にかかる費用を受け取るべきだと、ブランソン氏は考えているということだ。
「ベーシック・インカムは、ヨーロッパとアメリカで導入されるべきだ」ブランソン氏は6月29日(現地時間)のニューヨーク・タイムズで語っている。
「フィンランドといった国が一部都市で社会実験を行っているのは素晴らしいことだ」同氏は言う。「物理的な財産を全て身の回りに置いて、通りで眠っている人たちを見るのは、残念なことだ」
ブランソン氏が言及したフィンランドの社会実験は、2018年前半に終了した。フィンランド政府は2000人の仕事を持たない国民に毎月約690ドル(約7万6000円)を給付していた。その使い道は自由だった。
その後、フィンランドはこの社会実験を止め、社会福祉の別の分野に投資することを決めた。
「2年というタイムフレームは、このような大規模実験からしっかりとした結論を導き出すには短すぎる」フィンランドの社会実験に携わった専門家の1人、オッリ・カンガス(Olli Kangas)教授はフィンランド国営放送(YLE)に語った。
ブランソン氏は「AIの登場によって、人間が働くことを必要とされる時間は減るだろう」と言う。
「1週間に3日働いて、4日休むみたいにね」同氏は語った。「そうしたら、この4日間を楽しませることが必要になるだろうし、労働時間が大幅に短縮されても、それなりの収入が確実に得られるようにしなければならない」
イーロン・マスク氏もベーシック・インカムを支持している。
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自動化の台頭がベーシック・インカムの導入を不可欠にすると考えているのは、ブランソン氏だけではない。
数日前にはテスラのCEOイーロン・マスク氏も「AIが人間の仕事の大半と置き換えられるようになれば、ユニバーサル(・ベーシック)・インカムは必要不可欠になるだろう」とツイートしている。
「向き合いましょう。わたしたちのシステムには問題があります。ローンの返済に苦しむ学生が何百万といて、ビジネスを立ち上げる余裕もない一方で、ぼくはハーバードを離れて、10年で何十億ドルと稼ぐことができました」フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は母校の卒業式で演説した。「新しいことに挑戦するクッションを全ての人に与えるには、ユニバーサル・ベーシック・インカムのようなアイデアを検討しなければなりません」
[原文:Billionaire Richard Branson thinks America should give out free money to fix inequality]
(翻訳、編集:山口佳美)