オンラインサロンでは上位2割になろうとしない。「コミュニティ疲れ」しない考え方とその対策

議論メシの様子

オンラインサロン「議論メシ」で、有志によるミーティングの様子。メンバーが体感している「このコミュニティの価値」を言語化し発表する。

筆者提供

「オンラインサロン」をご存知でしょうか。

ホリエモンや西野亮廣さんなど有名人のオンラインサロンが話題になり、今では個人のインフルエンサーたちが次々とサロンをオープンしています。有名ブロガーや個人で1000人の会員を超えるサロンをもつ人も出てきています。

オンラインサロンとは、月額数千円から参加できるネット上のコミュニティで、中心となる有名人(人)やテーマに関心のある人たちが、地域を超えて交流ができるもの。オンラインから実際会うオフ会も開催され、リアルなコミュニティにも発展しています。

私自身、2013年に読書会の運営をはじめ、それが「コミュニティ」と呼ばれるものになりました。会の参加者が毎回100人近くになるにつれ、いろいろな著者からもお声がけをいただくようになり、企画から当日の運営、募集ページのサポートをするうちに、毎月開催することに。会場を探すのが面倒になったため、2014年から恵比寿で会員制の会議室も副業でスタートさせ、自分の会場を提供していました。

当初は会場代以外はボランティアとして関わっていたのですが、2016年頃から「オンラインサロン」という月額課金のサービスがはやり出したことによって、著者から報酬をもらいながら運営のサポートに携わっています。

新しい人間関係で体験できる「役割の試着」

ビブリオバトル

毎月開催していた六本木ビブリオバトル(2014年)

筆者提供

なぜオンラインサロンがはやっているのでしょうか。

オンラインサロンの参加者は家庭や職場とは別の、新しい人間関係を得ています。

オンラインサロンという新しいコミュニティに参加する価値はまさにここで、固定されたいつもの人間関係では得られない体験や、会社や家庭以外の新しい自分の役割・キャラクターを経験できることです。私はそれを「役割の試着」と呼んでいます。既存の関係性の中で新しい役割を試すことは、周りがそれを許さなかったり、時にリスクがあります。しかし、新しい人間関係であれば、そこでどのような人間として振る舞うかは、自分で決められるのです。

参加者の多くは会社員。「日常に刺激が欲しい」「出会いを通して自分を変えたい」と期待する人が多いと感じます。月額数千円で新しい人間関係や自分を変える機会を得られるなら、非常に有益な投資です。

実は私自身も、オンラインサロンで自分を変えた経験があるのです。

私が初めてネット上のコミュニティに出合ったのは5年前。当時は会社員で、上司と後輩に挟まれ、会議や組織の中でも「誰かに求められる自分」の枠内で発言・活動をすることに窮屈さを感じていました。

ふとしたキッカケで参加した社外のイベントからオンラインコミュニティを知り、会社では出会えない人と交流することで、新しい自分を発見することができました。

当時、私は広告サービスのイチ営業でした。会社で決まった商品を売るだけ。そんな中、自分がオーナーのコミュニティを持つことで、その企画やタイアップ先、進行まで全部自分で決められる立場になり、初めて経験する自由度とその面白さにハマりました。さらに他の人の運営するコミュニティに入っても広報や企画のような立場で活動することが面白く、一時期は起業系、カウンセリング、占い、ブロガーや著者のファンクラブなど5つものオンラインサロンに所属するようになりました。

しかし、最初は刺激的で楽しかったものの、増え続けるコミュニケーションに疲れきってしまい、今では人の投稿や活動を見ているだけの状態です。積極的に発言をしたり、イベントに参加しているオンラインサロンは1つです。

コミュニティ上位2割になろうとするから疲れる

どうして疲弊してしまうのでしょうか。私自身や周囲の経験を元に分析すると、

  1. 与えられるコンテンツと機会を“ちゃんと”消化しようとする
  2. 主催者から覚えのよい上位2割になろうとする

真面目な日本人らしいのですが、コミュニティで与えられるコンテンツを「きちんと消化しなければ」と考えすぎてしまうと時間が足りません。消化できないと、投資が無駄に感じてしまい、課金を続けるのが苦しくなってしまいます。必要と思えたものを取り込めたら良いと割り切りましょう。

サロンの様子

「議論メシ」のディスカッションパートナーとして企業を訪問した際の一コマ。

筆者提供

コミュニティの価値は、上位2割になって引き上げてもらうだけではありません。SNSは他人の上手くいっている部分ばかりが目に入りますが、“活躍しているように見える誰か”と「同じように動かなければ」とか「与えられる機会に上手く乗るべきだ」と自分で自分にプレシャーをかけるのはやめましょう。

上位2割になろうとする競争は会社と同等か、会社以上に文脈をキャッチして夜討ち朝駆けで行動する体力とコミュニケーション能力が必要です。わざわざ、会社の外でまで「出世競争」をする必要はあるのでしょうか。

会社を離れたコミュニティに参加する目的が、刺激を受けて自分の行動を変えたり、新しい自分を見つけることだとしたら、必要なのは上のポジションの人からの承認ではなく、横のつながりです。

会社名や役職などの既存の役割に頼らず、ゼロから新しい関係をつくる力をつけることが、あなたの人生に一番インパクトを与えてくれます。

「偉い人に認められて居場所を獲得する」のではなく、肩書きに頼らない自分らしさで居場所をつくる練習をする。多少スベっても会社のように失敗と記憶されることはない。新しいコミュニティに入る意味は、そこにこそあるのではないでしょうか。

コミュニティを選ぶポイント、活用のポイント

議論メシ

「議論メシ」ではさまざまなテーマに関して、参加者たちが議論を交わしている。

コミュニティ活用法としては、この2点を確認することをお勧めします。

  1. 主催者ではなく参加メンバーに、友達になりたいと思える人がいるかどうか
  2. メンバーが主催者一直線ではなく、横のつながりにも価値を見出しているかどうか

確認するには既に参加している人に評判を聞くか、1度中に入ってみるしかありません。オフ会に出て、参加者の雰囲気を体験してみるか、オンライン上での自己紹介をした時に、参加者からレスポンスがあるかどうか等で確認してみましょう。

そのうえで、2、3カ月参加しても友達になりたいと思える人がいなければ、静かにフェードアウトするのが良いでしょう。オンラインサロンは、いくらでもありますから、小さくトライ&エラーを繰り返して頂けたらと思います。

2つの活用ポイントを満たしたコミュニティが見つかった後、その環境を活用して新しい自分を発見する具体的なステップは拙著『オンラインサロン超・活用術』に紹介していますので、よかったらご覧ください。

(文・ 中里桃子 )


中里桃子:オンラインサロン・コミュニティ運営をサポートする株式会社女子マネの代表取締役。600名以上にオンラインサロンの立ち上げ研修と30社のコミュニティ立上げを支援。「コミュニティを活用した”役割の試着”を通して、自分らしく生きる人を増やす」ために活動。

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