これで実質5万円「Galaxy S9/S9+」実機レビュー —— 独自の“絞り付き”カメラの実力

Galaxy S9/S9+の外観

サムスン電子の2018年夏モデルは、カメラ重視の「Galaxy S9」「Galaxy S9+」だ。

  • 日本では苦戦を強いられているサムスンだが、そのカメラ機能は他社にはない大きな特徴がある
  • スーパースローモーション撮影機能は、撮影方法やBGMの自動付与により実用性が高い
  • コンパクトさならS9、より豊富なカメラ機能ならS9+を推奨

2017年も世界1位の携帯電話シェアを維持しているサムスン電子(米IDC調べ)。2017年発売のペン付き大型スマートフォン「Galaxy Note8」など、日本にもコアなファンを持っている。

しかし、同社の国内スマートフォンのシェアは、2017年度通期の出荷台数ベースで国内第4位(MM総研調べ)と、グローバルで首位争いを繰り広げているアップル(国内トップ)に対して大きな差をあけられている。

そんな同社の2018年夏モデルは、ドコモおよびauから「Galaxy S9」と「Galaxy S9+」の2機種のラインアップで発売した。その最新版は日本でどのような「反撃」に出るのか、実際に触ってみた。

夜はノイズに強く、日中も綺麗に撮れるカメラの秘密

S9/S9+のカメラ

Galaxy S9シリーズの最大の特徴はカメラだ。

Galaxy S9/S9+の最注目の機能は、ほとんどの他社製スマートフォンと同じくカメラだ。しかし、カメラの設計思想と機構には、独特のこだわりがある。

背面カメラについて、S9は1200万画素で視野角77度の広角レンズを搭載。一方、S9+は(S9と同等のものに加えて)1200万画素の望遠レンズを搭載したデュアルレンズ構成になっている。

共通する広角レンズ側カメラは、S9シリーズで初搭載となる「デュアルアパチャー」という撮影機能がある。これは、一般的なデジタルカメラと同じ、メカニカルな「絞り」機構を持たせたもの。周囲の明るさに応じて、絞りをF値1.5とF値2.4の2段階に自動的に切り替える。

S9+の背面カメラの接写

左がF値2.4の状態、右がF値1.5の状態。右側の方が穴の大きさが大きいことがわかるだろう。(写真は両方ともS9+)

これによって、夜景など光が極端に少ないシーンではF値1.8で取り込む光の量を増加させて、明るくキレイに撮れるカメラに仕上げている。日中の明るい場所では、F値2.4になる。

センサーの能力を最大限に引き出すための仕組みで、スマホのカメラとしては「豪華装備」と言える。その効果は、作例を見れば一目瞭然。夜景も、スマホを手持ちでサッと撮っただけで、この仕上がりだ。

ピザの写真

昼間で自然光も入る屋内にて自動モードで撮影したピザの写真。F値は2.4だが、ノイズは非常に少なくトマトソースの鮮やかさと生地の質感がよく出ている。

夜の渋谷の作例

夜の渋谷を撮影したところ。同じく自動モードだが、きちんとF値1.5で撮影されている。暗い部分のノイズも少なく、手持ちで撮ったのにも関わらず手ブレもしていない。

SNS映えする「撮って即アップできる」スーパースロー動画機能

ワイドアパチャーは静止画としての機能だが、動画機能にも力が入っている。それが「スーパースローモーション撮影」機能だ。

S9/S9+のスーパースローモーション機能は、HD画質(1280×720ドット)の960fps(16倍速)で撮影するもの。性能だけで比較すれば、他社に比べ特別優れているわけではない。同等の機能はソニーモバイルの「Xperia XZs」(2017年発売)以降の機種や、ファーウェイの最上位「HUAWEI P20/P20 Pro」にもあり、また2018年夏モデルの「Xperia XZ2/XZ2 Compact」では、さらに高画質なフルHD画質(1920×1080ドット)・960fpsの撮影ができる。

しかし、S9/S9+を試用してわかるのは、その実用度の高さだ。

他社のスーパースローモーション撮影はスローにするタイミングを「撮影者が指定」するものだが、実際のところタイミングよく撮るには結構慣れが必要だ。

一方、S9/S9+は高速で動く被写体をカメラUI上の四角い枠に収めるだけでいい。あとは端末が自動で「良いタイミングのスローモーション動画」を記録してくれる。

S9/S9+のモーションエディター

S9/S9+のモーションエディターでは、撮影したスーパースローモーション動画に対して、スローモーションのオンオフやBGMの変更、前後のカット編集ができる。

また、実際に撮影してみて非常に好印象だったのは、このスーパースローモーションの「BGM」についてだ。S9/S9+で撮影したスーパースローモーション動画には標準でオリジナルのBGMが付けられる。

ソニーモバイルやファーウェイのスーパースローモーションの場合は、無音状態のまま保存されるので、SNS投稿時にはやや寂しいものになる(SNS投稿の前に、BGMを別途編集作業までして追加する人はあまりいないだろう)。S9/S9+では、SNS世代の要望にうまく応えようとしていることがうかがえる。

大きさ重視ならS9、カメラ重視ならS9+を選ぶべき

Galaxy S9/S9+

S9とS9+の違いは画面の大きさだけではない。

では、S9/S9+どちらが“買い”の端末なのだろうか。絞り値が変わるワイドアパチャーも、スーパースローモーションもS9/S9+の両方で利用でき、その他の機能についても両機種で共通するものが多い。

Galaxy S9

S9は5.8インチという大画面ながら、片手でも持ちやすいサイズ感だ。

最大の違いは、大きさだ。スマートフォンに持ちやすさや携帯性を求めるのであれば、間違いなくS9を選ぶべきだ。S9はS9+に比べ幅は約5mm、高さは約10mmコンパクトで、重さは約26g軽い。メモリーは4GBとS9+(6GB)より少ないが、心臓部であるチップセットは共通で性能は十分だ。

逆に、S9+を選ぶべきユーザーは、より写真にこだわるタイプだ。S9+には望遠レンズが付いており、画質を落とさず被写体に寄れる光学2倍のズーム撮影や、広角・望遠の同時撮影および後から背景のぼかし具合を変えられる「ライブフォーカス」機能が利用できる。

ライブフォーカスモードの作例

S9+のみで利用できる「ライブフォーカス」機能は、背景に一眼レフカメラで撮ったかのようなぼかしを適用できる。

ライブフォーカスモードの作例

さらに、ライブフォーカス機能は広角レンズ側のカメラで撮った写真も同時保存されるため、撮影後に好みの構図に切り替えられる。

SNS映えする写真や動画を撮りたいという人には、Galaxy S9/S9+のカメラ機能は必見の1台といえる。なお、ドコモ版とau版(オンラインショップ)での実質負担価格はS9+が5万円台後半〜6万円台前半、S9が4万円台後半から5万円台前半。価格的にも比較的「お手頃」に抑えられている。

(文、撮影・小林優多郎)

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