日本より厳しい? 長時間の練習、食事制限、高すぎる美の基準…… 中国でアイドルになるのは大変だった

アイドルグループ「ロケットガールズ」

Best of Tik Tok/YouTube

  • 中国の最新のアイドルグループ「ロケット(火箭)少女」は、リアリティー番組のオーディションで選ばれた11人の若い女性メンバーで構成されている。
  • 中国でスターになるのは簡単ではない。何カ月にもわたる厳しいトレーニングと食事制限が求められる。
  • スターになるためにはどんなことが必要なのか、見てみよう。

中国の最新のアイドルグループ「ロケット(火箭)少女」は、メンバー11人全員が女性で、派手な衣装に身を包み、綿密に振り付けされたダンスを何千人もの熱狂的なファンの前で披露する。

ロケット少女は、ワン・ダイレクションなどを輩出したイギリスのオーディション番組「Xファクター」のような中国のリアリティー番組「創造101」のオーディションから誕生した。18~22歳を中心に101人が応募し、最終的にメンバーに選ばれたのはたった11人だった。

中国で芸能人になりたい若い女性を見つけるのは難しくない。だが、スターへの道は容易ではない。

「創造101」に出演するだけでも、並外れた才能が求められる。出演者の多くは、事前にエリート養成学校でトレーニングを受けているのだ。こうした養成学校の1つである「バナナエンターテインメント」は、中国全土から若い男女を選び出し、アイドルになるための厳しいトレーニングを受けさせている。

1日12時間の練習、毎月の試験…… それでも退校処分になる可能性

北京を拠点とするバナナエンターテインメントは、2017年2月から1年間のアイドル養成プログラム「TRAINEE18」を運営している。中国の経済観察報の報道によると、このプログラムに参加する18人の少年・少女が中国全土から毎年選ばれるという。

常に努力が求められる養成学校のトレーニングは、音楽、ダンス、広報、エチケット、メイク、リズム、フィットネスなど様々なクラスで構成されている。指導にあたるインストラクターは、中国国内だけでなくアメリカや、アイドルの養成が盛んな韓国からも集まっている。

生徒たちは1日に少なくとも12時間のトレーニングを受けなければならず、ダンスのレッスン中に怪我をすることも珍しくないと、環球時報は伝えている

生徒たちは毎月、試験を受けたり、これまでの成果を見せるための動画を制作しなければならない。バナナエンターテインメントの幹部と講師らはこれを評価、採点し、生徒をランク付けしている。

2カ月連続で最下位となった生徒は、リアリティー番組のように養成学校を去ることになる。プログラムがスタートした2017年2月以降、4人が退校処分となり、少年9人、少女5人が残ったという。

1日3食、フルーツだけの過酷な食事制限

トレーニングを受ける生徒たちには厳しい食事制限も課せられていて、体重が増えれば罰則も与えられる。彼らの多くは毎日、朝、昼、晩とフルーツだけを食べている。

バナナエンターテインメントの責任者であるXu Ningnaさんは、経済観察報に「フィットネス・インストラクターが生徒の体重と脂肪量を記録している。体脂肪率には特に注意している。体重が増えればカメラ映りが悪くなり、衣装映えもせず、全体の見栄えが悪くなる」と語った。

養成学校で学ぶ19歳のHe XinyuさんとChen Qiuyuさんは環球時報に対し、「自分たちより若い女の子たちが次から次へとデビューしていくのを見ていると、本当にイライラする」と語った。2人ともダンスのクラスで何度か怪我をしたことがあると言う。

ロケット少女が先週行ったパフォーマンス(動画)がこちら:

中国の美の基準「白くて、細くて、美しい」

バナナエンターテインメントの食事制限とエクササイズへのこだわりは、中国の「白痩美」という女性に対する美意識の表れだ。

「創造101」に出演した大半の女性も、多くの中国人女性が憧れる美の基準 —— 青白く、痩せていて、大きな目 —— を満たしていた。

中国では美容整形の人気も高まっていて、あらゆる年代の女性が小顔に見せるため、一重まぶたを二重にして目を丸く大きくするなど、ヨーロッパ系の顔立ちに近づけようとしている。

上海の美容外科医Li Jianさんは2017年11月、AFP通信の取材に対し、「大半の中国人は、顔や鼻は小さければ小さいほど美しく見えると思っている」と語った

2003年に撮影された下の写真に写っているのは、北京の宝石商Lucy Haoさん(当時24歳)だ。隣に掲げられているのは、鼻を小さくし、目を二重にする手術を受ける前の彼女自身の写真だという。

Lucy Haoさんのビフォー・アフター

Getty

中国ではまた、多くの女性が手術用ドリルであごのラインを細くするなど、骨を削る手術も広まっている。こうした手術は、感染症を含む合併症や顔面まひを引き起こす危険もあると、AFP通信は報じている。

「創造101」に出演したある女性は、このような美意識に挑戦して国中の注目を集めた。ガーディアンによると、モデルのマネージャーをしているWang Juさん(25歳)は、身長5.5フィート(約168センチ)弱、体重60キロで、日に焼けていたため、背が低過ぎる、太り過ぎ、色が黒過ぎる、オーディションを勝ち抜くには年を取り過ぎていると批判された。

環球時報はWangさんを「ガールズグループの基準から見ると、大してかわいいとは言えないリアリティー番組の出演者」であり、「中国の笑いものになる」と評した。番組の視聴者もWangさんのことを「大媽(おばさん)」と呼び、「太っていて色黒」だから絶対に投票しないと語っていたと、ガーディアンは伝えている。

Wangさんのパフォーマンス(動画)はこちら:

こうした美の基準は、中国だけのものではない

中国のアイドル業界は、韓国の影響を大きく受けている。K-POPはアメリカ同様、中国でも高く評価されている。

ソウルの高級住宅街、江南区にあるDEFダンススクールでは、生徒は毎日、朝と夜に体重を計り、「マスタートレーナー」に毎回報告しているという。ウェブメディア「Broadly」によると、生徒たちが取る食事も厳しく管理されている。

韓国では、美容整形は推奨されているだけでなく、ほとんど生活の一部と考えられている。1人あたりの美容整形手術数は世界で最も多く、毎年100万件近い整形手術が行われている。韓国のギャラップが2015年に実施した調査によると、19~29歳の韓国人女性の3人に1人がすでに美容整形手術を受けている。

韓国の地下鉄の駅構内

韓国の地下鉄では、美容整形手術が大々的に宣伝されている。

Ahn Young-joon/AP

だが、過酷な生活にもかかわらず、中国でアイドルを目指す若者たちは、夢が叶うまでやり通す覚悟だ。

バナナエンターテインメントの生徒の1人、Chen Qiuyuさんは環球時報に語った。「一度この世界に入ったら、続けるよりもあきらめる方が難しい」

[原文:Grueling diets, 12-hour training days, and monthly exams: Here's what it takes to be a pop star in China]

(翻訳: R. Yamaguchi、編集:山口佳美)

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