現代の若者は自分勝手か見習うべき対象か?若者から“学ぼう”とする大人だけができること

仕事よりもプライベート重視だったり、常に転職を検討していたりも珍しくない今どきの若者は「会社に頼らない考えを持っている」のか、それとも「愛社精神がなく、転職ありき」なのか—— 。その受け止め方の違いは、若者から学ぶ志向の高い低いが影響していることが、リクルートマネジメントソリューションズによる「若者から学ぶ大人」の実態調査で明らかになった。

渋谷

現代において、若者から学ぶことの重要さとは。

多くは「若者は教える対象」

学びの本質として昨今、注目されるのが「アンラーン(unlearn)」というキーワードだ。これまで覚えた仕事の仕方だけでなく、既成概念や成功体験をいったん壊したり、捨て去ることが、変化の早い時代に働き続けるには大切だとされ、注目されるようになった。調査では、若者から学ぶ志向の高い人には、このアンラーンの姿勢が強いことが浮き彫りになった。

「大人が若者から学ぶには」をテーマに研究する、リクルートマネジメントソリューションズの桑原正義・主任研究員は「若者は大人にとって異質な存在だが、若者に違和感を抱いた瞬間こそが、大人の学びの絶好のタイミング」と話し、世代を超えた前向きな関わりが、年配世代のチャンスにもなると指摘している。

調査では若者を30歳未満と定義し、30歳から65歳までの会社員444人を対象に、インターネット上で質問。若者から学ぶことについて、「とても当てはまる」から「全く当てはまらない」まで6段階で答えてもらった。

その結果、自分にない考え方や価値観、知識やスキルを若者から「学んでいる」に、より当てはまると回答した人は、全体の2割程度にとどまった。若者に「教えている」により当てはまると答えた人の割合は4割程度で、現状は若者を「教える対象」と見ている人の多いことが、確認された

さらに男女別で見ると、男性の方がより「教えている」という意識が強く、調査では「大人の男性ほど、自分の持っている知識や考え方を若者に教えたがる傾向があると言えそうだ」と評している。

異質こそアンラーンの鍵

さらに調査では若者から学ぶ人と、そうでない人の違いを分析。学ぶ志向の高い人のグループ、中程度の人のグループ、低い人のグループに分類して「大人の学び」に関する10項目を聞いたところ、

・明らかに違うとか稚拙だと思う意見であっても、そこに何か本質や真実があるかもしれないと捉え、発言の意図や理由を聴くにようにしている。
・今までのやり方や考え方にこだわらず、意識的に新たな考え方やり方を学び取り入れるようにしている。
・さまざまなことに興味を持って調べたり、関わってみるようにしている。

の3項目で「若者から学ぶ人」グループと「そうでない人」グループのポイントの差がもっとも大きかった。

桑原さんは3項目について「まさに、歳を重ねても新たな知識やスキルを身につけるのに不可欠な、アンラーンのプロセス」と指摘。若者に学ぶ姿勢とアンラーンの深い関わりを示唆した。

若者。

サービス残業を若者が敬遠する理由とは。

今どきの若者は自分勝手?

調査中のフリーコメントでは、若者から学ぶ人グループとそうでない人グループとの間で、興味深い現象が起きている。若者の特徴の捉え方で、唯一の共通点だった「自己の重視」について、捉え方が真逆なのだ。

若者から学ぶ志向の高い人では、若者の「自己の重視」について

「好きなものは好き、嫌いなものは嫌いとはっきり伝えられる強さを持っている」
「家族や家庭の幸せについて真剣に考えている」
「飲み会や親睦会という名のお付き合いに過度に参加しなかったり、サービス残業についての考え方を聞くと驚くが、勉強になる」

など、自己の価値観を重視する生き方をポジティブに捉えているのが特徴だ。

しかし一方、若者から学ぶ志向の低い人グループでは

「自分さえ良ければ良いと思っている」
「手が空いていても他人の仕事を手伝おうとしない」

と、同じ「自己の重視」でも、「自分勝手」とネガティブに捉えているようだ。

桑原さんは「変化の激しい時代において、価値観やフィルターをいったん外して『異質』から学ぶことは重要」とした上で、「現代の若者は、自分のやりたいことを犠牲にして競争や組織の論理に合わせても、成長経済時代のような見返りがないことに気づいている。むしろ、個人や家族を大切にし、共存共栄していく生き方こそが幸せだという価値観です。大人でも従来の価値観を手放して、一見『異質』な若者から学ぶことの大切さに、気づいている人はいる」という。

変化の時代だからこそ、アンラーンして若者から学ぶ人が増えることで「よりよい社会や組織づくりにつながるのでは」と、提唱している。

(文・滝川麻衣子、写真・今村拓馬)

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