ファイザーの幹部が明かした、「最も重要なステークホルダーは従業員9万人」と考える理由

サリー・サスマン氏

ファイザーの管理部門の上級副社長、サリー・サスマン氏。

Courtesy Pfizer

  • 製薬大手ファイザーの管理部門の上級副社長、サリー・サスマン(Sally Susman)氏は、9万人の従業員が同社にとって最も重要なステークホルダーだと考えている。
  • 従業員を支援するため、同社はマッチング・ギフト制度を取り入れ、フェローシップ・プログラムで従業員を世界中に派遣している。
  • 2017年秋、プエルトリコがハリケーンで被災したときには、現地の従業員全員に発電機を支給した。
  • この記事は、Business Insiderの特集シリーズ「ベター・キャピタリズム(Better Capitalism)」の一部。

ファイザーの管理部門の上級副社長サリー・サスマン氏は、従業員の存在によって企業がさらに良くなることを望んでいる。

同社のような大手製薬会社にとって、満足させなければならないステークホルダーは多い。同社の株主やファイザー製品を使用している患者はもちろん、国際社会に対する責任も負っている。そして、ファイザーは全世界で従業員9万人を雇用している。

「株主はもちろん重要です。ただ、重要なステークホルダーは他にもたくさんいます。そして、わたしにとって最も重要なのは、ファイザーのために働く9万人の従業員たちです」サスマン氏はBusiness Insiderのインタビューで述べた。

同氏はファイザーで、コミュニケーション部門と政府との調整部門を統括するとともに、ファイザー財団の副会長も務めている。わたしたちの社会には、日々の仕事に何らかの意義を見出したいと望んでいる従業員を生かす大きなチャンスがあると、サスマン氏は見ている。これは特に、新薬を開発するという責任を企業全体として負う製薬業界に当てはまるという。

「社会には大きなチャンスがあります。あとは、彼らがこのチャンスを生かすかどうかなのです」サスマン氏は言う。

同氏はファイザー財団の活動を通じて、そのチャンスを生かした。同財団は、従業員から寄付を募り、寄せられた金額と同額を企業側が上乗せする「マッチング・ギフト」という制度を導入している。2017年、ファイザーはこの制度を通じて、1万2000団体に3400万ドル(約38億円)を寄付した。

また、ファイザーは15年前から従業員をグローバルヘルス・フェローとして、6カ月または12カ月間、海外に派遣している。このプログラムを通じて、普段社内で使っているスキルを普段とは違う環境で生かし、貢献できるであろうNGOへと派遣されるのだ。例えば、財務部門の従業員であれば、カンボジアの村でワクチンの記録管理システムの導入を手伝うことができるだろう。製造部門の従業員なら、エチオピアで備品倉庫の設置を支援することができるだろう。

「彼らは輝いていました」フェローたちを現場に訪ねたサスマン氏は語った。

危機的な状況においても、ファイザーは従業員を支えようと目を配っている。2017年にプエルトリコを嵐が襲い、停電が発生したときには、同国に住む従業員全員に発電機を支給した。

「会社を家族のように感じてもらいたかったんです」サスマン氏は言う。

アメリカの製薬業界はここ数年、市民や政治家から処方薬の価格を引き上げていると非難されてきた。7月上旬には、トランプ大統領が一部医薬品の値上げに踏み切ったファイザーを名指しで批判した。

だが、2007年にファイザーに入社するまで複数の業界を経験して来たサスマン氏はひるまず、やるべきことに集中し続けている。

「わたしたちは、会社とその取り組みを説明することに全力を尽くしています。ただ、最終的には鏡に映った自分の姿を見て、これから具体的にどうすべきかを決めます」サスマン氏は言う。「それが、社内の従業員同士を結びつけることになるのだと思います」

[原文:A Pfizer executive explains why she sees a group of 90,000 people as the most important stakeholders in the drugmaker]

(翻訳:R. Yamaguchi、編集:山口佳美)

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