職場で嫌な人と戦うときは気を付けなくてはならないとスタンフォード大学のロバート・サットン教授は語った。
Bob Sutton
- 嫌な同僚との付き合い方に悩んでいるのは、あなただけではない。どこにでも1人くらい、嫌な人がいる。
- さらに悪いことに、悪い職場カルチャーは、さらに悪い行動を生み出してしまう。
- スタンフォード大学のロバート・サットン(Robert Sutton)教授が勧める、嫌な同僚への対処法を見てみよう。
出世したければ、そして、正気を保ちたければ、職場の嫌な人に対処する方法を学ぶ必要がある。
『あなたの職場のイヤな奴(The No Asshole Rule)』の著者で、スタンフォード大学でマネジメントを教えるロバート・サットン(Robert Sutton)教授は、理想的とは言い難い同僚に対処してきた人たちを取材して、新著『スタンフォードの教授が教える 職場のアホと戦わない技術(The Asshole Survival Guide)』を書いた。
教授は、裏切り者、無能で虐待的な上司などと働いた経験のある人を取材した。そのなかには、騒音計で測ったところ、金属を切る音と同じくらいうるさい同僚と仕事をした人もいた。
多くの場合、嫌な人と一緒に働くことを最初から避けるか、辞めて先に進むことが最善策と教授は語った。
しかし、こうした行動は必ずしも確実ではないし、誰にでもできることではない。
それを踏まえたうえで、サットン教授は嫌な同僚からサバイバルするための戦略を教えてくれた。見てみよう。
認知的トリックを使って、プラス面に目を向ける
Luba Kozorezova/Strelka Institute/Flickr
サットン教授は、2年間の実務修習のために、連邦判事の下で働いた若い法律家の経験を例にあげた。
彼女の同僚や上司は非常に付き合いにくい人たちだったが、仕事を辞めることはキャリア的に考えられないことだった。また、学費ローンも抱えていた。
彼女は、シンプルな認知行動学的テクニックを使って対処したとサットン教授は語った。彼女はシンプルに、実務修習の先に何があるかを思い描いた。
「困難な状況にあるとき、自分自身に『今夜を乗り越えて、週末、6カ月後、1年後から今の状況を振り返ろう』と言い聞かせることができれば、ストレスフルな状況が精神と身体に与えるダメージを実際に減らすことができる」
ユーモアを忘れない
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認知的に困難な状況と距離を置くことのもう1つの例として、サットン教授はひどい状況でもユーモアを忘れないことあげた。
「このテクニックは、どんなときも役に立つ」と教授。
「素晴らしい方法。他人のことを笑ってやり過ごせるようになる。スタンフォード大学の付き合いづらい同僚に対して、私が実際に使っているテクニック」
物理的に避ける
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隣の人が嫌な人なら、席を変えて離れよう。ミーティングの際は、失礼な人からできる限り離れて座ろう。職場のキッチンで出会わないようにスケジュールを変えてみよう。
職場の嫌な人と出会う機会は、少なければ少ないほど良いとサットン教授は語った。
可能なときは、パワーを使う
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職場でひどい行動をとっている人に対して、パワーを行使できるなら、それを使おう。
サットン教授は、資産管理会社ロバート・W・ベアード(Robert W. Baird)の元CEOで現会長のポール・パーセル(Paul Purcell)氏の例をあげた。
「パーセル氏は面接の際に、『もしも、あなたが嫌な人だということが分かったら、解雇します』と伝えている。そして実際に解雇する」
もし、あなたが対処しなければ、あなたの無頓着さが職場のモラルを損う可能性もある。
ひどい行動の証拠を集める
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サットン教授は、同僚のひどい行動を記録しておくことは非常に重要と述べた。特に状況が、法的問題や人事問題に発展した場合には。
「記録していたからといって、必ずしも勝てるわけではない。しかし、勝つ確率は上がる」
ハラスメントを記録するときは、合法性を確認する
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サットン教授は、FOXニュースの元ニュースキャスター、グレッチェン・カールソン(Gretchen Carlson)氏のケースを例にあげた。
Business Insiderで過去に報じたように、カールソン氏は相手の許可なく会話を録音することの合法性を確認し、当時のCEO、ロジャー・エイルズ(Roger Ailes)氏との会話を録音した。
録音データを使うことで、カールソン氏は上司によるハラスメントを証明できた。エイルズ氏はその後、辞任した。
嫌な人のように振る舞っている人と話し合う
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サットン教授によると、職場の嫌な人は2タイプ —— 無意識なタイプと戦略的なタイプがいる。戦略的なタイプは、出世するために嫌な振る舞いをしている。無意識なタイプは、自分の行動が他人に与える影響をただ単に理解していない。
「もし、相手がわざとではなく嫌な振る舞いをし、自分の行動を意識していないタイプなら、個人的に話をする機会を作り、『あなたがこの行動を取ると、不快な気分になる。変えてもらうことは可能でしょうか?』と伝えよう」とサットン教授。
「非常に効果的」
教授はある女性副社長の話を例にあげた。彼女のボス、つまり会社のCEOは幹部会議のときに、女性たちが発言しているときだけ、話を遮ることがしばしばあった。
「彼女と同僚たちは、会議中に何回、CEOに話を遮られたのかを記録し、その数をそのままCEOに伝えた。CEOは自分では気づいておらず、その後、振る舞いを変えた」
可能なら、仲間の同僚と手を組む
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新著の中でサットン教授は、非常に短気で、人種差別主義者の同僚に対処しなければならなかった野犬捕獲員のチームを取材した。上司が問題の女性に対処しなかったため、彼らは協力して彼女の問題行動を記録し、ついには彼女を辞めさせた。
「彼らは『嫌な人の日記』と名付けたものを書き、それを上司のところに持っていった。問題の女性はその数日後に辞めた。もし、問題の人物が同僚で、上司が対処してくれないなら、仲間を作り、記録を取ることは多くの場合、役に立つ」
立ち向かう
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ときには、職場の嫌な人と対決することも必要とサットン教授。特に相手が「力や意地悪さだけを受け付けるようなタイプ」のときはなおさら。
「私は戦うことの大切さを信じている。だが、あなたが同僚と戦う前から負けると思っているようなら、戦うべきではないとも信じている。時間をかけて、信頼できる人に相談し、戦いを始める前に状況を見極めよう」
他の選択肢はないか、仲間はいないか、適切な記録があるかを確認しよう。職場で嫌な人を名指しする前に。
[原文:9 ways to deal with a terrible coworker when quitting simply isn't an option]
(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)