個人間カーシェアで、ローン代をカバーするサンフランシスコの人々

テスラ・モデル3

Eric Risberg/AP

  • 個人間カーシェアリングサービス「テューロ(Turo)」は、サンフランシスコのような大都市で車を所有することの経済的な価値や意味を変えている。
  • 車のオーナーはテューロに車を登録し、1日単位で貸し出す。
  • 同社によると、サンフランシスコ在住の平均的なホスト(貸主)は、月平均672ドル(約7万5000円)を稼いでいる。アメリカにおける新車ローンの平均月額を十分にカバーできる金額だ。
  • ある“パワー・ホスト”は、自分の新しいテスラ・モデル3には実質的にお金がかかっていないと語った。なぜならテューロでモデル3を貸し出すことで、そのコストをカバーしているから。

ベロニカ・トラン(Veronica Tran)と彼女のボーイフレンドは、テスラ・モデル3を購入するかどうかで悩んでいた。

モデル3の基本モデルの価格は3万5000ドル(約390万円)、テスラの中では最も手頃なモデルだが、決して安くはない。

2人が住むサンフランシスコはアメリカで最も生活費が高い都市。住民は主にウーバーや電車で移動している。

「ずっと車を運転しているわけではない。だが運転していないときはテューロに掲載できる。それが理由でテスラの購入に踏み切った」とベロニカは語った。

彼女はテューロで週6日、見知らぬ人にモデル3を貸している。テューロは個人間のカーシェアリングサービス。分かりやすく言えば、“車向けのエアビーアンドビー(Airbnb)”だ。

「テューロでモデル3を貸し出すことは、つまりガレージ代、車のローン、保険の費用などをテューロが支払ってくれるようなもの」とベロニカ。

「すべての費用をカバーしてくれる」

テューロは、サンフランシスコのような大都市で車を所有することの経済的な価値や意味を変えている。車のオーナーはテューロに車を掲載し、1日単位で貸し出す。料金は車のメーカーやモデルによるが、1日あたり29〜200ドル(約3200〜2万2000円)。

同社によると、サンフランシスコ在住の平均的なホスト(貸主)は、月平均672ドル(約7万5000円)稼いでいる。アメリカにおける新車ローンの平均月額を十分にカバーできる。

ある“パワー・ホスト”は2017年、テスラ・モデルXを貸し出して、4万ドル(約440万円)稼いだと述べた。

56カ国、5500以上の都市で展開するテューロにとって、サンフランシスコは最大のマーケットの1つ。サンフランシスコの生活費の高さを考えると、車を所有するコストを相殺するために、住民がテューロで車を貸していることは驚きではない。

同社はユーザーへのアンケート調査で、車を貸し出すことで得たお金の用途を聞いた。回答者の半数以上は車のローンやリース料に使っていると答えた。一方、約3分の1は貯金していると答えた。

あるスタートアップ企業に勤めるマイケル・クイン(Michael Quinn)は、パロアルトに通勤するためにスバル・フォレスターをリースした。だが、使用頻度は思ったより低かった。そこで、彼は車を使わないまま置いておくのではなく、テューロで貸し出すことにした。

予約は平均して週に1、2回入る。フォレスターのリース費用は、それですべてカバーできる。

「無料の車を持っているようなもの」とクインは語った。

アンケート調査の回答者の23%は、テューロで得たお金を、さらにテューロで貸し出すために車を購入するための費用に充てていると答えた。冒頭のベロニカもその1人。

テューロによるとサンフランシスコ・ベイエリアで最も人気の車は、テスラ・モデルS。そして、テスラ・モデルX、BMW・3シリーズが続く。2017年に生産が始まって以来、テスラ・モデル3も人気がある。

「テストドライブがしたいという理由で、1時間だけ借りる人もいる」とベロニカは彼女のモデル3について語った。また彼女は、このタイプの借り手が好きと付け加えた。車を利用する時間が非常に短く、事故の確率もより小さいから。

テスラ・モデル3に乗る女性

ある“パワー・ホスト”は昨年、2016年型テスラ・モデルXを貸し出して、4万ドル(約440万円)稼いだと述べた。

Shutterstock

多くのパワー・ホストと同様に、ベロニカは追加サービスとして車を利用者の自宅まで届けるサービスを提供している。料金はベロニカのモデル3では100ドル(約1万1000円)。

彼女はフリーランスとして働いているため、日中に車を届け、回収することができる。テューロはこうしたデリバリーサービスを必須としていないが、予約が入る確率は上がると述べた。

ベロニカは彼女にとって1台目の車であるトヨタ・カローラもテューロに掲載している。だがカローラにはデリバリーサービスは設定していない。カローラに対して、100ドルのデリバリー料金は見合わないと彼女は語った。

ベロニカによると、テューロで最も不便なことは車の引き渡し。時々、引き渡し時間の2、3時間前に予約が入ることがある。そのために仕事などを中断しなければならないことがある。

テューロは最近、アプリを使ってホストがリモートで車のロックを解除できる機能を発表した。彼女はこの機能を非常に楽しみにしている。

万一、借り手がベロニカの車を汚した場合(彼女のカローラでタホにスキーに行った人のように)、彼女は借り手にクリーニング代を請求できる。ただし、その場合はクリーニング前後の写真をテューロに提出する必要がある。

マイケル・クインは、テューロで悪い経験をした記憶はないと語った。

「すべて良い経験だった。私のお気に入りの経験は、タホに住む親族を訪ねるために、より大きなSUVを必要としていた家族に車を貸したこと」

「彼らはとても喜び、車を大切に扱ってくれた。それに旅行の実現を手助けできて、私も胸にジーンとくるものがあった」と彼は付け加えた。

[原文:People in San Francisco are leasing their Teslas and supercars to strangers in order to afford owning a car in one of the most expensive cities in America

(翻訳:Yuta Machida、編集:増田隆幸)

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