地図で見る世界のテロ —— 3月はヨーロッパで頻発、ペースは3日に1度

テロ等の発生状況をまとめた地図

制作 枝常暢子

イギリス、ロシア、エジプト ——。この1カ月を振り返っただけでも、欧州、中東、アフリカ地域(EMEA)を中心に、各地でテロが相次いでいる。

シンクタンクInstitute for Economics and Peaceが2016年に公表した最新のレポートによると、2015年のテロによる世界全体での死者数は約3万人。このうち、イギリスやスウェーデンを含むOECD加盟国の死者数は、前年に比べ6.5倍に増加している。

背景には、移民政策によりヨーロッパで広がる貧困や格差、難民の受け入れを拒否する超右派的な政治勢力の台頭等によって高まる国際的な緊張がある。

BUSINESS INSIDER JAPANでは3月15日以降、ここ約1カ月間で発生したテロ等の事件をまとめた。なお、日付はすべて現地時間、テロ組織の詳細は公安調査庁の「国際テロリズム要覧(Web版)」を参考にした。

ドイツ・財務大臣宛に小包爆弾が届く(2017年3月15日)

ドイツ連邦財務省

ドイツ連邦財務省

Wikicommons

  • 場所:ベルリン・財務省
  • 死傷者:なし
  • 容疑者/犯行声明:炎の陰謀中核 (Conspiracy of Fire Cells)※2008年1月にギリシャで出現した過激派組織。国内にとどまらず、ヨーロッパで爆発物を使った事件を複数実行している。
  • 概要:ヴォルフガング・ショイブレ財務大臣宛てに爆発物入りの小包が届いたが、爆発する前にドイツ当局が押収した。発送人にはギリシャ新民主主義党の幹部アドニス・ゲオルギアディス氏の名前があったと報じられている。

シリア・裁判所で自爆テロ(2017年3月15日)

シリアの首都ダマスカス

シリアの首都ダマスカス

Ghaith Abdul-Ahad/Getty

  • 場所:ダマスカス(首都)・裁判所
  • 死傷者:39人が死亡、約100人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:イスラム国(Islamic State of Iraq and the Levant) ※2004年10月に設立されたイスラム教スンニ派の過激組織。主にイラクで活動していたが、2013年以降はシリアやその周辺国に活動を拡大させた。
  • 概要:防弾チョッキを着たテロリストが裁判所の建物内で自爆(シリア国営通信SANA)。現場は買い物客でにぎわう旧市街地の市場に近く、死傷者の大半は民間人だと報じられた。

フランス・国際通貨基金(IMF)事務所で小包が爆発(2017年3月16日)

  • 場所:パリ・国際通貨基金(IMF)事務所
  • 死傷者:1人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:なし
  • 概要:郵便物が爆発し、開封した女性が顔や腕に火傷を負ったが、命に別状はなかった。フランスの警察当局によると、爆発物は手製とみられる。IMFには最近脅迫電話が相次いでいたが、この日の爆発と関連があるかは不明。郵便物の差出地はギリシャで、差出人にはギリシャの新民主主義党の幹部バシリス・キキリアス氏の名前があったと、ギリシャのニコス・トスカス内務副大臣(市民擁護担当)が明らかにした。

フランス・空港で警戒中の治安部隊の兵士が襲撃される(2017年3月18日)

オルリー空港

オルリー空港(2013年撮影)

hiro449944/Wikicommons

  • 場所:パリ郊外・オルリー空港
  • 死傷者:1人死亡(容疑者)
  • 容疑者/犯行声明:チュニジア系フランス人の男
  • 概要:武装したチュニジア系フランス人の男がテロ警戒中の治安部隊の女性兵士を襲撃、銃を奪おうとしたため、別の兵士が射殺した。犯行声明は出ていない。男は以前から要注意人物としてマークされていたとの報道もあった。

イラク・自動車爆弾が爆発(2017年3月20日)

  • 場所:バグダッド(首都)・南西部ハイアルアメル地区
  • 死傷者:少なくとも23人が死亡、45人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:イスラム国(ISIL)
  • 概要:自動車爆弾が爆発。

イギリス・国会議事堂付近でテロ(2017年3月22日)

負傷者の治療にあたる医療スタッフ

負傷者の治療にあたる医療スタッフ

Carl Court/Getty

  • 場所:ロンドン・国会議事堂近く
  • 死傷者:4人が死亡、約50人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:カリド・マスード容疑者(イギリス南部ケント州出身) ※イスラム過激主思想に傾倒した単独犯。改宗前の名前はエイドリアン・エルムスだったと報じられた。
  • 概要:四輪駆動車に乗った男がウェストミンスター・ブリッジの歩行者を次々とはね、国会議事堂の敷地への侵入を試みた。男の侵入をゲート近くで食い止めた警察官が刺されて死亡、男は別の警察官に射殺された。

エジプト・軍や警察をねらった爆発、銃撃戦(2017年3月23日)

  • 場所:北東部の北シナイ県エル・アリシュ市
  • 死傷者:12人が死亡(兵士10人、警察官2人)
  • 容疑者/犯行声明:不明
  • 概要:軍車両を標的にした爆弾2つの爆弾が爆発。その後、警察署付近で銃撃戦が発生した。

南スーダン・援助関係の車列が待ち伏せ攻撃を受ける(2017年3月27日)

土埃の中、車が行き交う

首都ジュバの様子(2012年撮影)

Paula Bronstein/Getty

  • 場所:ジュバ(首都)から東部ビボルに向かう途中
  • 死傷者:6人が死亡
  • 容疑者/犯行声明:不明
  • 概要:援助関係者の車列が武装集団の待ち伏せ攻撃を受けた。

イラク・検問所で自動車爆弾による自爆テロ(2017年3月29日)

  • 場所:バグダッド(首都)南部・警察検問所
  • 傷者:少なくとも17人が死亡、60人以上が負傷
  • 容疑者/犯行声明:イスラム国(ISIL)
  • 概要:自動車爆弾による自爆テロ

パキスタン・モスク付近の市場で爆発(2017年3月31日)

  • 場所:北西部の連邦直轄部族地域(FATA)クッラム地区パラチナル・シーア派のモスク近くの市場
  • 死傷者:24人が死亡、90人以上が負傷
  • 容疑者/犯行声明:パキスタン・タリバン運動ジャマートゥル・アフラル(TTP-JA) ※パキスタン・タリバン運動(TTP)の地区司令官らが2014年8月にTTPの分派を改称、設立表明したとされるイスラム過激組織。立ち番の最高指導者モハンメド・オマルへの忠誠を誓う。主な活動地域はパキスタン。TTPは2007年、アフガニスタンに駐留するNATO軍との戦いのために、パキスタンにおけるタリバン支持勢力を統一、パキスタン軍に対する防衛ジハードを立ち上げるために設立された。
  • 概要:市場に仕掛けられた爆弾が爆発した。

フィリピン・ミンダナオ島で路肩爆弾が爆発(2017年3月31日)

  • 場所:ミンダナオ島・マギンダナオ州ママサパノ
  • 死傷者:国軍兵士2人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:ISIL東アジア
  • 概要:路肩爆弾が爆発した。

ロシア・地下鉄で自爆テロ(2017年4月3日)

現場で被害者を悼む人

地下鉄の駅構内にはたくさんの花が手向けられた

Alexander Aksakov/Getty

  • 場所:サンクトペテルブルク・地下鉄車内
  • 死傷者:14人が死亡、49人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:アクバルジョン・ジャリロフ容疑者(キルギス出身、イスラム過激派との関連が疑われる)
  • 概要:バックパックに爆発物を入れて地下鉄に乗った容疑者が、「センナヤ広場駅」と「工科大学駅」の間で起爆装置を作動させ、自爆した。その現場から2キロほど東に離れた「蜂起広場駅」でも爆発物が見つかったが、不発処理された。ロシア当局は、容疑者が同時爆破を狙ったとの見方を示した。

スウェーデン・トラックが歩行者専用道路を暴走(2017年4月7日)

規制線の張られた現場

現場に散乱した残骸から、被害の大きさがわかる

Michael Campanella/Getty

  • 場所:ストックホルム(首都)・中心部のショッピング街
  • 死傷者:4人が死亡、15人が負傷
  • 容疑者/犯行声明:39歳のウズベキスタン人の男(イスラム国(ISIL)との関連が報じられた)と別の男2人が逮捕されたが、実行犯かどうかは不明
  • 概要:盗んだトラックに乗った男が、買い物客でにぎわう歩行者専用道を約500メートルにわたって暴走。次々と歩行者をはね、百貨店に突っ込んだ。実行犯は現場から逃走している。

エジプト・教会で爆発相次ぐ(2017年4月9日)

  • 場所:北部の都市タンタ、アレクサンドリア・コプト教(キリスト教の一派)の教会
  • 死傷者:40人以上が死亡、100人以上が負傷
  • 容疑者/犯行声明:イスラム国(ISIL)
  • 概要:タンタにあるコプト教の教会で爆発があり、その後、現場から約200キロ離れたアレクサンドリアでも、教会に入ろうとして警察に止められた男が身につけた爆弾を爆発させた。9日はコプト教の祝日のため、多くの人が教会に集まっていた。事件を受けて、エジプト政府は3カ月にわたる非常事態宣言を出す方針を発表した。

ドイツ・サッカー「ドルトムント」の選手が乗るバス付近で爆発(2017年4月11日)

被害にあったバスの捜査にあたる警察官

被害にあったバスの捜査にあたる警察官

Maja Hitij/Getty

  • 場所:ドルトムント
  • 死傷者:1人負傷
  • 容疑者/犯行声明:ドイツがシリアに派遣している偵察機の撤収などを求める犯行声明あり。イスラム過激思想の影響を受けた可能性のある人物1人が拘束された
  • 概要:香川真司選手が所属するサッカー・ドイツ1部リーグ「ドルトムント」の選手らが乗車するバスが、宿泊するホテルから試合会場に向かう途中、バスの近くで3回の爆発があった。爆発物には殺傷力を高めるため、金属片が入っていたという。地元の捜査当局は「ドルトムントのチームが乗ったバスを直接狙ったもの」との見方を示した。

シリア・子どもらを乗せたバスの車列近くで爆発(2017年4月15日)

現場に散乱した残骸

Reuters

  • 場所:北部アレッポ
  • 死傷者:126人が死亡(うち少なくとも68人が子ども)、負傷者多数
  • 容疑者/犯行声明:なし
  • 概要:反政府組織の包囲下にある町からシリア政府軍の支配地域に移動する住民らを乗せたバスが検問所で通行許可を待っていると、バスの車列に近づいてきた自動車に積まれた爆弾が爆発。バスは大破した。

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