キャリアパスは"まっすぐ"じゃなきゃダメ? 専門家が指摘する、今すぐ捨てるべき「幻想」とは

遠くを見つめる女性

キャリアパスは、"まっすぐ"である必要はないと、専門家は語る。

Mikhail Goldenkov/Strelka Institute/Flickr

  • 心理学者のタニア・ルナ(Tania Luna)氏と、アメリカのダイエットプログラム大手、ウェイト・ウォッチャーズ(Weight Watchers)の幹部ジョーダン・コーエン(Jordan Cohen)氏は、ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された記事で、キャリアは一直線的な道筋をたどるものだという「キャリア神話」が、わたしたちの足かせになっていると指摘した。
  • 会社員が、キャリアアップの機会を安定的に得られると期待できたのは、もはや過去の話だ。
  • むしろ、わたしたちは終点を決めずに、仕事の内容、さらには業界を変えながら、不確実性を受け入れる必要があると彼らは言う。

キャリア選びは、非常に難しい問題だ。

しかし、それはキャリアパスを間違った観点から見ているからかもしれない。実際、そう考える専門家が近年増えている。

ハーバード・ビジネス・レビューに2018年7月に掲載された記事で、心理学者のタニア・ルナ氏とウェイト・ウォッチャーズの幹部ジョーダン・コーエン氏は、現代の会社員は「キャリア神話」信仰に苦しんでいると指摘した。彼らはこれを「キャリアは一直線状に進むものだという、時代遅れの考えに対する妄想的な信仰」と表現した。

現代人はもはや、昇給や肩書きの変化とともにキャリアアップの機会が安定的に与えられるだろうという、時代遅れの昇進システムに頼ることはできないと、ルナ氏とコーエン氏は説明する。

今日、そんな単純明快なキャリアパスは珍しい。時間が経つにつれ、大抵は新しい役割にもすぐに順応することが求められるし、多くの人にとって企業、さらには業界を複数回変えることは普通だ。

「キャリアを思い描くとき、わたしたちは、最終目的地とそこへ続くまっすぐな道を想像します」2人は書いている。「この考え方は、つい最近まで役に立ちました」

「ただ、このようなキャリアアップの展望は、いまや現実的ではありません。もう未来予測に長けている必要はないのです。むしろ、わたしたちは今、未来が予測不可能な中で成功しなければなりません」彼らは加えた。

こうした見方は、他の企業の幹部たちも共有している。フェイスブックの最高執行責任者(COO)、シェリル・サンドバーグ氏は、キャリアは階段というより、ジャングルジムのようなものだと考える方が良いと述べている —— 頂点にたどり着くルートはいろいろで、下に降りることもあれば、行き止まりにぶつかることもある。

デジタル・マーケターのミッチ・ジョエル(Mitch Joel)氏も同意見だ。2013年に出した著書で、ジョエル氏は労働者はキャリアを変え、進化することに前向きであるべきだと述べている。

「組織内の課題に挑戦し、新しい部署とともに働き、ビジネスにおける時代遅れもしくは厳格すぎる慣習を変えてみよう」と、同氏は書いている。

ルナ氏とコーエン氏は、いわゆる「キャリア神話」を捨てるのは、不確実な未来を意味するため、怖いことかもしれないと認めている。しかし、キャリアパスに合理性や一貫性がなかったとしても、時間を無駄にしているわけではないと言う。

「あなたが今までに就いた仕事、築いてきた人間関係は、それぞれが未来のチャンスを開く鍵のようなものです」彼らは言う。「鍵同士が意味をなす必要はありません。A地点からB地点にたどり着いた方法を説明する、明快かつ直線的なストーリーは必要ないのです」

[原文:Experts say too many people suffer from a 'delusional belief' about their careers that doesn't do them any favors

(翻訳:Yuta Machida、編集:山口佳美)

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