Korea Summit Press Pool via Reuters
- 北朝鮮経済は2017年、ここ20年で最も大きく低迷した。
- 国連は2017年8月、北朝鮮に対する制裁を強化した。
- 制裁は、北朝鮮が非核化に向けて動き出すまで継続される見込みだ。
韓国の中央銀行である韓国銀行によると、経済制裁の強化によって、北朝鮮経済は2017年、ここ20年で最も大きく低迷した。
韓国銀行は20日、北朝鮮の実質国内総生産(GDP)が2017年に3.5%減少したと発表した。北朝鮮が深刻な飢饉に陥った1997年以来、最も大幅なマイナス成長となった。北朝鮮は自国経済の成長について、独自に数字を発表していない。
北朝鮮経済を研究している、アメリカのシンクタンク「Foreign Policy Research Institute」のベンジャミン・カッツェフ・シルバースタイン(Benjamin Katzeff Silberstein)氏は、これは北朝鮮に対する経済制裁の強化が大きく影響したと見ている。
「変化が起きたのは2017年秋だ。中国が国際的な経済制裁のうちのいくつかを、これまでになく厳しく課し始めた」シルバースタイン氏は言う。
国連の安全保障理事会は2017年8月、核兵器及び弾道ミサイルの開発を食い止めるため北朝鮮に対する制裁を強化、制裁に例外を作ることは「人道的な悪影響」をもたらしかねないと主張した。
この安保理での合意が、北朝鮮最大の貿易パートナーである中国の、北朝鮮からの鉄や鉛を含む主要製品の輸入禁止につながった。これに先立ち、中国は北朝鮮の主力輸出品である石炭の輸入をストップさせていた。
韓国銀行のデータによると、これ以降、北朝鮮の鉱業生産は11%減少した。主に石炭の生産量が減ったためだ。北朝鮮では、輸入が1.8%増加した一方で、輸出は37.2%減少している。
2018年に入ってから交渉のために何度か北朝鮮を訪れているアメリカのポンペオ国務長官は20日(現地時間)、北朝鮮が非核化するまで「制裁を厳しく課す」べきだと、改めて主張した。
これまでのところ、北朝鮮がその核兵器の廃棄に向けて具体的な行動を取ったという証拠はない。2018年6月の米朝首脳会談で、アメリカのトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は共同声明に署名、北朝鮮は「完全な非核化に向けて取り組む」と書かれていたが、いつまでに何をするといった具体的なプロセスは示されていない。
[原文:Sanctions are crippling North Korea's economy]
(翻訳、編集:山口佳美)