「メールや朝会、社内サイトは非生産的」業務用Facebook導入企業の課題とは

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Workplaceは企業ロゴやアイコンが違うことを除けば、“ほとんどフェイスブック”な企業向けSNSだ。

各国と比べて生産性が低いと言われる日本。働き方改革関連法案の成立もあり、各企業はその対応に追われている。そんな働き方改革の一端を担っているのが「脱メール」の動きだ。

「いつもお世話になっております」など、定型文化した挨拶や非リアルタイム性の特徴をもつメールを他のコミュニケーションツール置き換えることは、生産性改善のやり方としては王道とも言える方法だ。

Workplace導入企業例

2018年7月21日時点で、Workplaceを導入している主な企業例。

出典:Facebook

そんなコミュニケーションツールの中でも、注目を集めているのがFacebookのビジネス向けSNS「Workplace by Facebook」(以下、Workplace)だ。クラウド会計ソフトのfreeeやQRコード決済のOrigamiといったスタートアップ企業から、リクシルなどといった大企業まで幅広い規模の企業で導入が進んでいる。

なぜ、Workplaceが注目を集めているのか。導入している企業はどんな課題を持ち、導入を決めたのか。Facebook Japan唯一のWorkplace担当営業である宮原崇氏に話を聞いた。

「Facebookとほぼ同じ」という強み

フェイスブックの宮原崇氏

Facebook JapanでWorkplaceの営業を担当する宮原崇氏。

──まず、Workplaceの規模感や成長具合を教えてください。

宮原氏:日本での導入企業数は非公開ですが、グローバルでは3万社以上の企業に導入していただいています。Workplaceは2017年5月に日本版の提供を開始しましたが、一般的なSaaS製品と比べて早いペースで伸びています。日本の伸び率は、グローバルの中でも抜きん出ている部分もあり、注目されています。

※SaaS(サース)とは:
Software as a Serviceの略。インターネット経由で機能全体もしくはその一部を利用できるサービスのこと。

──スタートアップから大企業まで幅広い採用例があるそうですが、Workplaceのどんな特徴が人気なのでしょうか?

宮原氏:評価されている特徴としては、大きなもので4つ挙げられます。

  • Facebookとほぼ同じ操作感
  • 「G Suite」や「Office 365」など豊富な外部ツール連携
  • ファイルの容量制限がない
  • ISO 27001やSOC2/3といった安心して使えるセキュリティー
  • シンプルかつ実用的な料金体系

新しいツールを入れることは言葉で言うほど簡単なことではありません。多くのスタッフの方に使っていただくには、社内教育に時間とコストが必要です。

しかし、Workplaceは日本だけでも月間2800万人のアクティブユーザーがいるFacebookとほぼ同じUI/UXを実現しているので、そのコストを減らせる。“いいね!”やコメント、メッセンジャーの機能はもちろん、部署やプロジェクトごとに「グループ」を作成し、コミュニケーションができます。

※UI/UXとは:
User Interface/User eXperienceの略。UIはユーザーがサービスに触れる部分の設計、デザインとのこと。UXはユーザーがそのサービスを使うことで得られる体験のこと。

WorkplcaseのG Suiteプレビュー

Facebookの写真表示のように、G Suiteの各種書類をプレビューできる。

多くのお客様がすでにグーグルの「G Suite」やマイクロソフトの「Office 365」といった外部サービスを利用されてます。Workplcaceは多くの外部サービスとの連携が可能で、例えばフィードにGoogleスプレッドシートのURLを共有すると、画像のようにプレビューができ、コメントを残すことも可能です。

既存のサービスのアカウントでWorkplacseに入れるSingle Sign On(SSO)の機能も備えています。

Workplace対応サービスの例

WorkplaceはG Suite以外にも、DropboxやBox、Salesforceといった主要なSaaSに対応している。

──料金形態はどのようになっているのでしょうか?

宮原氏:Workplaceの料金プランは2種類しかありません。1つが無料で使える“スタンダード”、もう1つが1ユーザーあたり月額3ドル(約330円)の“プレミアム”の2種類です。

どちらでもファイルの保存領域やグループの数も無制限ですが、プレミアムの方がエンタープライズ向けの機能や1対1のサポート機能が充実しています。

プレミアムに関してはアクティブユーザーのみが課金対象。仮に1万人規模で登録していただいても、実際に20人しか使っていなければ、3ドル×20人=60ドルとなります。

導入は“社内コミュニケーションの円滑化”のため

宮原崇氏

Workplaceを検討・導入する企業は「社内コミュニケーション」に課題を感じていると話す宮原氏。

──導入を検討・決定した企業間で共通して持つ課題とは。

宮原氏:煩雑化しているメールの代替手段として検討される方ももちろんいらっしゃいますが、みなさん一様に「社長や経営陣のメッセージが全社員に伝わらない」「会社の中のコミュニケーションをどうやっていけばいいのか」という課題を持っていらっしゃいます。

例えば役員のメッセージを伝えるとなると、従来では朝会を開いたり、メーリングリストで回したり、社内ネット上のポータルサイトに掲載するなどされていると思いますが、それらはすべて“一方通行の連絡”でしかありません。

効率的なコミュニケーションとは、双方向なものです。

弊社ではWorkplace上で毎週、創業者であるマーク・ザッカーバーグのライブ動画配信が開催されます。開催の数日前にフィードにはマークに何を聞きたいか、というアンケートが設置され全世界の社員が投票や内容を追加します。マークは開催直前にその結果を見て、票の多い質問からライブ配信で答えていくといった具合です。

このライブ配信に関してはリクシルさんにも活用いただいています。瀬戸社長がスマートフォンを使って配信を行い、社員である視聴者はいいね!や質問のコメントなどを残すわけです。

Workplace設定画面

ライブ動画配信以外にも、フィードに優先して表示されるユーザーを管理者が指定することもできるので、重要なメッセージを社員に自然に行き渡すことができる。

メールは必ず何か別のツールに置き換わる

──「ビジネスチャット」と呼ばれる市場は、Slackやマイクロソフトの「Teams」などのライバルが増えてきている状況です。SlackのCEOは「約96%の方々にはSlackを使っていただける可能性がまだある」と市場がまだブルーオーシャンであると述べていますが、この市場をどうみていますか?

宮原氏:生産性が低いと言われる日本では、何か手を打つ必要があるという状況です。非生産的、付加価値のない仕事に関しては時間短縮していないといけません。そのきっかけの1つがこうしたツールなのだと思います。

Workplaceのメッセンジャー機能

Workplaceにもメッセンジャーは付いているが、同サービスの肝はメッセンジャー機能ではない。

単なるチャットツールだけが必要であればWorkplaceではなくても構わないと思います。ただ、働き方や情報流通の仕方を変えたいという場合は、うってつけのツールだと自負しています。

将来的に、メールは今後なくなっていきます。メール自身も転写シートの置き換えとして発展してきました。メールの同報機能の名前(CC:Copy Carbon)はその名残りですよね。メールがチャットに置き換わるかは分かりませんが、その変わっていくツールを他社やWorkplaceが提供していくのではないでしょうか。

マーケットのポテンシャルはすごくあると思います。ただ、すでに強力な競合が存在するため、容易な市場とは一概には言い切れません。我々はFacebook自体のミッションでもある「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」に基づいて、使いやすさや新しい価値を提供し続けていきたいと思っています。

(文、撮影・小林優多郎)


フェイスブックのHead of Japan Growth、宮原崇氏も登壇する、一般社団法人at Will Work主催の、 初めてのテクノロジー×生産性についてのカンファレンス『テクノロジーと企業経営の未来を考え るカンファレンス「SPIC2018」』が、開催されます。

行政・研究者・企業 、それぞれの領域から登壇者を迎え『「テクノロジー」の力で 「生産性」は本当に向上するのか?』をテーマに、「働き方改革」を取り巻く多くの問題への対策について、ディスカッションが繰り広げられます。

宮原氏は、「コミュニケーション促進による生産性向上と組織の活性化」をテーマに、slack Japan、FiNC、Sansanの担当者たちと、対談します。

▼日時:2018年7月26日(木)13時00分~20時15分(開場12時)

▼場所:虎ノ門ヒルズフォーラムホールB(虎ノ門ヒルズ森タワー4階)

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