ユニクロが元エルメスデザイナーと契約5年延長。フェデラー、錦織ユニフォームもデザイン

ユニクロ

撮影・今村拓馬

ユニクロを世界展開するファーストリテイリングは、ユニクロ・パリR&Dセンターのアーティスティック・ディレクターを務めるクリストフ・ルメール氏との契約を5年間延長した。同時に、彼とサラ・リン・トラン氏が手がけるオリジナルブランド、ルメール(Lemaire)の株式を49%取得したことも発表した。

ルメール氏は、イヴ・サンローランやティエリー・ミュグレー、クリスチャン ラクロワなどでキャリアを積んだ後、1991年に自身の名前を冠したブランド、クリストフ・ルメール(2015年秋冬からブランド名をルメールに変更)をデビューさせた。2000年からラコステのアーティスティック・ディレクターを務めた後、エルメスに抜擢され、2011~2014年までウィメンズ・アーティスティック・ディレクターとして活躍した人物だ。

仕立ての良さに着心地の良さを

ユニクロとは2015年秋冬シーズンからコラボコレクション、ユニクロ アンド ルメールを発売し、過去のデザイナーズコラボレーションの中で最大の成功を収めている。

ルメール氏は日本以上にヨーロッパやファッション業界人の間で知名度や人気が高く、ユニクロのブランディングに寄与した。

それ以上に彼の功績は、仕立てのしっかりした服をリーズナブルな価格で提供してきたユニクロが、シンプルなのにモダンエレガントな新しいシルエットを実現し、着心地の良い本物の服作りができるようになったことだ。

彼は「あらゆる人の日常生活に寄り添った、クリエイティブで、快適で、質の高い洋服を作る」というユニクロが掲げる哲学やモノづくりに対する姿勢に共感。2シーズンのコラボを経て、パリのR&Dセンターのアーティスティック・ディレクターに就任したのも、ルメール氏本人からの申し出だったという。新たに“The Future Of LifeWear”をスローガンに掲げるパリ発信の「UNIQLO U(ユニクロ ユー)」ラインを2016年秋冬からデビューさせるとともに、ユニクロ全体のディレクションも担っている。

ゾゾに先んじたニット商品

クリストフ・ルメール氏

ルメールコレクションのフィナーレに登場したクリストフ・ルメール氏(右)とサラ・リン・トラン氏。

ファーストリテイリング提供

スタートトゥデイの前澤友作社長が「ゾゾスーツ」を活用したプライベートブランド「ゾゾ」で、「島精機製作所の無縫製ニット製造機『ホールガーメント』を活用したアイテムを将来的に発売したい」と発言したことは記憶に新しい。

IT系メディアなどではその“新しさ”に色めき立ったが、実はユニクロとルメールは2017年からホールガーメントを活用したライン「3D U-Knit(スリーディー・ユーニット)」をユニクロ ユーから販売し、ワンピースやセーターなどが人気商品になるなど先行している。

ユニクロと島精機は2016年10月に折半出資により合弁会社イノベーションファクトリーを設立、さらに2018年7月13日には両社で戦略的パートナーシップを締結し、中長期的、包括的にニット商品の開発と技術革新に取り組むことを発表している。そのキーパーソンの1人がルメール氏だ。

フェデラーや錦織のユニフォームもデザイン

ユニクロの3D U-Knit

銀座店に開設された「ユニクロ ユー」の特設売り場(2017年秋)。前面で打ち出されたのは、島精機製作所の「ホールガーメント」を活用した無縫製ニットシリーズ「3D U-Knit」。立体的なシルエットの美しさと縫製によるゴロつきがなく肌触りが良い点が評価されている。

筆者提供

また、ユニクロはテニスのロジャー・フェデラー選手との10年間3億ドル(約330億円)というグローバルブランドアンバサダー契約を結び話題を呼んだが、ルメール氏はフェデラー選手や錦織圭選手の着用ユニフォームもデザインしている。

錦織選手のウエアは従来から発売されてきたが、全英オープン(ウィンブルドン選手権)でフェデラー選手が着用したウエアに対しても大会期間中から問い合わせが相次ぎ、ネット通販限定で7月23日から予約販売を開始。届け日が9月末から10月上旬とかなり先になるものの、シャツ、パンツ、ソックス、リストバンド、ヘッドバンドの5点セット(1万3500円、税別)に多くの予約が入っているという。

柳井正社長

柳井正会長兼社長は、ルメールブランドとユニクロのさらに高いレベルでのコラボを期待しているとコメントしている。

Henry S. Dziekan III/Getty Images

今回の発表に関し、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「ルメール氏の才能と経験を生かしていただいたことで、『ユニクロ ユー』のコレクションも2シーズン続けて成功しています。今回は、ルメール氏とのパートナーシップをさらに深められることを、本当に誇りに思っています。新しいレベルでファーストリテイリングとの関係が『ルメール』ブランドの、さらなる成長と発展にも役立つことを願っています」というコメントを発表。

ルメールブランドは2014年に約10億円・世界130拠点での販売だったものが、2018年には約15億円・世界200拠点での販売へと順調に成長している。

(文・松下久美)

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