Gmailなどのプロダクティビティーツールの最新AI支援について説明するGoogle Cloudのアプリ担当バイスプレジデント、プラブハカー・ラガバン(Prabhakar Raghavan)氏。
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米グーグルは7月24日〜26日の3日間、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコでGoogle Cloudの年次イベント「Google Cloud Next ‘18」を開催している。初日の基調講演では、クラウドを軸に、AIを活用したさまざまな新機能や事例の発表が行われている。
ビジネスパーソン向けの一例が、グーグルのオフィススイート「G Suite」のAI新機能だ。
グーグルはG Suite関連で、以下の6つの機能を紹介した。
- Security center investigation tool(セキュリティセンター調査ツール。G Suiteエンタープライズ顧客向けのアーリーアダプタープログラム)
- Data regions (G Suiteのプライマリデータの保存先を指定できる。G Suiteビジネスとエンタープライズ顧客向け)
- チャットツール「ハングアウト」向けのスマートリプライ(近日、G Suiteのユーザー向けに登場)
- Gメールの予測文章入力「スマートコンポーズ」(近日、G Suiteのユーザー向けに登場)
- Google Docs向けの英単語の綴り補完「Grammer Suggestions」(G Suiteユーザー向けのアーリーアダプタープログラム)
- ハングアウト会議ハードウェア向けのボイスコマンド(一部のハングアウト会議ハードウェア顧客向け。今年後半に提供)
(Google Cloud Next ‘18の公式アナウンスメントより)
特に、G Suiteのユーザー向けAI系補完機能は、このツールの進化の方向性が、ビッグデータ解析を生かしたAIによる作業の効率化にあることを感じさせる。
ハングアウトを短文一発返信する「スマートリプライ」
ハングアウト向けのスマートリプライ機能。即レスでタスクを片付けていくのに役立ちそうだ。
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Gメールの自動返信機能「スマートリプライ」は2017年5月にアメリカで発表され、日本でも2017年末から日本語対応化された。
文章を解析して、「了解です」「ありがとうございます」といった短文返信をボタン1タップで行う機能は、いまや返信メールの10%で利用されているという。この機能が、ハングアウトにも登場する。Google Cloudのアプリ担当バイスプレジデント、プラブハカー・ラガバン(Prabhakar Raghavan)氏は基調講演のなかで、登場時期について「今後数週間」と説明している。
より複雑な返信を予測入力する「スマートコンポーズ」
スマートリプライを発展させ、より複雑な文章を自動補完するスマートコンポーズ機能。薄いグレーの文字は、直前の入力内容から予測補完されている文章。
1日の多くの時間をメール返信に費やす人は多い。スマートリプライは、言ってみれば文字入力が面倒なスマートフォン向けの機能だった。一方、メール返信の大半は、一言ではすまないような複雑な文章が必要だ。返信の文章における反復作業をAIでカバーしようというのが「スマートコンポーズ」だ。5月のGoogle I/Oで初披露された。
グーグルによると、一般的な文章フレーズを自動補完するほか、オフィスや自宅の住所も入力してくれるという。また、メールの文面を解析していると見られ、時間が経つにつれて、返信する相手によって挨拶の方法を変えるなど自分らしい文章を生成してくれるという。
いずれも日本語対応の可否や時期は現時点では明らかではないが、日本への展開も期待したいところだ。
「Google Cloud Next ‘18」の主要セッションの模様は、以下のGoogle CloudのYouTubeチャンネルでライブ放送が行われている。
(文・伊藤有)