富裕層のスマートホームは、驚くほど高度だ。
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- 富裕層が使うスマートホーム・システムは、一般家庭で使われるようなアマゾンのアレクサ(Alexa)とは全くの別物だ。
- アメリカの人気司会者オプラ・ウィンフリーは、私道に積もった雪を自動的に溶かす、熱放射システムを冬の別荘に導入している。フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は、執事のように機能する、自分専用の人工知能を搭載した特殊なアプリを使用している。アプリの声は、俳優モーガン・フリーマンだ。
- 富裕層が利用している一味違うスマートホーム・システムを見ていこう。
最新のテクノロジーを自宅に導入するとき、富裕層はお金を出し惜しまない。
Business Insiderが以前報じたように、求人サイト「Hire Society」に2017年に掲載された求人情報によると、ある「アッパー・イーストサイドの有名人」は、料理や掃除、買い物、その他の家事を担当してくれる夫婦に、年に10万~15万ドル(約1100万~1700万円)を払っても良いと考えている。
この求人は家事に加えて、夫婦がルートロン(Lutron)、クレストロン(Crestron)、カレイドスケープ(Kaleidescape)の3つの現代的なスマートホーム・システムに慣れていることを求めていた。
こうしたブランド名を聞いたことがない人のために説明すると、ルートロンは、省エネタイプの調光器やスイッチ、シェードといった50~1万個のデバイスを操作できるシステムを提供するスマートホーム・メーカーだ。クレストロンのシステムは、照明、ホームセキュリティー、スピーカー、その他のテック製品の操作を1つに統合する。動画や音声をストリーミング配信するカレイドスケープのマルチルーム・エンターテインメント・サーバー技術は、富裕層のホームシアターにぴったりのシステムだ。
多くの人は、皿洗いやテレビをつけるといった日常のタスクをデバイスにアウトソーシングできる家で生活することを夢見たことがあるだろう。
アマゾンエコーやグーグルホームといった製品が生まれたおかげで、そのような夢は大衆市場にとっても現実となりつつある。しかし、一般消費者が数百ドル出せばこれらのガジェットを手に入れられるなら、莫大な資産を持つ富裕層はスマートホーム・システムからどれほどの恩恵を得られるだろう? その答えは、彼らが求めるもの全てだ。
「裕福な家庭は一般消費者に比べて、新しいテクノロジーをすぐに導入します。スマートホーム・システムも例外ではありません」アメリカの半導体大手クアルコム(Qualcomm)で、IoT向けのプロダクト・マーケティングを担当するウィニー・ベクマニス(Winnie Bekmanis)氏はBusiness Insiderに語った。「高価なスマートホーム・システムは、導入の規模とパーソナライズ化の度合いが違います」
富裕層向けのスマートホームは、パーソナライズ化がカギ
有名人の自宅は、パーソナライズ化されたスマートホーム・システムがどのようなものかを示す良い例だ。
女優のソフィア・ベルガラ(Sofia Vergara)は、オンラインメディアCNETのインタビューで、彼女のスマートハウスでは、ホームシアターで映画を見るだけでなく、その巨大スクリーンを使って家族とスカイプをしたり、ソーシャルメディアを利用することができると語っている。
ロサンゼルス・タイムズ紙によると、メディア界の大物オプラ・ウィンフリーは、コロラド州テルユライドにあるスキーのためのハイテク別荘に1400万ドル(約15億5000万円)を投じて、私道に雪が積もらないようにする熱放射システムを導入している。
オプラ・ウィンフリーが所有するコロラドの別荘には、スマートホームの技術が使われている。
Kevin Winter/Getty Images for NAACP Image Awards
豪邸の場合、家の持ち主のエンターテインメントやセキュリティーの好みに直観的にフィットするシステムの方が、言うまでもなく望ましいとベクマニス氏は言う。
「スマートホーム・システムは、家の中の全ての異なるスマートデバイスをスムーズに連携させるためのカギです」同氏は語った。「これらのシステムが家の明かりを消したり、朝のコーヒーを作ったり、ちょっとした家事やタスクを家主のために自動化することで、トータルではかなりの時間の節約になるでしょう」
Business Insiderが以前報じたように、マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏の自宅を訪れたゲストは、室温、照明、音楽などを操作するためのスマートハウス・テクノロジーにつながったデバイスを渡される。
2007年、「HP TouchSmart PC」を実演してみせるビル・ゲイツ氏。
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マーク・ザッカーバーグ氏は、フェイスブックに投稿した動画で、AIを搭載した独自のスマートホーム・システム「J.A.R.V.I.S」を披露している。このシステムはザッカーバーグ氏が開発したオリジナルのアプリを通じて操作され、アプリの声は俳優モーガン・フリーマンだ。
富裕層のスマートホームは、1つのインターフェースで操作
ベクマニス氏によると、スマートホーム・システムは、1つのインターフェースで家庭に存在するほとんどのものを細部までコントロールし、カスタマイズするのを容易にしてくれる。
「ホームセキュリティーは、早くからスマートホーム・テクノロジーの恩恵を受けていた市場の1つです。ドアや窓の自動施錠から照明の自動制御、カメラまで、全てを網羅しています。人工知能の進歩もスマートホーム・セキュリティーシステムの発展に顕著な影響を与えています」ベクマニス氏は言う。
「侵入者と祖母を正しく識別したり、子どもが鍵をなくして、リモートでの解錠を必要としているときに知らせてくれる監視カメラを想像してみてください」
フェイスブックに動画投稿された、AIを搭載した独自のスマートホーム・システム「J.A.R.V.I.S.」を使うマーク・ザッカーバーグ氏。
Mark Zuckerberg
あなたの家をもっと「スマート」にしたいなら……
もしあなたが自宅に手の込んだスマートホーム・システムの導入を考えているなら、しっかりと計画を練るようベクマニス氏は勧めている。「スマートホーム・システムに投資する際、自宅のWi-Fiの強度を忘れていたという人は多いです」同氏は言う。「人気が広まるにつれ、コネクテッド・デバイスは家庭の全ての部屋に深く組み込まれていくでしょう」
ベクマニス氏は家の中にWi-Fiのつながりづらい場所がないか確認し、もしつながりづらい場所があれば、その問題を解決するために必要なものを用意するようアドバイスする。
「従来のスタンドアローン型のルーターは、浴室や地下室といったWi-Fiが届きにくいデッドスポットを生むため、スマートホーム・システムには不都合です」同氏は、スマート冷蔵庫やスマート洗濯機に影響を及ぼす可能性があると指摘する。
「特に家が広い場合、メッシュWi-Fiの方が適しています。家のあちこちにノードを配置し、全ての部屋にあるデバイスを確実につながった状態に維持することで、このテクノロジーはデッドスポットの問題を緩和してくれます」
さまざまなスマート製品が世に出ている今、スマートホーム・システムは現実、デジタルそれぞれのライフスタイルを同期しやすくしている。もしザッカーバーグ氏のAIシステムに触発されて、好きな俳優の声の(個人的には女優のヘレン・ミレンがいい)自分専用の"執事"が欲しくなったら、貯金を始めた方が良い。決して安い買い物にはならないから。
[原文:A look inside the amazing smart-home systems that rich people use]
(翻訳:Yuta Machida、編集:山口佳美)