地方もホテル建設ラッシュ。でも札幌、名古屋、福岡は「まだ足りない」

法人向け不動産サービスのCBRE日本本社は、札幌、名古屋、福岡の3都市のホテル需要動向についてレポートをまとめた。

インバウンドの拡大を背景に、首都圏、関西圏だけでなく地方でもホテル開発が加速している。供給過剰が懸念される中、CBREは「2020年に訪日外国人旅行者4000万人という政府目標を達成した場合、3都市とも客室数が不足する」と試算した。

一方、地方都市では新規に開業するホテルの多くをビジネスホテルが占めており、旅行者ニーズの多様化にどう対応していくかが課題になっている。

ホテル客室数とニーズ

個人旅行増加でインバウンド需要が地方に波及

2018年の訪日外国人旅行者数は4月時点で1000万人を突破、通年では史上最高の3000万人に手が届く見通し。訪日外国人旅行者はこの数年二けたの伸びが続き、2020年には政府目標の4000万人に達する可能性が高い。

外国人の宿泊者は多い順に東京23区、大阪市、京都市と続く。2014年までは、この3都市の宿泊者が全体の約半分を占めていたが、団体旅行から個人旅行へのシフト、リピーターの増加によってインバウンド需要が地方都市に拡大し、2015年以降は地方都市の宿泊者の合計が主要3都市を上回り、その差は徐々に開いている。

3都市と地方都市の比較

札幌、名古屋、福岡では2018年から2020年にかけて、ホテルの客室数がそれぞれ18%、30%、31%増加する見通し。それでも訪日外国人客数を4000万人と仮定した場合、札幌は3500室、名古屋は2100室、福岡は1400室が不足するという。

新規供給の55%がビジネスホテル

トランクホテル

東京では交流やデザインに重点を置いたライフスタイル型ホテルが台頭している。

撮影・木許はるみ

CBREの土屋潔ディレクターは、「訪日外国人旅行者の増加はアジアの国々の経済成長を背景としているため、東京オリンピック後にインバウンド市場が失速する可能性は小さい」と語る。

一方で、地方都市の新規供給ホテルのビジネスホテル比率が55%と、三大都市の43%を上回っている点を挙げ、「地方都市はこれまでインバウンド需要が小さく、家族旅行を想定したホテルよりも、従来型のビジネスホテルの建設が続いている。ホテルの多様性が少なく、今後ミスマッチが起きる懸念がある」と述べた。

東京などでは、デザインに特徴を持たせたり、周辺住民や宿泊者同士の交流を促進するパブリックスペースを重視するような“ライフスタイル型ホテル”が台頭しており、地方でも体験へのニーズに応えていくことが差別化のカギを握るという。

4つ星以上のホテルは全然足りない

札幌

日本屈指の観光地、札幌には意外にも4つ星以上のホテルがない

Getty Images

また、富裕層をターゲットにした4つ星以上のラグジュアリーホテルは、日本全国でも50軒ほどしかなく、「訪日外国人旅行者が4000万人になると、全然足りない。現時点でもラグジュアリーホテルは競争が少なく、高いパフォーマンスを維持している」(土屋氏)。

外国人の人気観光地である札幌には、4つ星以上のホテルがなく、土屋氏は「これほど有力なマーケットなのに、4つ星以上がないのは珍しい」と言う。外資系の北海道進出意欲は高いものの、フルサービスのラグジュアリーホテルを建設するには敷地面積などさまざまな条件が必要で、なかなか進まないという。

福岡市では中心部の大名小跡地に2022年末、5つ星のザ・リッツ・カールトンホテルが開業予定。土屋氏は「福岡は客室単価4~5万円を取れるマーケットなのか、長らく議論されてきた。リッツの進出でそれが検証されることになり、注目している」と語った。

(文・浦上早苗)

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