8月1日本格始動、LINE Payの“手数料ゼロ円革命” —— 加盟店数100万に向けた戦略

LINE Pay アプリ

写真左から小規模店舗側が使う「LINE Pay 店舗用アプリ」と、ユーザー(消費者)側が使うLINEアプリの「ウォレット」タブ。

8月1日から競合他社に先駆けて“決済手数料ゼロ円”のQRコード決済を開始するLINEの「LINE Pay」。同社は「ペイメント・レボリューション(決済革命)」を掲げ、将来的にはキャッシュレス・ウォレットレスの未来を、当面の目標は「2018年内にスマートフォンおよびLINE Payで支払える加盟店数100万カ所」を目指している。

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LINE Pay加盟店数

LINE Payは2018年内に100万カ所まで加盟店を拡大する見通し。

現在、LINE Payの加盟店数は約9万4000カ所となっており、目標までは遠い道のりのように思えるが、この秋にはJCBの非接触決済サービス「QUIC Pay+」への対応で約72万カ所が加わる見通しだ。

では、残り約20万弱の加盟店をどのように増やすのか。同社は7月30日、その詳細を記者向けに解説した。

3年間はQRコード決済の手数料がゼロ円

「LINE Pay 店舗用アプリ」の手数料

「LINE Pay 店舗用アプリ」利用時に限り、3年間は決済手数料が無料になる。

今回、LINE Payの決済手数料ゼロ円の施策は期間と対象方法が限定されている。

期間は2018年8月1日から2021年7月31日までの3年間。対象となる決済方法は、iPhone/Android向けの「LINE Pay 店舗用アプリ」を通して行われたQRコード決済のみだ。

店舗側で決済アプリを入れるスマートフォンやインターネット環境、充電環境は自前で用意する必要があるが、それ以外のコストは3年後まで一切かからない仕組みをとった。

記者説明会では、実際のアプリを使ったデモも披露された。店舗側はアプリ上で金額を入力し、ユーザーのスマートフォン上に表示されるQRコードを読み込む。読み込み速度は非常にスピーディーで、無事に決済完了するとユーザー側に決済情報の通知が届く。

LINE Pay決済手順

まずは、店舗用アプリで決済した金額を入力。現在は金額の直接入力のみ。簡易POSのようなあらかじめ登録しておいた商品をタップして合計金額を導く方法は、発表会場の担当者によると「開発中」とのこと。

LINE Pay決済手順

店舗側はスマートフォンのカメラで、ユーザーのスマートフォンに表示されたQRコードを読み取る(表示されるQRコードは5分で失効する)。

LINE Pay決済手順

無事、決済が完了するとユーザーに「ウォレット」アカウントからLINEメッセージが届く。

なお、LINE PayのQRコード決済は、LINE Pay 店舗用アプリを利用する以外にも、

  • 印刷したQRコードをユーザーに読み取ってもらう方法
  • ネットスターズ社のマルチサービス対応の決済端末を利用する方法
  • コンビニなどの大企業向けにはPOS改修

などで対応できる(ただし、上記の場合は決済手数料が発生する)。

3G通信内蔵の「LINE Pay専用 決済端末」までつくっていた

また、今回の説明会では、独立して動作するLINE Pay専用端末が初めて披露された。同社としては、大小さまざまな規模や予算の店舗に対してLINE Payを導入できる環境を整備している格好だ。

LINE Pay専用端末

今回発表になったLINE Pay専用端末のモック。Wi-Fiだけではなく3Gにも対応し、POS端末やスマートフォンがなくとも単独で動作する。端末代や維持費、手数料などは未定。2018年内に受注申し込みを受付予定。

LINE Pay専用端末

ユーザー側に向く背面には、設定した金額の決済が可能となるQRコードが表示される。アプリ版とは異なり、ユーザー自身がこのQRコードを読み取り、決済が完了する仕組み。

リテンション&マーケティング機能で加盟店のメリット増やす

とはいえ、単に「スピーディーな決済」かつ「無料」というだけでは、個人経営などの商店にとってのメリットは、現金を上回るほどにはならない。そこで、LINE Payは同社の得意分野であるメッセージング機能という形で、店舗と顧客を結びつける仕組みを提供している。

ユーザーはLINE Pay 店舗用アプリ導入店で支払いを済ますと、その店の「店舗アカウント」を友だちとして追加するかポップアップ表示で聞かれる。ユーザーは友だち登録を拒否することもできるが、登録すればお気に入りの店の最新情報などがLINEで受け取れる。

現状のメッセージング機能は、テキストのみの配信となり、1回につき3メッセージ、毎月1000通までという制限があるが、基本的にこれらの機能も無料で利用できる。制限内容は、今後店舗側の利用度合いを見て適宜変更していくという。

LINE Pay つながる

LINE Pay 店舗用アプリには、店舗アカウントを利用し購入者とつながる機能が無料で提供される。

同社広報によると「店舗アカウントでもクーポンやショップカード、統計データの閲覧は、今後提供を予定している」とのこと。これらが実現すれば、小規模店舗であってもリテンション施策を行えることになり、LINE Payを導入するメリットは益々上がっていくだろう。

1年間+3%のポイント還元でユーザー利用も促す

ポイントバックキャンペーン

ユーザー側にはポイントアップ施策で、利用を促す。

LINEは、ユーザーの利用喚起のキャンペーン施策も用意する。

1つは、「マイカラープログラム」。2018年6月1日よりスタートした同社のポイントプログラムだ。従来の仕様を非アクティブユーザーでもある程度貯まりやすく改良した上で、2018年8月1日から2019年7月31日までの間は、QRコードでの決済に限り、カラーに限らずポイント還元率が一律で3%アップさせる。

同社は、この最大5%還元のポイントバックキャンペーンを、LINE Payを試そうという人たちを増やすためのインセンティブとしたい考えだ。

(文、撮影・小林優多郎)

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