本田圭佑マネーも入る、数十億円規模の「ドローンファンド2号」が設立 ── 「空飛ぶ車」にも投資を拡大

Drone Fund 2号の設立会見

Drone Fund 2号の設立会見は7月31日、茨城県龍ケ崎市の竜ヶ崎飛行場で行われた。

荷物の運搬やペットの散歩、タクシーでの移動が空飛ぶドローンや車で行われる……といったSF的な未来は、もう夢物語ではなくなるかもしれない。

ドローン専門投資ファンド・Drone Fund 2号が、8月1日に設立された。2017年6月に始動した1号ファンド(総額約16億円)では“ドローン前提社会を創る”を目標に掲げたが、2号ファンドではいわゆる“空飛ぶ車”を実現する“エアモビリティー”分野にも投資対象を拡大する。

Drone Fund 2号への参画が決定している新規投資家

Drone Fund 2号への参画が決定している新規投資家の一覧。

出典:Drone Fund

同ファンドによると、投資額は30億円から50億円を予定しており、ドローン専門のファンドとしては世界最大級の投資規模になるという。新規投資家として、サッカー日本代表の本田圭佑氏の個人ファンド・KSK Angel Fundのほか、みずほ銀行、KDDI、マブチモーター創業家一家、セガサミーといった大企業も名を連ねている。

官民産学が動き出し拡大するドローンビジネス

荷物を運搬するドローン

設立会見では、Drone Fundの投資先であるACSLの産業用ドローンプラットフォームのデモが行われた。

インプレスの「ドローンビジネス調査報告書2018」によると、国内ドローン市場の規模は機体やサービスを含めて、2017年度は503億円。同報告書は2024年度には3711億円規模に成長すると予測している。

ドローンファンドによると、これには技術的な発展だけではなく、官民産学が参加する協議会において、運送・流通分野や旅行分野、被災地などでの救命・調査活動など具体的なユースケースが想定され、法制度の改定も検討されているのが大きな追い風となっているという。

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ドローンの活用はエンターテイメントや流通の分野だけではなく、人が調査しづらい被災地などでの活用も見込まれている。すでに、西日本豪雨の被害状況を確認するため、損保ジャパン日本興亜がドローンで現地調査を行っている。

出典:Drone Fund

ドローンに関する国内規制の流れ

ドローンを巡る国内の環境は、官民産学で検討・整備が進められている。

出典:Drone Fund

また、Drone Fund 2号では海外企業への投資も積極的に行っていく。1号では、アメリカのセイバーウィング・エアクラフトに出資。同社は翼長12m、最大2トンの積載物を運べる完全無人のカーゴドローンを開発している。このような海外企業へ投資をする意図として、Drone Fundの責任者を務める千葉功太郎氏は「セイバーウィング・エアクラフトのドローンはまさにアメリカ空軍出身者だからこその発想」と話しており、国内外の企業とつながることで国境を越えたシナジーを深めていく狙いがある。

ドローンに続いて、“空飛ぶ車”も現実に近づく

Speeder-One

ホバーバイクの実物大モックもお披露目。モックに乗っているのはDrone Fundの公式キャラクター・美空かなたに扮する、モデルの諸江雪乃さん。

2号の投資先として新たに追加されたエアモビリティーも近年注目が集まっている分野だ。ドローンと比べれば、まだ明確なユースケースなどは定まっていないが、首相官邸の日本経済再生本部が6月15日に閣議決定した「未来投資戦略2018」には以下のように記されている。

世界に先駆けた“空飛ぶクルマ”の実現のため、年内を目途に、電動化や自動化などの技術開発、実証を通じた運航管理や耐空証明などのインフラ・制度整備や、“空飛ぶクルマ”に対する社会受容性の向上等の課題について官民で議論する協議会を立ち上げ、ロードマップを策定する。

Drone Fund 2号の発表会会場では、1号からの投資先であるAerial Lab Industriesが開発する有人ホバーバイク「Speeder-One」の1/1スケールモックが初披露された。Speeder-Oneは通常のバイクと同じく公道での走行を目標に開発が進められている。

Speeder-One

車輪のない宙に浮かぶ「Speeder-One」。公道での利用が想定されており、サイズも「一般的な車向けの駐車場に収まるサイズ」とのこと。

Speeder-One

正面には本田圭佑氏のサインが書かれていた。

“中二病全開”から現実化へ

千葉功太郎氏

自身の所有するパイパー機に乗り込む千葉氏。機体は4人乗りだが、イメージキャラクター「美空かなた」ラッピング仕様の“痛化”のため、3人しか搭乗できない。

千葉氏は2017年6月から2018年7月末までに総額16億円、20社の投資を行った1号を「実証実験から実装フェーズに移れる肌感覚が得られた」と振り返っている。

また、Drone Fund設立の理由について千葉氏は「(いわゆる)中二病全開で、SF世界のような社会を生きているうちに早く実現し、堪能するため」と語る。

2号のファーストクローズは2018年9月30日、ファイナルクローズは同年12月末を予定。すでに数社の投資先の検討が始まっており、うち5社については海外企業になることも明らかになっている。

パイパー飛行

会見後、千葉氏が乗り込んだパイパー機の飛行デモも公開(操縦は曲芸飛行パイロットの小幡重人氏が担当)。

(文、撮影・小林優多郎)

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