ペイパルCEOダン・シュルマンは10代の頃から武術を習っている。
Dan Schulman
- ペイパルの社長兼CEOダン・シュルマンは10代の頃からイスラエルの武術クラヴ・マガを習っている。
- その経験がビジネスと生活のベースとなっている。
- シュルマンは、クラヴ・マガは戦いに勝つ方法と、常に動き続けることの大切さを教えてくれたとニューヨーク・タイムズのインタビューで語った。
ペイパル(PayPal)の社長兼CEOダン・シュルマン(Dan Schulman)は武術から多くを学んだ。
「私は10代の頃からずっと武術を習っている。武術は戦う技術のみならず、生きるための術」とシュルマンは2017年、Business InsiderのポッドキャストThis is Successで語った。
「武術は、生き方と仕事についての私の考え方に大きな影響を与えた。そして、そこには私の価値観が反映されている」
7月、さらにシュルマンは、ニューヨーク・タイムズのインタビューで自身の幅広いキャリアとイスラエルの武術クラヴ・マガから学んだことについて語った。
彼は10代の頃、イスラエルに行った時にクラヴ・マガを知り、激しい練習で傷だらけになりながらも、最も重要なことをクラヴ・マガから学んだとインタビューで語った。戦いに勝つ方法だ。
「クラブ・マガの最大の哲学は、戦いに勝つための最高の方法は、戦いを避けることというもの。禅の教えに近い。いかにして難しい状況を収めるか、それを常に考えている。 これはビジネスにも通じる」
シュルマンはこうした考え方を自社と他の決済企業との関係にも当てはめた。競合相手との提携は時として、自社、そして顧客にとっても実り多いと指摘した。
「我々がビザ、マスターカード、JPモルガン・チェース、シティと提携した時、ペイパルがこれらの企業と提携するとは、誰も考えていなかった」とシュルマン。
「難しい友好関係ではある。だが私の考え方は『いかにして顧客が望む選択肢を提供するか、そして、いかにして不必要な戦いを避けるか』にある」
彼は以前、Business Insiderに以下のように語った。
「クラヴ・マガは、戦いでは、体力の消耗を抑え、パンチは的確に当てて、むやみに拳を振り回さない、そしてゲームプランを明確に持つことが大切と教えている。ビジネスにおいても同じ。まさにクラヴ・マガに教えられたことと、ビジネスから学ぶこと、そして同様に生活から学ぶことには多くの共通点がある」
シュルマンはまた、クラヴ・マガの経験を生かして、自身のキャリアを築き、新しいチャンスを掴んだ。
ニューヨーク・タイムズでのインタビューで、AT&Tを辞め、オンライン旅行会社プライスライン(Priceline)に転じた時の決断について聞かれたシュルマンは、「私は39歳くらいでAT&Tコンシューマー部門のトップになった。だが会社を辞めることはリスクとはさほど考えなかった。むしろ、現状に留まることはよりリスクが高いと考えた。これは『静止するな』という武術の哲学につながる。静止することは打撃を受けることを意味する。我々は常に何らかのリスクを進んで取り続けなければならない。前に進むために。立ち止まってはいけない」
彼は、同様の哲学をビジネスでの決断に当てはめていると以前、Business Insiderに語った。
「もし厳しい競争環境にいて、仮に物事がうまく進んでいるとしても、立ち止まってはいけない。なぜなら打撃を受けることになるから」とシュルマン。
「常に革新し続け、常に1歩先、2歩先を考え続ける必要がある。常に直感を信じなければならない。考えすぎてはならない。そう、武術には禅との共通点がたくさんある」
ニューヨーク・タイムズのインタビュー全文はこちら。
(翻訳、編集:増田隆幸)