「怒り」は常に悪いものではない。しかし、コントロールする方法を学ぶ必要がある。
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- 怒りやイライラを上手にコントロールする"アンガーマネジメント"は、特に仕事場でイラッとするような状況に遭遇したとき、持っておきたい重要なツールだ。
- 職場で怒りを感じたときには、まずは一旦その場を離れて、クールダウンすることから始めてみよう。
- 相手を責めるのではなく、相手とその状況について話し合ってみよう。
悲しみ、不安、怒りといった負の感情を抱いたとき、それを無視しようとする人は多い。
しかし、テンプル大学フォックスビジネススクールの教授、ディアンナ・ゲッデス(Deanna Geddes)氏は、その真逆を勧める。
「怒りは健全な感情です」職場における怒りの役割を研究しているゲッデス氏はBusiness Insiderに語った。
「それは、何かがわたしたちの気分を害しているという信号を発しているのです」同氏は言う。「怒りを感じたとき、一旦立ち止まって、何が怒りの原因なのかを考えることは有益です」
ゲッデス氏は、怒りは行動を強いると言う。それは状況を良い方向へ変える助けにもなり得るが、カチンときた際の対処法には正しい方法と間違った方法がある。
怒りを処理し、あなたのイライラの原因となっている職場の状況を変えるための6つの方法を紹介する。
1. その状況から離れる
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自分の中で熱くなり始めているのを感じたら、その状況から離れて落ち着くことをゲッデス氏は勧めている。
事を荒立てずにその場を離れるため、同氏は相手にこう伝えるようアドバイスする。
「わたしは〇〇(怒りを感じている状況)に怒りを感じています。頭を冷やしてくるので、少し待っていてください。この状況を解消することは重要なので、戻ってきたら話し合いましょう」
気まずく感じられるかもしれないが、その場に残って火に油を注ぎ続け、怒りを爆発させてしまうよりはいい。
2. 少しの間、その問題について考えることをやめる
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スタンフォード大学の「慈悲と利他の心を科学する研究教育センター(Center for Compassion and Altruism Research and Education)」でサイエンス・ディレクターを務めるエマ・セッパラ(Emma Seppälä)氏は、怒りの問題点は、脳の感情中枢に火を付け、論理的でいるのを困難にさせることだと述べている。
つまり怒るのは問題ないが、その原因に取り組む前に少し落ち着く必要がある。さもなければ、感情に突き動かされて失言してしまう可能性がある。
「怒りを鎮めることで、物事をよりクリアに捉え、はるかに効果的なコミュニケーションが取れるようになります」セッパラ氏は言う。
「深呼吸や散歩、笑える映画を見て気を紛らわせたり、瞑想、運動、祈り —— 落ち着きや物事を見通せる力を取り戻すのに役立つことなら何でもいいです。やってみましょう」
時間がなくてどれもできない場合は、この呼吸法を試してみるのもいいだろう。
そして、落ち着きを取り戻したら、問題について考えることを再開しよう。
3. 「絶対に」「いつも」といった言葉を避けて、イライラをエスカレートさせない
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自身の考えを見直すのは、論理的な結論に達するためには重要だ。アメリカ心理学会によると、イライラしているときの思考は「大きく誇張され、過度にドラマチック」になりがちだ。
例えば怒っていると、何かが「絶対にうまくいかない」とか「いつもダメになる」などと誇張して考えることが多いと、同心理学会は指摘する。これは、ほぼ間違いなく真実ではない。「一貫して」イヤな人や「常に」うまくいかないことはまずない。
「わたしの全人生が台無しになった。この状況の全てが最悪」と考える代わりに、同学会は次のように考えてみることを勧めている。
「これはイライラするし、なぜわたしが腹を立てているのかは分かっている。でも、これは世界の終わりではないし、怒ってみたところでどうにもならない」
4. 相手は多分、何をしたのか分かっていないということを理解する
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あなたのことをイラつかせている相手が同僚の場合、おそらく彼らはあなたを怒らせようとしているわけではない、ということを理解しようとセッパラ氏はアドバイスする。彼らはまさか自分があなたを怒らせているとは思ってもみないのだ。
「ほとんどの人は悪意を持って行動しているわけではありません。しかし、わたしたちの多くは間違いを犯し、うっかり他人を傷つけたり、怒らせたりしてしまうのです」同氏は言う。
「あなたが怒りを感じている相手は、きっと意図的にあなたのことを傷つけようとしているわけではありません」
例えば、何でも細かいことまで管理したがる上司は、おそらく適切な管理プロトコルに従っていると信じているだけで、あなたのことを常に手助けが必要な、見当違いの馬鹿だと思っているわけではない。
そして、あなたのアイデアをいつも盗む、極端に競争的な同僚は、自分がやっていることを自覚すらしていないかもしれない。
5. 相手を責めずに、あなたのイライラについて話し合う
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Business Insiderで以前取り上げたように、人間関係において怒りを表現する最善の方法は、1) 前向きであること、2) 相手を責めないようにすること、3) 「I statement(「わたし」を主語に、自分に限ったこととして話すテクニック)」を使うこと、4) あなたの物事の見方やニーズを話し合うことだ。
仕事上では、マイケル・マクナルティー(Michael McNulty)博士が開発した「gentle startup(穏やかに話を切り出す)」テクニックが有効だ。マクナルティー博士はゴットマン研究所(Gottman Institute)のベテラン・トレーナーで、シカゴ人間関係センター(Chicago Relationship Center)の設立者でもある。
同博士のテクニックは、「Xが起きる/起きたとき、わたしはYと感じ、わたしにはZが必要だ」という文のそれぞれX、Y、Zを埋めながら話すというものだ。
例えば、「あなたが今日のミーティングでコスト削減案を提案したとき、わたしは苛立ちを感じました。なぜなら、それはわたしが先週あなたにお話しした案だったからです。アイデアの発案者として、わたしの名前をきちんと挙げて頂くことが必要です」と伝えてみよう。
もしくは、「昨日の営業会議の内容を5ページでまとめるようあなたに要求されたとき、わたしはあなたがわたしを能力のある従業員だと信じていないように感じました。わたしにはもっと自由と信頼が必要です」と言ってみよう。
6. 相手を理解しようと努力する
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セッパラ氏によると、人は怒っているとき、信じられないくらい自己中心的になる。そして、自分が正しく、相手が間違っているという証拠を手あたり次第見つけ出そうとする。
状況を解決するためには、こうした行動を避けることが重要だ。
自分の気持ちを相手に伝えた後は、あなたをイライラさせる行動を取っている理由を相手からしっかり聞き出そう。
「相手の物の見方を受け入れる余裕を持ち、瞬時に最悪の事態を想定する代わりに、『なぜ? 』と相手に尋ねることができたとき、真のコミュニケーションが始まるのです」セッパラ氏は言う。
「結果として、相手に対する理解や、コミュニケーションと礼節に基づいたより深い関係、思いやり、そして共感を築くことができます」
[原文:If you're angry at work, you shouldn't pretend everything is okay — do these 6 simple things instead]
(翻訳:Yuta Machida、編集:山口佳美)