消火活動のため、ホースを運ぶ消防士や兵士、住民たち(ギリシャ、2018年7月23日)。
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- 記録的な暑さがヨーロッパでさまざまな問題を起こしている。
- ギリシャでは各地で深刻な森林火災が発生していて、ドイツやその他の国でも山火事が相次いでいる。
- ドイツの場合、暑さと火災に加え、第二次世界大戦で残った兵器というさらなる危険もある。
記録的な暑さが続くヨーロッパでは、深刻な森林火災が広がっている。静まる気配はない。
そして、この暑さはヨーロッパの国々が長年にわたって取り組んできたもう1つの問題を悪化させている。第二次世界大戦で残った兵器だ。
7月末、ドイツの首都ベルリンの南西部で森林火災の消火活動を行った消防士たちは、地中に埋まっている爆発物にも立ち向かわなければならなかった。
ドイツ東部、ポツダムとフィヒテンヴァルデの間のハイウェイA9の近くで起きた森林火災(2018年7月26日)。
(Polizei Brandenbur/dpa via AP)
ベルリンから約22マイル(約35キロ)離れたフィヒテンヴァルデ付近の火災現場では、消防士たちは安全上の懸念からマツの森の中へ入ることができなかった。火災の影響で、すでに何度か爆発が起きた形跡があったという。
火は村まで800メートルに迫ったところで消し止められたが、地中に残された爆発物のせいで、消防士たちは危険な現場で使用する、専用の消火車両を使わなければならなかったという。こうした車両は、戦車をベースに作られることが多い。
火災の原因は捨てられたタバコの吸い殻と見られているが、道路の封鎖や渋滞を招き、消火活動には4日を要した。
だが、暑さのせいで残った爆発物の危険にさらされたのは、消火活動にあたったフィヒテンヴァルデの住民と消防士たちだけではない。
ドイツのマクデブルクで、エルベ川沿いを歩く女性(2018年7月30日)。
REUTERS/Hurlin Tilman
ドイツの熱波がエルベ川の水位を著しく低下させ、第二次世界大戦で残った兵器や爆発物がその姿を現し始めているのだ。マクデブルクでは、1934年に記録した最低記録をわずか2、3センチ上回るほどにまで水位が下がっている。
マクデブルクのあるザクセン・アンハルト州では、こうした手りゅう弾や地雷、その他の武器には触れないよう、警察が住民に呼びかけている。こうした武器は先週だけで5つ、ここ数週間では24も見つかっている。2017年に発見されたのが1年間で12個だったことを考えると、いかに多いかが分かる。
この地域の警察の広報担当は、水辺を歩いている人が偶然発見することが多いが、中にはあえて探しに行く人もいると話している。「それは禁止されていますし、危険です」担当者は言う。
何十年も水の中にあったとしても、武器は今でも使える可能性があるし、埋もれていたり、外側が錆びたりしていても、中に危険物が入っている可能性もある。「見つかった武器というのは、常に危険なのです」
安心はできない
水位が下がったエルベ川に浮かぶ観光船(ドレスデン、2018年7月31日)。
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ドイツのザクセン・アンハルト州の気温は7月31日(現地時間)、今年一番の暑さを記録した。2018年7月は今後、ドイツ史上最も暑い月の1つとして記憶されるだろう。この先も、31日を超えるほどではないにせよ、暑さが続く見込みだ。
そしてこの熱波はドイツ国内にとどまらず、ヨーロッパ各地でさまざまな問題を生んでいる。
ポーランドでは7月末、異常な暑さによって海中の有毒なバクテリアが増加しているとして、当局がバルト海沿岸の一部ビーチでの遊泳を禁止した。ライン川やエルベ川では、水温が上がり過ぎて川の魚が窒息死し始めている。
スイスのチューリッヒでは、熱くなり過ぎた地面で肉球を火傷しないよう、警察犬に特別な靴が支給されている。またスイス当局は、森林火災を招く恐れがあるとして、花火大会を中止した。ノルウェー当局は、暑さから逃れようと飛び出してくるトナカイや羊に気を付けるよう、ドライバーに警告している。
フィンランド西部のPyharantaでは、消防士とボランティアが森で消火活動を行っていた(2018年7月19日)。
Roni Lehti/Lehtikuva via Reuters
地中海に面した国々では、数日中に気温が40度に達する見込みがあるとして注意を呼びかけている。
イタリアは中部と北部で、3段階の警戒レベルの中で最も高い「赤」の警報を出している。
2017年に山火事で114人の犠牲者を出したポルトガルでは、記録的な暑さによって、森林火災が発生するリスクが高まっていると当局が警告している。1万1000人近い消防士と56機の航空機が火災の発生に備えているという。
イベリア半島を襲った暑さはスペインを襲い、50県のうち少なくとも27県が高温による「非常に高いリスク」にさらされていると宣言している。
ギリシャでは6月、山火事で91人が死亡した。
山火事の現場上空を飛ぶ戦闘機(スウェーデン、2018年7月25日)。
Screenshot/YouTube via Försvarsmakten Inblick
スウェーデンも最近、北極圏で起きた何件かの火災を含め(最近降った雨のおかげで、状況は多少改善しているが)、ここ数十年で最もひどい山火事を経験している。
そして、森林火災はいくつかの異例措置につながった。
スウェーデンの戦闘機「グリペン」は7月25日、エルブダーレンの近くにある軍の射撃練習場に迫った火に、重量500ポンドのレーザー誘導爆弾を落とした。現場は地形が複雑で、不発弾もあるため、通常の消火活動が行えないのだという。
爆弾は火を断ち切るために使われた。爆発によって地表の酸素が燃えれば、火は消える。
「非常に効果がありました」スウェーデン当局は言う。
[原文:Record heat is stoking wildfires in Europe — and it's setting off leftover bombs from World War II]
(翻訳、編集:山口佳美)