10月に退任へ! ペプシコのCEOはいかにして炭酸飲料の死を予見し、会社を救ったか

インドラ・ヌーイ氏

インドラ・ヌーイ氏。

Joe Raedle/Getty Images

  • ペプシコのCEO、インドラ・ヌーイ氏が同社を率いた12年間で、炭酸飲料の売り上げは年を追うごとに急激に落ち込んできた。
  • ヌーイ氏の戦略は、スナック事業を強化し、ペプシコをよりヘルシーなブランドへと押し上げることだった。
  • 2016年までに、炭酸飲料がペプシコの売り上げに占める割合は25%以下になった

ペプシコを12年間率いたCEO、インドラ・ヌーイ氏が退任する —— この12年は、炭酸飲料業界にとって混乱と大きな変化の時期だった。

ヌーイ氏がペプシコに入った1994年、炭酸飲料業界は盛況だった。アメリカにおける炭酸飲料の消費は1990年代後半にピークを迎え、1998年の1人あたりの年間消費量は53ガロン(約200リットル)近かった。

そして、バックラッシュが始まった。

2000年代前半、脂肪に代わって糖類の摂取をできるだけ避けるべきだとする考えが広まり始めた。そして、砂糖がたっぷり使われている炭酸飲料に対する見方も厳しくなっていった。

チャート

アメリカ人1人あたりの炭酸飲料の年間消費量(単位:ガロン)。

RBC Capital Markets

自身の食生活から糖類を減らそうとするアメリカ人が増えたことで、ヌーイ氏がCEOに就任した2006年には、炭酸飲料の売り上げはすでに減少し始めていた。業界誌『Beverage Digest』によると2006年5月、炭酸飲料の販売量は過去20年で初めて減少に転じた。以来、年々販売量は減っている。

ヌーイ氏はCEOに指名される前から、同社のボトルド・ウォーターやスポーツドリンク、お茶といった成長著しいカテゴリーへの進出を助け、炭酸飲料の売り上げの減少を補ってきた。2001年にはオートミールの「クエーカー・オーツ」を買収、スナック食品のポートフォリオを強化し、ペプシコは次第に自らを「総合飲料会社」と呼ぶようになった。

「1990年代、ペプシコの製品は"からだに悪い"もしくは同社の言う"楽しい"ものだった」2010年、雑誌『エコノミスト』は報じた。 「2006年にトップの座についたヌーイ氏のもとで、同社の製品はフルーツジュースやナッツ、オートミールを含め、"健康志向"や"からだにいい"ものへと多様化していった」

ヌーイ氏の影響力

ヌーイ氏は、財政面と倫理面の両方から、変化の必要性を主張してきた。

同氏は2010年、製品に使用される砂糖や塩を減らすとか、学校には砂糖の入った飲料を置かないといったペプシコの一連のコミットメント作りを主導した。投資家向けのカンファレンスでヌーイ氏は、ペプシコには「世界で最も大きな公衆衛生上の課題の1つで、我々の業界と深く結びついている肥満の問題に」貢献するのではなく、解決策を見出す必要があると述べた。

炭酸飲料がペプシコの売り上げに占める割合は、2016年までに25%以下になった。これはボトルド・ウォーターや砂糖不使用の飲料といった「自然飲料」の売り上げに等しい。これは、ドイツの乳業大手テオ・ミュラー・グループ(Theo Muller Group)や低カロリーなソフトドリンクで知られるIzzeといった健康志向中心の買収のおかけでもある。ヌーイ氏は、消費者の健康やウェルネスに対する意識の高まりというチャンスを生かして、彼らを取り込むための「将来性ある」ペプシコのポートフォリオを再構築する必要性を強調した。

スパークリングウォーターの「bubly」

Hollis Johnson/Business Insider

健康志向と炭酸飲料以外のブランド強化を重視するヌーイ氏の戦略に対しては、批判もあった。2018年2月には、消費者の反発を受けて、ダイエット・ペプシで一度はやめた人工甘味料のアスパルテームの使用を再開するなど、失敗もあった。

しかし、炭酸飲料の売り上げが減少し続ける中、ヌーイ氏の戦略は全体としては良い効果を生んだようだ。

「ヌーイ氏のスマートな考え方とペプシコに対する理にかなったビジョンこそが、アクティビスト投資家を撃退したり、海外市場を拡大するといったペプシコの数々の成功の主な理由だ」コンサルティング会社グローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)のマネージング・ダイレクター、ニール・ソーンダース(Neil Saunders)氏は8月6日(現地時間)、顧客向けのメモに書いた。「だが、彼女の主張の中でも、最も先見性があったのはスナック事業の強化だ」

「炭酸飲料への需要が伸び悩む中にあっても、ペプシコは最近買収したベアフーズ(Bare Foods)の野菜や果物を使ったスナックといった成長著しい分野を含む、バランスの取れた製品ポートフォリオがあることで安心できる」ソーンダース氏は言う。

コカ・コーラが炭酸飲料に力を注ぎ続ける一方で、炭酸飲料以外のビジネスを育てるペプシコの戦略は、ヌーイ氏が退任しても強化される一方のようだ。炭酸飲料が主要事業の1つであることに変わりはないが、ペプシコが最近立ち上げた、最も注目されている飲料は、スパークリングウォーター・ブランドの「bubly」だ。

[原文:How Pepsi's CEO predicted the death of soda and saved the beverage giant in the process]

(翻訳、編集:山口佳美)

ソーシャルメディアでも最新のビジネス情報をいち早く配信中

BUSINESS INSIDER JAPAN PRESS RELEASE - 取材の依頼などはこちらから送付して下さい