早期リタイアに適切なタイミングは?
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- 早期リタイアの適切なタイミングは、貯金の額によって決まるわけではない。
- 筆者は早期リタイアした複数の人に話を聞いた。全員、準備が整った、あるいは目標の貯金額に達したと思う前に、早期リタイアを望んだ。
- 会社を辞めることは、もうお金を稼がないという意味ではない。実際、あなたはきっと稼ぐはずだ。
早期リタイアの準備はできた?
貯金が目標額に届いていないからといって、あなたが「ノー」と答える前に、早期リタイアに“適切な”タイミングを教えよう ── そんなものは存在しない。
少なくとも筆者が取材した早期リタイアの実践者に共通の答えが、それだった。考えてみれば、多くの人が早くリタイアしたいと願っている ── たとえ、望んだほどのお金を貯金できていなくても。
誤解のないように言うと、貯金の額は重要な要素(でないと、自由に生きられない)。だが早期リタイア実践者の中には、貯金の額は決め手ではない、少なくとも決め手にするべきではないと語る人がいる。
「もっと早くリタイアできると知っていたかった」
自分の力でミリオネアとなって、37歳で早期リタイアし、ブログを書いているクリス・ライニングは以前、Business Insiderに語った。
「経済的に自由になるための目標を設定することは簡単だった。目標に到達するまでがとても大変だった。だが仕事を辞め、リタイアすることが最も大変だった」
これは、貯金が当初の目標額に到達する前にリタイアしたライニングの言葉。彼は「4%ルール」で生活できるくらい貯金できたらリタイアしようと考えていた。
4%ルールとは、毎年、お金を貯めた口座から4%を引き出して生活すること。だが彼は、3%を引き出せば生活できるタイミングでリタイアした。
「お金に関して奇妙なことは、人は常にもっと必要と感じてしまうこと。たとえ十分なお金を持っているとしても、決して十分とは思わない」
仮に貯金の目標額に到達したとしても、まだ少しでもお金を貯めるチャンスがあるのではないかと感じてしまう。リタイアする準備が整ったと本当に感じることはないのかもしれない ── だがそれがどんなものであれ、あなたを早期リタイアから遠ざけることになってはならない。
“会社を辞める=お金を稼がない”ではない
早期リタイアのために必要な金額は人それぞれで異なり、ほぼ2つの要素によって決まる。1つは生活費、もう1つは投資から得られる収入など、いわゆる“不労所得”のポテンシャル。
そして、会社生活から離れることは、すべての終わりではない。まずはそれがすべてだ。
「準備ができたと思う前に飛び出しても大丈夫、と知っていたかった」
妻のアリと一緒に29歳で早期リタイアしたジョー・オルソンは以前、Business Insiderに語った。彼らは一緒に旅行し、Adventuring Alongというブログを書いている。
「きっと大丈夫。もしそうでなくても、人生にはたくさんのチャンスがある。もしお金が必要になったら、また稼げばいい」
J.P.リビングストンは200万ドル以上を貯め、28歳でリタイアした。彼女はアフィリエイトとパーソナル・ファイナンスについてのブログThe Money Habitの広告から、6万2000ドル以上の収入を得ている。
彼女は以前Business Insiderに、早期リタイアしてからも、会社での仕事よりも少ない労力で収入を得ることが可能だと知っていたら、実際にリタイアしたタイミングよりももっと早くリタイアしただろうと語った。
「私はあくまでも、早期リタイアしたら、もう働く必要はないと確信したかっただけ」とリビングストンは語った。
「今の私が知っていることを当時の私が知っていたなら、少なくとも貯金の目標額を低い額に修正していただろう。緊急手段として、パートタイムで働くことができると知っていたなら」
オルソン氏は以下のように述べた。
「もし再び数年間、働かなくてはならないことを『リタイア失敗』と考え、もう働かなくていいと確信できるまでリタイアを先延ばしにするなら、それは、数年働く期間を伸ばすという『リタイア失敗』をしていることになる。ただ前倒ししたに過ぎない」
※敬称略
(翻訳:Makiko Sato、編集:増田隆幸)