日本は大丈夫? アメリカで急増する65歳以上の破産とその原因

窓辺の老人

破産が老後の夢を打ち砕こうとしている。

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  • ニューヨーク・タイムズは、Consumer Bankruptcy Projectの調査を引用して、アメリカでは破産を申請する高齢者が増えていると報じた
  • 調査に協力した回答者たちは、収入の減少や増大する医療費、膨らむ借金を自身の破産の理由に挙げた。
  • ある程度の年齢を超えると、破産は万能薬にはならない。多くの人が経済的な安定を取り戻すのに苦労しているという。

アメリカでは高齢者が増える中、破産が老後の夢を打ち砕こうとしている。

1991年以降、破産を申請する65歳以上の割合は3倍に増えた。ニューヨーク・タイムズがConsumer Bankruptcy Projectの調査を引用して報じた。調査は895件の個人破産に注目し、このうち19歳から92歳の個人を対象にアンケートを実施した。

「アメリカでは、債権者からの保護を求めて、破産を申し立てる高齢者がこれまでになく増えている。1991年以来、破産を申請した人の割合は世代によっては200~300%増加している」調査報告書は指摘した。

これは、社会保障給付金の全額支給の後ろ倒しや自己負担分の医療費の増大、年金保険料の上昇、収入減といった複数の経済的な要素が重なった結果だ。リソースの限られている世代に高齢化のコストを押し付けたことで、破産に向かう高齢者が増えている。

調査によると、65歳以上で破産を申請した人の財産の中央値は1万7390ドル(約190万円)。同世代で破産していない人の場合、その中央値は25万ドル(約2800万円)以上だ。

2013年2月から2016年11月にかけて、高齢者で破産を申請した人の数は年に10万人だったが、これは他の世代の「財政的な困窮状態」を反映していると、ニューヨーク・タイムズのタラ・シーゲル・バーナード(Tara Siegel Bernard)記者は書いている。調査の結果、破産を申し立てたジェネレーションXの数も増えていることが分かった。

しかし、すでに定年を迎えている人にとって、破産は万能薬にはならないという。「高齢者にとって、破産は"今さら"だ。申し立てをするまでに財産は消えているし、立て直すには時間が足りない」

破産の原因は、借金、医療費、収入減、家族への援助?

アンケート調査の回答者たちは、収入の減少や増大する医療費、膨らむ借金を自身の破産の理由に挙げた。

Business Insiderが以前報じたように、アメリカではここ数十年で医療費が上昇しているだけでなく、United Health Foundationの2017年の調査によると、ベビーブーマー世代の高齢化が「高い肥満率や糖尿病、健康状態の良好な人の割合の低下」といったより大きな健康リスクとともに進んでいる。 これは、予期せぬ医療費の増大を招く可能性がある。

子どもや親への金銭的な援助が破産につながったという回答者もいる。Business Insiderが以前報じたように、ベビーブーマーが直面している最も差し迫った問題の1つが年老いた親の世話で、膨大な費用を伴う。

また、破産に詳しいある弁護士は、ニューヨーク・タイムズの取材に対して、多くの親が子どものローンの連帯保証人になっていると語った。20~30年前には見かけなかった、学生ローンを抱えている高齢者もいるという。しかし、大学の授業料が1980年代から2倍以上になっていることを考えれば納得だ。Business Insiderが11月に報じたように、学生ローンを借りた大卒生が抱える1人あたりのローン残高は平均で1万7126ドル(約190万円)と、これまでになく多くなっている。アメリカ芸術科学アカデミーの報告によると、2000年から2012年にかけて、学生ローンを利用する学生の割合は10%増えていて、借りる金額も増えている。

さらに、ニューヨーク・タイムズは、定年を過ぎるにつれ、より大きな借金 —— 特に住宅ローン —— を抱える人の数が増えているという、Urban Instituteの分析を引用している。1989年から2016年で、住宅ローンを抱えている人の割合は2倍近く増加した。

NerdWalletの調査によると、仕事をしているベビーブーマーは収入のわずか5%しか貯蓄に回しておらず、いざという時のための備えはほとんどない。

そして、Insured Retirement Instituteが行った調査によると、リタイア後の生活に必要な貯金があると考えているベビーブーマーは、23%しかいない。一方で、54%が老後のための貯金は一切ないと回答したという。

こうした経済的な問題は、ベビーブーマーはこれまでの世代に比べて長生きするだろうと予測されていることで、さらに悪化している。そのため、60代半ばから70代前半でリタイアしようと計画している場合、これまでよりも5~10年分多く老後の蓄えを用意しておく必要がありそうだ。

[原文:A growing number of Americans over age 65 are filing for bankruptcy just to get by, and it could signal a larger problem in the US]

(翻訳、編集:山口佳美)

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