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- シティグループのレポートによると、アメリカの音楽業界が2017年に生み出した430億ドル(約4兆8000億円)のうち、アーティストの取り分はわずか12%。
- 音楽への消費者支出は2017年、史上最高の200億ドル(約2兆2000億円)に達した。だがレコード会社などの取り分が約100億ドル(約1兆1000億円)だったのに対し、アーティストの取り分はわずか51億ドル(約5700億円)、その“大部分”はツアーによるものだった。
8月6日(現地時間)に発表されたシティグループのレポートによると、音楽業界が2017年に生み出した430億ドルのうち、アーティストの取り分はわずか12%だった。
音楽業界の売り上げが430億ドルに達したのは、2006年以来12年ぶりのこととレポートは伝えた。
音楽業界全体の売り上げに占めるアーティストの取り分は、実は2000年以降、増加している。2000年の取り分はわずか7%だった。
だがこの増加は、コンテンツやツアーからの収益の成長によるところが大きく、レコード会社を介した売り上げとは異なる。音楽配信による売り上げが増加しているが、ミュージシャンの取り分はまだわずかなまま。レコード会社や音楽配信サービス会社が仲介者となっているためだ。
レポートによると、「消費者支出」には、ストリーミング、コンサートでの売り上げ、購入された楽曲が含まれ、2017年は史上最高の200億ドル超となった。
だが、レコード会社などの取り分、約100億ドルに対し、アーティストの取り分はわずか51億ドルで、その“大部分”はツアーによるものだった。
Citigroup
レポートは業界の「自然な垂直統合」を予測(あるいは、その傾向を促進しているようだ)。スポティファイやApple Musicといった既存の音楽プロバイダーが「自然にミュージック・レーベルへと変身」すれば、アーティストはサービスを使って楽曲を直接リリースし、取り分を増やすことができる。
シティグループは、業界の別の視点からの意見を強調する形でレポートを結んだ。ブロックチェーンを活用した音楽配信サービス「Choon」の共同創業者ビョルン・ニクラス(Bjorn Niclas)氏の言葉だ。
「アーティストの我慢はもう限界。コンテンツを作っているのは彼らなのに、取り分が一番少ない。他の業界はどこも一般的に、もっと取り分が多い」
レポートはこちら。
(翻訳:Ito Yasuko/編集:増田隆幸)