必要な食事と運動はDNAが教えてくれる「遺伝子フードテック」3TandAi社とは?:SKSJ2018

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DNAから教わる、自分に合った食事や運動。自分のストレスの状態や運動の実績を記入することで、生活習慣が可視化できる。

提供:3TandAi

自分のDNAの情報から体質を知り、個人に合った食事や運動をレコメンドする。アメリカのカリフォルニアのフードベンチャー、3TandAiは、究極の「食のパーソナライズ化」を進める企業だ。同社のランジャン・シンハCEOが、2018年8月9日、都内で開催された「スマートキッチン・サミット・ジャパン2018」(SKSJ2018)に登壇。DNAの情報をもとに、3Dプリンターで食事を作り、適切な栄養素を摂取する、新たな食のスタイルを語った。

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3TandAiのランジャン・シンハCEO。

3TandAiは2017年に設立。米ペンシルバニア大学ウォートン・スクールで工学と栄養学の修士号を取得した、シンハさんが起業した。同社のサービスは、簡単なキットで、唾液と便を摂取し、DNAと腸内細菌を分析するところから始まる。分析は外部に委託、ユーザーは分析結果のレポートを受け取れる。

レポートは、さまざまな食事の成分や化学物質、運動の種類が自分に合うかどうか、また味覚の感度など、膨大な項目ごとに、自分の特性が表示される。例えば、食事の成分は、ミルクやグルテン、カフェインやアルコールなど、それぞれどの栄養素に、自分の体が反応をしやすいかを、「ハイ」(効果が出やすい)、「ノーマル」(通常)、「スロー」(効果が出にくい)の3段階で表示する。

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唾液と便を採取するキット。

提供:3TandAi

「カフェインならば、コーヒーは通常は、1日1、2杯がちょうど良いと言われているが、カフェインに対する体質によっては、適切な量が変わってくる」(シンハさん)。脂質や糖質に対する味覚が鈍いという判定が出たら、「甘さを感じにくいので肥満になりやすい」。

化学物質や運動に関する項目では、例えば、ある化学繊維に対して敏感な判定が出た場合、衣類やカーペットなど、肌に触れる繊維に気をつけた方がよいということになる。同じように“疲れやすい”体質の場合は、運動を熱心にするよりも、食事を調整した体調管理が向いていることになる。

膨大な分析結果を、ウェブ上のレシピと掛け合わせ

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ユーザーは毎朝、毎晩、睡眠やストレスの状態などを記録する。

提供:3TandAi

3TandAiは、これらのDNAと腸内細菌を分析して得られた体質データから、個人に合った食事をパーソナライズ化する。

同社のアプリは、ウェブ上でオープンになっている料理のレシピを収集。3TandAiのユーザーは、アプリ上で、ランチやディナー、ドリンクなど食事のシーンとジャンルなどを選ぶと、自分の体質に合った料理とレシピのリンクが表示される。さらに、個人の体質ごとに必要な栄養素がどれくらい満たされるかが、グラフで見られる。

1週間分の献立をつくり、必要な材料をまとめてカートに入れ、提携先の買い物代行サービスが届けてくれるサービスも展開している。

ユーザーは、毎朝、毎晩の日課として、アプリ上に体調を選択(睡眠時間や疲労感、空腹度やストレスの度合いなど)する。それがカレンダーのように、その日の体調が記録され、「生活習慣がどう変化したか、ユーザーが認識できる。かつ、レコメンデーションの精度も上げられる」(シンハさん)。

データをもとに3Dのフードプリンティングで“食品製造”

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スーパーの商品にスマホをかざして、自分に合った食事かどうかを判断できるサービスを開発中。

提供:3TandAi

サービスの料金は、199ドル(約2万2000円)から。アメリカでの利用者数は公表をしていないが、「数千人」(シンハさん)という。

今後は9月ごろをめどに、スマホを食品にかざすことで、その食品の栄養素が自分に必要か、不要かが分かるサービスも開始する予定。「アメリカ政府は、食品の成分をデータベースにしていて、商品に付いているバーコードをスキャンすることで、成分が分かるようになっている」(シンハさん)。このため、スマホに記録された自分の体質と成分を照らし合わせ、必要性を判断できる。

また、3TandAiの分析データをもとに、個人に合った食品を、3Dのフードプリンターで作成する応用方法も考えられるという。

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日本のお弁当は、パーソナライズに最適という。

提供:3TandAi

シンハさんによると、「日本食はパーソナライズをデザインしやすい」そうだ。現地では、日本の弁当を例に、細やかにおかずを盛り付ける弁当や和食のスタイルが、パーソナライズ化に向いていることを説明していた。

気になる日本進出の可能性について、シンハさんは、「日本で一緒に事業をするパートナーを探している」と話した。

(文、撮影・木許はるみ)

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